國村公認会計士事務所の2017年1月の『事務所通信』にも書きましたが、従業員の給与から住民税を天引きするための手続きに企業などが利用する電子申告で、今年1月にシステムに障害が発生し、自治体に対する申告が受理されないケースが出ていたことが分かったようです。
不受理件数は不明ですが、大都市部では数千社分の申告に影響が出た自治体もあるとみられます。
企業側が不受理に気付いていないままだと毎月の天引きができなくなるといい、自治体から周知徹底を国に求める声が上がっているようです。
住民税を天引きするために、企業などは、毎年1月末までに従業員が住む自治体に給与の額などを申告しています。
自治体の手続きが終わると、6月から翌年5月にかけて天引きされることになります。
障害が発生したのは、全国の自治体で作る一般社団法人「地方税電子化協議会」(東京都千代田区)が運営し、インターネットを介して企業からの申告を受け付ける地方税のポータルシステム「eLTAX」です。
締め切り間際の1月27日~1月31日(厳密には、2月1日午前)に、申告データを送信しても受理されない接続障害が生じました。
アクセスの集中などが原因といい、データが送信された段階で、企業側は受理されたと勘違いしている可能性があります。
申告が受理されていない場合は、企業側が再申告する必要があります。
気付かないまま再申告が遅れると、自治体の手続きが間に合わなくなり、本来は12か月に分割して徴収される住民税が数か月で天引きされることになってしまいます。
住民税の総額は同じですが、1か月ごとの手取り額に影響が出る(天引き額が多くなり、手取り額が少なくなる)ことになります。
地方税電子化協議会や総務省はホームページに経緯を掲載し、申告作業を請け負う税理士の団体にも注意を喚起。自治体にも企業への連絡を促しています。
自治体側は前年のデータを基に作業を進めているようですが、初めてシステムを利用したケースもあり、該当企業を全て抽出するのは難しいそうです。
昨年、このシステムを利用した申告は全国で約450万件です。
東京のある区は、2割程度の企業が影響を受けたと見込んでおり、担当者は「6月からの天引き開始には、3月中に再申告してもらわないと間に合わない」と頭を抱えていたようです。
電子申告を推奨している割に、アクセスが集中して障害が出るとは、地方税電子化協議会のリスクに対する取り組みが甘かったと言わざるを得ないですね。
そもそも、僕自身は、e-Tax(国税)とeLTAX(地方税)を統一した方が利用者は便利ですし、コストも安くつくと思っているので、これを機に、統一されることを期待したいですね。
住民税システム障害発生で6月からの天引きに影響する可能性があることについて、どう思われましたか?