皆さんは、貸借対照表が必ずしも実態を表していないことをご存知ですが?
これは、例え、公認会計士や監査法人の監査を受けている上場会社の貸借対照表であってもそうなのです。
当然、粉飾決算を行っているケースもあるでしょう。
このようなことがあるため、『実態貸借対照表の把握』が、『財務デューデリジェンス』の目的の1つとなります。
例えば、会社が土地を所有していて、取得価額が1億円だったとします。
この土地の時価が2千万円だとすると、通常は、8千万円を減損処理し、貸借対照表上は2千万円で計上することになります。ただし、減損処理を行なっていない会社も世の中にはたくさんあるでしょう。
一方、この土地の時価が2億円だとしても、貸借対照表上は1億円で計上されています。これは、日本の会計ルールは、基本的には取得原価の範囲内での時価主義を採っており、下がったものは損失を計上するが、上がったものは利益を計上しないということになっているからです。
よって、不動産の時価を把握したりする以外にも、例えば、以下のような調査を行うことになります。
●売掛金や貸付金などの中に回収できないものはないか
●貸借対照表に計上されていない借入金や買掛金などはないか
●在庫の中に売れそうにないものはないか
●敷金の中に返還されないものはないか
●貸借対照表に計上されていない将来発生するであろう退職金はないか
●会社と役員の取引の中に相場とかけ離れた賃料や利率などを用いているものはないか
●今のところ表面化していないが、将来的に表面化しそうな訴訟案件や債務保証などはないか
このような検討を行い、『実態貸借対照表の把握』を行うのです。
『実態貸借対照表の把握』の必要性を分かっていただけましたか?