Cさんの続きですが、
一旦、横道にそれてしまいますが、
今日はこの施設における私の想いを
記事にする事にしました。
母の施設で、
母と同様の
ロングショートスティで利用されていたCさん。
車椅子を使われている。
恐らく要介護5。
ご年齢は当時93歳。
大きいお屋敷の奥様で
金銭的には
何の不自由もなく暮らされていた。
そして優しい息子さんと、
可愛いお孫さんにひ孫さんからも
絶大に慕われてる。
頭も聡明で認知症の症状もない。
お金持ちの奥様の風格は常に漂っていて
プライドも高い方だという事が見て取れる。
そんなCさんと私は出会った。
Cさんは事故に遭われた際に
下半身が不随になり、
ご自宅での訪問介護を受けて過ごすなか、
70歳を超える息子さんが
自分を毎回抱きかかえて介護する姿が不憫で
自ら施設に入る事を志願。
そしてケアマネを通して
この施設に入られた。
施設設立当初から利用されていたため、
施設の内情をよくご存知でした。
潔く、聡明で、会話も端的ながら
ユーモアをこめて
お話される時の笑顔が好きで、
私はそんなCさんと親しくなれた事が
嬉しかった。
特養の施設の利点は色々あると思うけれど、
なかでも1年を通じて
施設の温度管理がなされている事。
これにより高齢者にありがちな
ヒートテックのような事故が
ほとんど起きないと聞きます。
そして、朝・昼・晩と、
栄養士が考えた食事が用意される事から
多少のビタミン不足、カリウム不足、
葉酸不足は生じるものの、
おおむね健康維持が保てる事。
この二つの利点のおかげか、
この施設の利用者のご年齢は
80歳後半から90歳後半と
かなりのご高齢者なのに、
元気いっぱいの方ばかり。
87歳の母がその中で
まだ若い部類である事が驚きでした。
そして宿泊施設が利用できる最大の利点は、
家族が楽になれる事だと思います。
実際に私も母を施設に預けて、
それまで途切れ途切れの4時間程度しか
とれなかった睡眠から、
連続8時間とれるようになりました。
家族の健康維持においても、
施設はありがたい存在です。
けれど特別養護老人ホームという施設は、
グループホームなどと違って、
放任される時間が多い。
デイサービスと違って、
レクリエーションも殆どなく、
刺激や楽しめる遊びが組み込まれない。
あるにはあっても月に数回、
必死で考えたイベントがあるくらい。
リハビリの療養士もいるにはいるけれど
病院にいる療養士のような専門的指導は殆どない。
そして看護師の質が極めてひどい。
私の母においては、
医師が中止を指示した母の痛み止めの薬を
看護師達が勝手に投薬を続けていた事が発覚。
理由は、『母の帰宅まで薬が余ってると
管理しにくいから』だと言われた。
ただそれだけの理由で。
彼女たちは医師から投薬中止された事実を
皆で話を合わせて介護士達に告げず、
投薬させていた。
不幸にも、家族の私が施設に頻繁に顔を出す
家族だったから、ある夜、私が気づき、
それが発覚した。
この事については、
事実を知った介護士が生活相談員に報告。
翌日、看護師の責任者から、電話を通じて
事の経緯とお詫びを言われました。
到底看過できない悪質な事項だったけど、
入所させていただいてまだ2か月。
私は母がこれからお世話になる事を考えて、
この不祥事をぐっと飲み込んだのでした。
先日の記事にも書きましたが、
母の個室には、
腐りかけたお茶が何日も放置されていたり、
衛生管理に気を配る介護士がいなかった。
食中毒防止の観点が、はなから頭にない。
ある時は母の入浴時に、
事前に補聴器をはずす事を忘れ、
浴槽に母の補聴器が沈むという事故が合計3度。
また、慎重に扱っていただかないといけない
補聴器の収納ケースは
いつも蓋が解放されたままで、
その取扱いは極めて雑だった。
補聴器の器具における最低限の知識をもてるよう
施設側も教育体制が必要ではないだろうか。
そして補聴器の電池交換においては、
一番頭を悩ませた問題でした。
彼らにお願いしたところで、
関わらないで放置する介護士がほとんど。
その間、母は聞こえない状態で施設で過ごすわけです。
結果、わざわざフロントの事務職員を介して、
FAXを流し、依頼が書面に証拠と残る事で
やっと電池交換されるようになりました。
が、しかし、次第に元の状態に。
母の帰宅時に電池の数を数えると、
電池交換されてない日がある事は明らかでした。
一番あきれた事は、
母の個室のトイレに、
替えの紙パットが紙パンツが
置かれていなかった事です。
行く度にでした。
(ちなみにパットや紙パンツ代金は施設負担。)
母は自分で歩行してトイレに入ります。
自分で個室に戻ってトイレにいけば、
そこに交換するパットが置いてない。
だとしたら、尿がもれたパッドを再びあてるか、
パッドなしで過ごす事になる。
さすればズボンにまで尿が染み渡る。
母はどうしていたのだろうと思うと
やりきれない。
ある時は、いつものように面会に行き、
おいてないパッドをみて、
介護士にパットをもらいに行った際、
「紙パットが今、切れてて在庫がないんです。」
と言われた日もありました。
『だったら、ど~すんねん!』と思いますよね?
(その時は寝たきりの方用の分厚いパットで代用)
これを機に、
「ここはもうあかん!」と思い立ち、
市から支給されるオムツ券でパットを購入し、
自ら施設に持ち込んで、トイレに設置しておいた。
トイレの度にパッドを交換できるように。
しかし、施設が負担すべきパッドを、
家族が寄贈しなくてはならないほど、
ここの施設の介護士達は、
日常の当たり前に想定できる事を想定できない。
そして準備しない、
お願いしても改善しない、
『自分は知~らない!』がまかり通る職場。
バレないように、上手に手抜きする。
この繰り返しだったのです。
母がロングショートの特別枠を頂いた事は
本当にありがたい事でした。
そこに感謝しつつも、
毎回行く度に「驚き」が「疑問」に変わり、
やがて「疑問」が「疑念」に変わっていきました。
この施設、実は設立当初から、
どんどん質が落ちてる事は噂で耳にしていました。
年に一度、利用者へのアンケートで、
ご本人、または家族が回答した内容のなかに、
『介護士の質が、格段に落ちた』
『一人ひとりの介護内容が覚えられないのなら
個室の中に書面で貼っておけばいいではないか!』
から、
『ここの介護士に食事の調理をさせてるけど
それでか介護士が介護の仕事をきちんとしてない。
調理は調理をする人を雇い、
介護士は介護に専念させて欲しい。
みてもらってない事が多すぎる。』
など、私が思わずうなって、
「その通り!」と言ってしまう内容が
数多く記載されていました。
(アンケートは全て掲示され壁にはられ
公開されていた。
そのすべてを私は隅から隅まで読んでいました。)
介護士をはじめ、介護に携わる方々は、
まともに頭や身体が働かない高齢者を相手に
その仕事に喜びを感じて働くのは難しい事に思う。
しものお世話などの綺麗でない業務、
身体を抱きかかえなければならない肉体労働。
だからこそ、私もCさんと同じく、
いつも感謝の気持ちを伝えていましたし、
お世話になっている身として、
どこか肩身の狭い想いでした。
けれどもこの施設は問題が多すぎる。
だからこそ、
Cさんが私に打ち明けてくださった内容に
「おそらく真実に間違いないだろう。」
としか思えなかった。
特別養護老人ホームという施設は
「自由に過ごせるところですよ。」
「私達は特に干渉致しません。」
を謳い文句に宣伝する。
そして実際にショートで入所してみると、
その棟のほぼほぼ介護士達からは
心のケアになるような温かな触れ合いは少なく、
時折、利用者の人達が
鳥かごに囲われた鳥のようだと思う日があった。
書面に起こした介護プランに書かれた、
食事・入浴・洗面・トイレ介助を
決められた時間に淡々と世話さえすれば良いと
思っている人達の集団。
”ユマニチュード”と言われる精神的な支えで
リハビリを促進し、健康維持を高める、
そんなものは、この施設には
到底不似合いな言葉でしかない。
だからこそ、
同じ鳥かごのなかに囲われた鳥たちは
仲間同士で助け合い、
会話が出来る人たちは
そういう人を見つけて、
ささやかな喜びを感じようとする。
自分の脳内に残っている『社会性』が
時には、会話や何気なく交わしあう笑顔で
活力が出てくる事もある。
それが出来ない重い認知症の方や
聴力に問題がある超難聴の人や、
精神障害を持って心を閉じている方や
妄想やせん妄に苦しむ人は
お仲間との接触がないまま、
ダイニングテーブルで顔を下にむけたまま、
1日の時間が過ぎるのを待っている…。
その光景を目にする度、
その方にとって、
世界はどんな風に見えていたのだろう。
長くなってしまいました。
Cさんの記事は、あと2話で完結します。
最後までおつきあい頂ければ幸いです。
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今日も長い記事をお読み頂きまして、
ありがとうございました。
寒くなってきました。
コロナも蔓延しています。
どうぞ、充分予防の対策をなさってくださいませ。