死後の手続き-6 父母の印鑑を改刻して | あなたに,も一度恋をする

あなたに,も一度恋をする

わんこと,お花と,お料理と…そして介護

ご訪問ありがとうございます。

心温かな訪問介護ヘルパーさん達のおかげで

母の完全自宅介護が実現して1年半。

このまま自宅で最期を迎えられたらと思っていた矢先、

私の乳がん発覚で、自分の治療と

母の介護との両立のなか、

2023年11月に母が旅立ちました。

その後の記録を詳細に綴ります。

 

*************************************

 

母が亡くなったその週から、

相続に関する手続きの準備を始めました。

うちは母の預貯金や土地建物含め、

相続税の支払いがありません。

ゆえに相続税の申告が不要です。

この手続きや計算、かなり複雑ですから、

お金持ちじゃないって事は

実にありがたい。

ありがたい事なの⁈

 

そんななか、進めていた手続き。

お金持ちであろうと無かろうと、

姉妹がいる限り、

作らなくてはならない遺産分割協議書。

この作成のために、

姉に送ってもらった印鑑証明書。

見ると、そこに押されていた印鑑は、

町の文房具店で売ってるような、

小さな小さな印鑑でついたもの。

ハンコの円の長さ1㎝くらい。

 

コレ実印?

 

聞けば、銀行印も同じ印鑑だそうで、

ある時、印鑑登録が必要になったけど、

買う機会を逃し、

これを登録したと言います。

これって800円くらいのハンコじゃない?

もっと安いかも。

姉には申し訳ないけど、

三文判っていわれるやつを実印に?

銀行印としても、ちょっと。。。。

 

 

 

私は昔から

印鑑にはこだわりがあって、

21歳の時に、

苗字が変わっても使える

名前だけを彫った象牙の印鑑を

作り、今も銀行印として愛用しています。

 

(↓ネットでお借りしました。イメージ画像です。)

 

結婚後は、夫とともに

姓と名のフルネームを刻印した実印用の

印鑑を同時期に作りました。

ひと回り大きいサイズで、

これも象牙の印鑑です。

 

象牙は朱肉を吸うので、

使い続けていくうちに

真っ赤に染まっていくのですが、

それもまた歳月を感じさせる物として

染まれば染まるほど、

思い入れのある品に思えてしまいます。

 

象牙の印鑑は(作り手の腕もありますが)

押した時に密着が良いので捺印しやすく

何より、価格が張った分、

特別な物という意識で大事に扱うため、

紛失しにくい利点もあります。

また開運祈願もしている事で、

お守りみたいでいいなぁ~と。

金持ちになぁ~れ♪っと。

何より、やっぱり押印した時の

あの独特な手彫り文字の造形は

見映えがいいですよねぇ~。

 

なので、姉の実印を押した書類を見て、

何とも言えない気持ちに…。

(そんなにビンボーでもないはずなのに。)

 

そこで、姉から頂いた香典返しに

実印と銀行印の2本を注文して

送ってあげてはどうかと考えました。

素材はやっぱり象牙がいいなと。

(実は5年前、従兄弟夫婦に

実印用の2本の象牙印を贈った事があります。)

 

けれど、価格帯を調べるうちに、

5年前の倍以上の

価格に跳ね上がっていて、

2本組で8万円以上がザラでした。

 

いつのまに…。

 

現在、象牙はワシントン条約で

輸入が禁止されていますから、

今、古い印鑑屋さんの在庫分が

国内にある全てになっちゃうそうです。

そして、そうした印鑑屋さんから

買おうとすると、当然価格は

それなりに跳ね上がるわけで…。

 

そこでプラ以外の素材を考えました。

黒水牛は色から言って男性的だし、

だったら木材のツゲかなぁ…。

それでも、結構、

良いお値段になっちゃうわけで…。

 

そんな時、ふと降りてきた発想。

母が亡くなって、

引き出しなどを整理していた時、

母が大事に使っていた銀行印と、

同じく捨てずに保管していた父の印鑑。

父の印鑑は母の物より一回り大きい、

実印として使っていたものです。

どちらも象牙です。

これらを見ながら、

これらも断捨離の一つになるのかぁ~

大事にしてただけに、捨てがたいなぁと

思っていたのです。

 

 

そしてひらめいたのです。

これやん!

 

そしてネットを調べると、

私の思った事が実現できる事が

わかりました。

 

これを改刻してもらおう!

形見になるじゃないっ!

と。

 

改刻とは、従来の印鑑の先端を

数㎜削って平らに均し、

改めて名前を彫刻する事です。

調べると、

いくつかの改刻を受けてくれる、

印鑑の会社がありましたが、

見つけたサイトから、

古くから営んでいる印鑑会社に

絞りました。

 

その会社は 小林大伸堂さん

そこに早速DMを送り、

2つの印鑑の大きさと長さを伝え、

お見積額をお聞きしました。

 

その後、

幾度かのやり取りを行った後、

父の実印を姉の実印へ(姓と名の4文字)

母の銀行印を姉の銀行印へ(姓の2文字)

の2本の開運印の制作を

お願いする事になりました。

(字体も祈りたい運勢も、しっかり打ち合わせ済み)

 

 

そうして、

姉が来る四十九日法要までに

なんとか間に合わせて送って頂けるよう

お願いしました。

これを姉への満中陰志にしようと

思ったからです。

 

お彫り頂いたのは、

四代目・小林照明さん。

丁寧なやり取りをして下さいました。

そして

印鑑を入れる桃色のケースと

霧箱ラッピングもお願いしました。

 

象牙本体そのものの材料費は

かかっていませんので、

二つの改刻と、

これらのケースとラッピングを含め、

お支払いした額は、36740円でした。

 

 

そうして姉が四十九日法要に来た時、

ちょっともったいぶって、

「大事な物を渡したいんだ。」

と姉に差し出しました。

「何だろう・・・。」

そう言って不思議そうな顔をしてた姉。

 

箱を開けて中身を見た姉は、

「ええ~。」と驚きつつも、

「嬉しい…。」を繰り返していました。

「ちゃんとした印鑑が欲しいと思ってたから。」

「お父さんとお母さんの印鑑が私の印鑑になるなんて。」と。

 

そして私の前で、

紙に印鑑をついてもらった、

記念すべき初押し!

しっかり紙に密着してる。

文字の形も気に入ってもらいました。

 

処分するしかなかった父と母の印鑑は

こうして姉の形見となっただけでなく、

姉が活用できる印鑑に生まれ変わりました。

 

父母の印鑑に染みた朱肉の赤い色は

父と母の歴史の色。

姉には、この先

大事に使ってもらえたらと思います。

 

姉は、私が一連の相続手続きを終えた後、

4文字印をあらたに印鑑登録し、

もう一つの印鑑を銀行印として、

変更手続きしたそうです。

 

****************************

 

尚、追記ではありますが、

この印鑑を姉用に発注する前に、

兄上(姉の旦那様)がどんな実印を使ってるかを

さりげなく聞きだしました。

(妻が夫を差し置いて、

大きな実印を作る事のないようにしたいと思い。)

それによれば、兄上はすでに姓と名が入った

立派な印鑑を登録してる事を確認しましたので、

姉の印鑑を作る事を決めました。

 

 

今日も長文におつきあい頂きまして

ありがとうございました。

何かのお役に立てる記事になっていれば幸いです。