死後の手続き-3 高額な位牌 | あなたに,も一度恋をする

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訪問ありがとうございます。

心温かな訪問介護ヘルパーさん達のおかげで

母の完全自宅介護が実現して1年半。

このまま自宅で最期を迎えられたらと思っていた矢先、

私の乳がん発覚で、自分の治療と

母の介護との両立のなか、

2023年11月に母が旅立ちました。

その後の記録を詳細に綴ります。

 

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葬儀を終えた2日後、

葬儀社の葬儀アドバイザーという方が、

葬儀の請求書を持って家に来られました。

「お支払いは振込手数料を引いた金額を

振り込んでください。」

との事でした。

(翌日、夫に振り込みに行ってもらいました。

尚、葬儀費用については、前記事をご参照下さい。)

 

この方は、

葬儀のアフターフォローをされてる方で、

参列者への満中陰志の返礼品の受注や、

弔電や供え花を頂いた方への

お礼のハガキ印刷、喪中のハガキ印刷、

さらには葬儀後の相続手続きなどの

請負いなども含み、

至れり尽くせりのサービスが揃っていました。

(もちろん全て有料です。)

 

「お手伝いできる事があれば、致します。」

と言って下さいました。

 

私は叔父の相続手続きの全てを

行った経験がありましたから、

司法書士や行政書士に頼まず出来ますし、

返礼品も自分でお品を選んで送る事を

決めていました。ですので、

ご案内頂いたものは、お断りしました。

 

ですが、1点だけお聞きしたのが

位牌の制作でした。

私はそれ以前から、

位牌は安い物で充分だと思ってました。

というのも、

葬儀社にお勤めのブロガーさんが、

amazonで8000円前後で購入できる

位牌の記事を読んでいたからです。

実際、そのブロガーさんは、

亡くなったお母さまのお位牌に

amazonのお位牌を購入されていました。

その方によれば、その価格でも

見劣りしない良品と書かれていたのです。

 

母の死去に慌てないよう、

何でも事前準備をしていた自分でしたが、

位牌だけは、それが出来ませんでした。

なぜって、

亡くなって初めてつけてもらえる戒名。

その戒名が判らない限り、

発注出来ないからです。

 

この日の私は体調がかなり悪く、

ジーラスタ注射と抗がん剤の副作用が

強く出ていました。

抗がん剤はすでに3クール目で、

葬儀の日を頂上とすれば、

そこから坂を下りるように

体力と筋肉が落ち続けてる感じです。

 

特にこの日は腰の激痛があって、

葬儀社の方の前で、3分座っているのが

かなり辛い状態でした。

具合が悪い事を見せまいと頑張りましたが、

本当にきつい時間でした。

そしてこの関節痛は、

さらに増していくのだろうと思うと、

机の前に座って

amazonや楽天を検索して

位牌を選んでいる余裕など無いと思いました。

 

次回受ける4クール目の抗がん剤サイクルの

一番きつい週に当たらない様に、

お寺さんに日を早めてもらった

四十九日法要。

葬儀の時に入魂した簡易的な白木位牌から

正式な位牌へ魂の入れ替えがあるため、

その法要を行うお寺に、

位牌は絶対に持参せねばならないのです。

 

あの魅力的なamazon位牌を買えないのは

残念だと思いつつ、もう体力の限界。

藁をもすがる思いと言いますか…、

今ならこの人に、この場で、

お願いできるのだと思い、

パンフレットを見せてもらいました。

 

葬儀社の方から見せて頂いたパンフレットは

実にさまざまな種類や大きさがありました。

しかし、どれもが高額です。

1万円以下なんて物はありません。

2万円台の物も、3万円台の物もありません。

 

そしてデザインや大きさに迷っていると、

この方の誘導通りに、

仏壇から父の位牌を持ってきて、

その形状をお見せしました。

すると、

 

「では、同じデザインにして、

ひと回り大きいサイズに変えて、

そこにお父様とお母さまのお二人連名の

合同位牌になさいませんか?」

というご提案を受けました。

 

「そんな事できるんですか?」と聞くと、

出来るとの事。

小さな仏壇ですから2つを並べると、

どちらかが影になってしまう。

それはグッドアイデアと思い、

それならば頼む価値があると思ったのです。

 

その価格

¥88,000-

 

私はぐったり状態ながらも、

わずかに残っている気力で、

とりあえず言ってみた。

 

「でもぉ~、

同じようなデザインでぇ~

amazonとか~楽天でぇ~

7000円とか、8000円とかでぇ~

売ってますしねぇ~。

これ高すぎるんですよねぇ~。

ちょっと、まけてもらえません?」と。

 

するとこの方、あっさり、

「わかりました。そうしましたら、

¥77,000- まで

お値引きしましょう。

ただし、

今日この場で決めていただけるのならです。」

 

と条件付きで了承して頂いたのです。

即決を促す、実にお見事な営業!

お高すぎるお位牌ではあるけれど、

この方にすがる事に決めました。

 

お品は実際に高野山の職人で作られている、

純国産の『高野位牌』という、

高品質なものだそうです。

(上三重面粉中巾4.5寸・表裏2人彫)

 

そしてこの担当者さんは、

私がその場で繋いだお寺さんと

電話とFAXを使って、

位牌に入れる文字を一つ一つ、

確認していかれました。

一度彫れば、やり直しがきかない物ゆえ、

受注する側は大変だと思いつつ、

私はそれを見守りながら、

一刻も早くこのやりとりが終わって

布団に横になりたいと、

ひたすら願ってました。

 

『もう位牌は高くてもいいよ。

 何でもいいよ。

 とにかく法要に間に合いさえすれば…。』

と心のなかで繰り返しながら…。

 

 

そしてこの日から3週間後に、

仕上がった位牌を持って、

自宅に届けに来てくれました。

その位牌を見たとき、

確かに漆の磨きも良く、

鏡のように反射して見映えがしました。

位牌に母達の魂が宿るとは思ってませんが

父と母の二人の名前が

ひとつの位牌に刻まれているのを見ると、

不思議と癒される気持ちになりました。

 

 

ただ、今も思います。

激安位牌が買えなかったのは残念だったなと。

 

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追記

今日も長文におつきあい頂きまして

ありがとうございました。

何かのお役に立てる記事になっていれば幸いです。