これはオペラじゃないんだけれど、オペラを収録したCD。
バルトークが大好きな作曲家のTさんから頂いたもの。。
オペラを音楽CDで聴くというのは初めて。
しかもバルトークのオペラ・・・。
『バルトークが書いたオペラってどんなだろ・・・。』
ちょっぴりドキドキ感を抱きつつ、オーディオのスイッチを入れた。
でだしで、まず驚きが…。なぜって、音楽無しの語りから入っていたから。
『これってハンガリー語?多分・・そうだよね。』
やがて、じわじわとストリングスの音が入ってきて、ゾクゾクする。
不気味で、他の作曲家が用いたことのないような音形。
後で調べると、バルトークがこのオペラを制作したのは30歳のときで、
ハンガリー民俗音楽を採取していた最中の作品だという。
そこから用いた5音音階。ドミナントのない進行。
だからとても神秘的に聞こえる。
しばらくして、このオペラの登場人物が2人だけだと気づいて驚いた。
けれど、登場人物は少ない分、音楽がそれを補ってる。
音楽と歌がね、絶妙で・・。
それにオケのババババーンが鳴ると、一瞬の休符。
そしてまたオケがバババーンと鳴ると、また一瞬の休符。
音楽の大波が襲って止まり、襲っては止まり・・。
それに、はっと息を呑むというか・・・。
オペラにしては短い作品だけれど、かえって短いがゆえに、
聴覚だけのCDで楽しむことが出来ると思えた。
私は数日前に、ムソルグスキーのオペラ“ボリス・ゴドゥノフ”を鑑賞して、
第一幕の壮大な合唱に感動したけれど、こんな風にひそやかに展開するバルトークのオペラにも魅了される。
私はバルトークは、弦四のように思いきりはまる作品もあるけれど、
と同時に、理解不能で耳をふさぎたくなるような作品もあったりする。
これほど、作品によって差を感じる作曲家も珍しい。
でもこのオペラはいいね。なぜかうまく言えないのだけれど、とても良い感覚になる。
ハンガリー語が新鮮だからなのかな・・。なんだろ。とにかく続けて5回も聴いた。
ある解説によると、
「ドビュッシーは真のフランスオペラを書き、バルトークが真のハンガリーオペラを書いた。」と書いてた。
音節にビタリとはまる旋律。
バルトーク以前のハンガリー作曲家に成し得なかったのだという。
解説を読んで、『なるほど・・・。』と唸った。
このオペラのストーリーを調べると、なんともいえない残酷のような、エロスのようなというか、
とてもゾクゾクするお話。
妻を3人殺害した青ひげ公と、そこにやってきたユディット。
この物語は教訓だなと思う。
オペラ“青ひげ公の城”、是非一度、劇場で鑑賞したいな。
是非、是非にね。。。