「薔薇の騎士」 | あなたに,も一度恋をする

あなたに,も一度恋をする

わんこと,お花と,お料理と…そして介護

イメージ 1

リヒャルト・シュトラウスのオペラを観たのは、昨年、学校の図書館だった。
作品は「サロメ」。
自分の修士作品の題材が、ほぼ同じものだったことから、教授から
「ア~タ、絶対観なさいよ。」
そう言われて、いやいや観たオペラだった。

このときに感じた作品の印象は、昨日の「薔薇の騎士」も同じだった。
「すべてを音楽で物語を描く」というオペラ誕生の理念を、シュトラウスは忠実に守っているかのよう。モーツアルトの「歌芝居」にあるような、歌い手が一休みなる台詞部分がない。
舞台に描けない場面の描写も、登場人物のレチタティーヴォで描いてみせる。

シュトラウスのオペラは、一口で言うなら、ホテルで食べる「王宮料理」。
豪華絢爛。これでもか、のもてなし。
テーブルに運ばれるお皿に、庶民が食べれないような料理がテンコ盛りになって出てくる。
さらに周囲を見渡せば、さらにブュフェもプラス。
そのくらい、さまざまなレシピによって作られた音楽の料理に囲まれる。

「シェフ、もう、ええですわ。食べきれなさそうや。」
そう言うアダジに、シェフは

「いやいや、これではまだ足らんでしょう~!」
そう言って、お皿のテンコ盛り料理に、さらに何種類ものソースをかける。

「あのね。アタジはね、シンプルが好きなんでずよ。
ソースいくつもかけられても、何の味かわからんのやけど。」

「な~にをおっしゃってるんですか。
混ぜ混ぜすれば、また、さらに、違った味が味わえるんですよ!」


なんだか食べきれなさそうに思うアダジ。
そやけんども、なんせ王宮料理やから、なんだかんだと食べてしまう。
ゴチャ混ぜになった味。美味いんだか、まずいんだかようわからんけど、珍しい味やから平らげてしまう。
それがシュトラウスのオペラ。

3時間近くのオペラ。大判振る舞いの「豪華管弦楽+歌」という料理に、投げだすことなく平らげてしまうのは、それぞれに特異なスパイスがふりかけられているからだと思う。
そして、このゴチャゴチャの料理をキチンと消化してしまうのは、
彼のオペラの台本となった物語の登場人物たちの台詞。
理解しやすく、気持ちが感情移入する。
台詞の一語一句が胸を打つ。
豪華すぎて複雑な音楽と、胸に染み入る歌詞。
それがシュトラウスのオペラではないか。

何かの音楽が記憶に焼きついているわけではないけれど、
元帥夫人の言葉が私の記憶のなかに刻まれる。

「薔薇の騎士」、印象深く刻まれるオペラですたい★