ヴェルディ「椿姫」 | あなたに,も一度恋をする

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重い夢をみた気分を一掃するために、久しぶりにオペラを鑑賞した。
今週は金曜日までずっと会社を休みにしているので、十分に鑑賞出来る。
ヴェルディの「椿姫」を観るのは2回目。
今回のDVDは、以前、私がその美しさに魅せられたアンジェラ・ギオルギュー演じる椿姫だ。きっとこのソプラノ以上に美しいソプラノはいない。

このオペラは、なんと実話に基づく小説がドラマになってるという。
デュマ・フィスと、パリの美しい高級娼婦マリー・デュプレシとの実話。すごいドラマだね。
それに、このマリーという高級娼婦は、それ以前に、作曲家リストとも関係があったというのだから、さらに驚き。

このオペラ、場面場面でさまざまな歌唱法のバリエーションを駆使してる。「乾杯の歌」を始め、有名な管弦楽曲の登場。とにかくゲオルギューの椿姫は、ただ美しいだけでなく、病に冒された醜態や、嘆きを激しく演じていて、その椿姫は、先に観ていたイレアナ・コトルバシュよりも、はるかに強烈な印象となって迫ってきた。
私は、数週間前に、コトルバシュ演じる椿姫を観ていたが、なぜかゲオルギューが頭に浮かんだ。調べてみると、コトルバシュは、ゲオルギューのお師匠さんだった。
どこか、何かが似てると思ったのは偶然ではなかったのだなと思いつつ、弟子のゲオルギューは、師匠を超えた、そんな印象。

「椿姫」を最初に観たとき、プッチーニの共通点を感じたけれど、後に登場したプッチーニは、もしかしてヴェルディに強く影響を受けた?』
そう思って調べてみると、確かにプッチーニは、ヴェルディのオペラに触発されてオペラ作曲家をめざしたと書かれていた。

ヴェルディはワーグナーと同年に生まれたけれど、二人のオペラはまるで違うと思う。
ワーグナーのオペラは、すごい圧力で押さえつけられたような伝達力だけど、ヴェルディのオペラは、ある場面に限っては、まるで水が一滴一滴したたるように落ちてきて、やがて一面湿らしてくるような、そんなところがある。
プッチーニ作品に比較すると、「少々のくどさ」は否めないけれど、その滴りおちる水の染みのような感情の伝達を引き継いだのがプッチーニではないだろうか・・・などと、勝手ながら思った。

ある批評家によると、ヴェルディは、こうした「椿姫」の作品をはじめ、陽の当たらない立場の人間にスポットを当てており、それは旧約聖書のなかの「逆説的肯定」にこだわったのではないかと書かれていた。

また、ヴェルディの「リゴレット」、「イル・トロヴァトーレ」、「ラ・トラヴィアータ」など、は、せむしの道化や、差別されたジプシー女性、日陰に生きる娼婦という人物は、過去にありえなかった人物像であり、当時としては新しい波であり、人間の真実を写し出す絶好の人物設定となっているという。

igaさんが最も好きなオペラ作曲家ヴェルディ。
さあ、今週はたくさん鑑賞できる。
楽しみだな。

ヴィオレッタ:アンジェラ・ゲオルギュー(S)
アルフレード:フランク・ロバート(T)
父ジェルモン:レオ・ヌッチ(Br)
フローラ:リー=マリアン・ジョーンズ(Ms)
アンニーナ:ジリアン・ナイト(Ms)
ガストン子爵:ロビン・レガーテ(T)
ドゥフォーレ男爵:リチャード・ヴァン・アラン(Bs)
ドビニー侯爵:ロテリック・アール(Bs)、
医師グランヴィル:マーク・ビーズリー(Bs)

収録:1994年12月コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス