この教室から6人の生徒さんがB級にエントリーしました。
その中でA2級から出ていてコンスタントに本選で賞を取っているのはAちゃん1人。
あとの5人は悔しい思いもたくさんしてきています。
去年のコンペが終わってから今年のコンペで力が発揮できるように、計画的にレッスンしてきました。
今年は全員予選通過させるつもりで臨みました。
教室の二階のグランドピアノでみんな練習しているので、入れ替わりの時など、お互いに声をかけあっていたようです。
この中に、泣き虫でレッスン中に泣き出してレッスンにならなくなるHちゃんと、去年のA1で予選落ちして大変落ち込んでしまっていたMちゃんがいます。
みんなとても暖かい気持ちで2人を見守っていました。
Aちゃん、Wちゃん、Hちゃんの3人は無事予選通過。
Kくんは、1回目の予選の際高熱で、うまく実力が出し切れなかったのですが、2回目の予選では無事通過。
Hちゃん、Mちゃんは1つ目の予選、あと1歩というところで通過ならず。
もう1つあと1ヶ月後の予選に、二人ともエントリーしていました。ここからの1ヶ月は、長く、苦しい日々でした。
Hちゃんのお母さんは、Hちゃんが泣いてレッスンにならなかった次の日は「娘にはコンクールはむいてないから、もうやめさそうと思う。」と言われていました。さすがの私も、「やめましょう」と言いました。あまり追い込みすぎてもどうかと思ったのです。
ところが、本人は受けるつもりでいるというのを聞いて、じゃあ、精一杯やってみようということになり、それからHちゃんは泣かなくなりました。
音の切れがよくないと点が伸びないと説明をしました。
それから次のレッスンで見事にいい音になっていて、びっくりし、どうしたのか聞くと
「先生がハノンを弾くと音が良くなるといつも言われているので、たくさん弾きました。」とお母さんが言われました。
家のアップライトでハノンなどの基礎練習をして、教室のグランドやレンタルのグランドを借りて曲を練習する。
練習したら動画に録り1日の終わりに送ってきて、そこから私が指導する。というパターンを毎日繰り返しました。
Mちゃんは、ほぼ毎日教室の二階のグランドで練習していました。
それでも足りなくて、レンタルピアノの予約を、夜、すいてる時間に取って通っていました。
ある日、二階から漏れ聴こえるハノンの音が粒が揃い、とてもしっかりした音になっていて、感心しました。
次のレッスンでは、曲がとても素敵に聴こえました。
だけど上手く出来ないところもたくさんあって、ペダルを使ってそこを上手くクリアできるように工夫しました。
Mちゃんも毎日練習した後、動画を送ってきて、できないところを指摘しました。
いよいよ最後の松山予選が近づいて来ました。
その時、先に通過しているWちゃん、Aちゃん、Kくん、Hちゃんのお母さん達が、次々と、自分のレッスン時間を少し使って、まだ通過が決まっていない2人をみてあげてくださいと言ってくれたのです。「みんなで本選に行きたい。」そう言ってくださいました。
みんなだって本選のレッスンで必死なのに。
そのみんなの気持ちが伝わったのでしょう。
松山予選の日、結果発表後、MちゃんとHちゃんのお母さんから優秀賞が取れましたという電話がありました。
他の級のお母さん達や、ピティナに出てないお母さん達まで、二人のことを気にかけていただいていたので、すごく喜んでくださいました。
みんな揃って通過です!おめでとうございます!
つづく
竹本喜代美
