去年の発表会が終わった後でお母さんから、
「コンクールに挑戦してみたらどうかな?」とお話があり、私も同じ気持ちだったので、グレンツェンのコンクールに挑戦することになりました。
バイエルの細かいテクニックが難しそうだったので、1曲を追求してレッスンして、もう少しテクニックをつけて欲しかったのと、
お母さんがとても前向きな方で、結果じゃなく、「目的に向かってがんばる」という気持ちで挑戦したいということだったので、
「やってみよう!」ということになりました。
予選は優秀賞で、まずまず。ところが、本選は右手と左手のバランスが取れず、かなり苦労しました。
「伴奏を小さく」というと消えてしまい。「もう少し大きく」というと、やたらでかくて。(笑)
結果準優秀賞で、やっぱり左手の伴奏が大きいと書かれてしまいました。
「ここでやめるんかな」と思っていたら、
お母さんが、「せっかく行けるんやけん、広島も行ってみようか?」
ということで、挑戦することになりました。
お母さんはフルタイムで働かれている上、子どもさんが3人。しかも、1番下の男の子がしょっちゅう高熱で入院します。
また、Mちゃんはとても、とても、慎重なタイプで、
新学期になり、学校の担任の先生がかわって、厳しい先生になったら、精神的にまいってしまって、練習に身が入らず、
レッスン室に入る前に泣き出したりしました。
その度に「Mちゃん、先生のピアノのレッスンに耐えられるやけん、大丈夫よー。」などと励まし、レッスンを続けてきました。
そして広島はがんばって優秀賞。得点が高かったので、全国に決まりました。
全国大会の前は左手が和音を掴めずすごく苦労しました。セラピーエッグを握らせたり、ゆっくり掴む練習したりしました。
ある日、レッスンに来たのは来たけど、泣いて、椅子にも座れず、立ったまま、どんなに言葉をかけても動きませんでした。
「ま、納得行くまでほっとこう。」
若い時の私なら困ってしまうところですが、
次の人のレッスンをして、そっとしておきました。
お母さんがお迎えに来られたので、事情を話すと、お母さんは、「まあ、そういう日もあるやろ」と連れて帰られました。
レッスンが終わってご飯を食べていたら、お母さんからラインがきました。
見ると、Mちゃんが書いた手紙の写メでした。
「先生ごめんなさい。和音が弾けるか不安でした。次からはがんばります。」
というようなことが書いてありました。
私が「できる、できないではなく、いっしょうけんめいがんばるMちゃんが好きです」
と返信すると
「今思うとがんばれば良かったと思います。M」
また1つ精神的に成長したなぁと思いました。
お母さんがまず子どもの気持ちを受け止めて「そんな日もあるやろ」といい、そして家に帰ってから理由を聞き、私に謝りの手紙をかかせる。
すばらしいお母さんだと思います。
全国大会は無事準優秀賞をいただきました。
おめでとう。その賞状は成長した証だよ。
