生徒さんが四国本選で1位になり、全国大会に行くことになりました。
小学校1~2年生の部。A1級です。
全国大会に行くのが決まった生徒さんはR君。幼稚園の年中さんから教えています。
転勤があるのでピアノが置けないマンションに住まわれていて、電子ピアノで練習をしていました。
でもコンクールに出ることになって、小学校1年生からは、 教室の二階にあるアップライトピアノで練習をすることにしました 。
学校が終わると、重いランドセルをしょって電車に乗り、木屋町の電停で降りて、歩いて来ました。
1人で二階にあがり、私が考案した指のトレーニングからポツポツ始めます。
それからお母さんが妹さんを連れて来られて、練習を見守っておられました。
雨の日も風の日も彼はやってきました。
今年は特に、もう松山を離れることが決まっていたので、私への恩返しに賞を取りたいと思っていてくれたようです。
私は、1階のレッスン室でレッスンをしていて、いつも音が聴こえるわけではないのですが、時折、弾いている音が聴こえます。
その時、「すごく丁寧に鍵盤の底を感じて弾いているなぁ~」と感じるときもあれば、
トイレに行く時に階段の下から大きな声で
「Rくーん!つぶが揃ってなーい。」と叫ぶこともありました。(笑)
二階の床補強工事をして、グランドピアノにしたいという以前からの夢があって、本選が終わったら工事してピアノを入れようと考えていたのですが、
「ピアノを運ぶのはいつにしますか?」と楽器店の方に聞かれて、
「ひょっとしたら、全国決まるかもしれないから、そしたらR君が練習できないので、工事を先送りにします。ピアノを入れるのはそれからになります。」
ってなぜか私の口からそういう言葉が出たんです。
本選までは、夏休みですから、毎日、午前中に本選に出る20人ちょっとの生徒さんをレッスンし、午後からいつものレッスンをして、一歩も外にでませんでした。
四国本選の日
レッスンをしていたら、R君から
「全国大会に行くことになりました」
というとても短いラインがとどきました。
「え~!」レッスン中だったけどすぐに電話をしました。
演奏番号が1番だったので、凹んだけど、全国決まったこと、教室の他の生徒さんもたくさん賞に入ったことを知らせてくれました。
残念ながら賞を逃した生徒さんも、リベンジで、広島で賞をいただきました。
高松で教えている、Eちゃん、EちゃんとRちゃんのデュオも全国大会を決めました。
全国大会の前日、東京入りをして、当日、朝早くレッスンをしました。
じっくりじっくり体と指をリラックスして音を作るところから始めて、
1曲1曲細かいところまで表現ができるように。
4曲とも、追求すればするほどきりがなく、音楽って深いなぁとしみじみ思いました。
会場について、2グループから6グループまでほぼ聴きました。自分なりに審査をしました。
松山に帰って来てからベスト賞を受賞したとラインが届き、胸を踊らせました。
3月の課題曲がでたときに、私にしかできない独自の音楽で勝負しようと決めて、家にこもり、考えた音楽、そして、脱力してきれいな音を出させようと、音作りもがんばったことが認められたと
心から嬉しかったです。
金沢に飛び立つRくん、妹のみーちゃん、お母様をお見送りに空港まで行きました。
毎日練習に来ていたので、もう来なくなると思うと、空港をあとにしてから涙がでました。
でも、今も、おうちが電子ピアノの生徒さんは、毎日レッスン室の二階で練習してます!
子供さんのがんばりで、パワーをいただいてます。
竹本喜代美
