仁徳天皇陵に電飾なんて、ありえない! | 岐路に立つ日本を考える

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 松井大阪府知事が、世界文化遺産への登録を目指して、仁徳天皇陵を電飾で飾ろうということまでまじめに検討していることが明らかになりました。以下はこれを報じた読売新聞の記事です。

世界遺産へ「仁徳陵に電飾を」…維新・松井氏
 大阪維新の会の松井幹事長(府知事)は5日、堺市長選(29日投開票)を前に同市で開いた集会で、世界文化遺産登録へのアピール策として、百舌鳥(もず)・古市古墳群の仁徳天皇陵古墳にふれ、「宮内庁がどう言うかはあるけどイルミネーションで飾ってみよう、中を見学できるようにしようと色んなアイデアを出して初めて指定される」と述べた。
 宮内庁が陵墓に指定・管理する古墳は尊厳を保つ目的で、原則、立ち入りが禁止されている。
 集会は、橋下代表(大阪市長)や、堺市長選への立候補を表明している西林克敏氏らが市民に大阪都構想などの政策を説明する「タウンミーティング」。松井幹事長は、都構想に反対し、再選を目指す現職の竹山修身市長が、府と大阪市で進めるイルミネーション事業に参加しないことを批判した上で、仁徳天皇陵古墳を取り上げた。 (2013年9月7日07時16分 読売新聞)

 日本の行く末に大きな影響を与えうる政治のリーダーが、我々が立ち入って構わない場所と立ち入ってはいけない場所の区別もつかないのは、情けない限りです。そもそも古代の遺跡であっても、イルミネーションで飾ったら格段に魅力が上がるという発想の貧困さには恐れ入ります。エジプトのピラミッドとか万里の長城とかアンコールワットも電飾にすればもっともっと魅力が上がると、松井府知事は本気で思っているのでしょうか。

 珍奇なアイディアこそが現状の打開を実現するという考えが幅を利かせていますが、こういう社会のありかたは危険だと考えます。橋下大阪市長と松井大阪府知事からは、大阪都構想、地方税ゼロ制度、カジノ誘致、道州制など、次々と奇策が提唱されてきましたが、それぞれの策が持ちかねないデメリット部分について、彼らが真剣に検討した形跡を、私は感じたことがありません。

 私は橋下氏や松井氏を全否定する立場ではなく、彼らが考えて実行してきたことの中にも評価できるものはあるとは思っています。ですが、底の浅い思いつきであっても、自分たちがパッと見の印象でよさそうな気がしたら、突っ走ってしまうところに危なさを感じてしまうのです。彼らはそうしたものに日本の未来をやすやすと委ねることに特別の危険性を感じていないようで、それゆえに却ってものすごく恐ろしいものを感じてしまうわけです。珍奇な思いつきを打ち出さないと、「既成政党」との違いを際だたせることができないという焦りがもともとあるせいなんでしょうか。

 今回の仁徳天皇陵への電飾提案は、このような危うさがもろに露呈したものだと思います。このレベルで政治を語るのであれば、彼らに政治を任すことはできないとの主張にご賛同いただける方は、ブログランキングへの投票をお願いいたします。


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