不思議な透明感のある作品だ。結末は意外とあっけない方向で収束してしまったが、まだ余韻は残している。
以下、一部引用。
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「ジョギングやってるかい?」柊(ひいらぎ)が言った。
「うん。」私は言った。
「そのわりには、お太りになったね。」
「ごろごろしてるから、昼は。」
私は思わず笑った。実際は、人が見てはっきりとわかるくらいに私はやせ始めていた。
「スポーツしてれば健康ってもんじゃない。そうだ。ものすごくおいしいかきあげ丼の店が突然近所にできたんだ。カロリーもある。食べに行こう。今すぐに。」
彼は言った。等と柊は性格も全然違ったが、それでも育ちのよさからくるこういう、てらいも下心もない親切さをどちらも自然に身につけていた。まるで、鈴をそっとハンカチに包むような親切さだった。
「うん、いいね。」私は言った。
柊の今着ているセーラー服は、ゆみこさんの形見だ。
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…興味を持たれた方は、原作読んでみてくださいね(^^)。
