うちは自営業をしている。
1階が仕事場で、2階が自宅だ。
先日、新しいクライアントに
「鳥か何かいますか?」と聞かれた。
「時々かすかに声が聞こえるようで。南国の鳥のような」
「そうですか?鳥は飼ってないんですけどね」と言ってごまかした。
一瞬正直に言おうかと迷ったが、タイミングを逃してしまった。
まったく悪気なく何気なく聞かれたことなので、本当のことを言ったら、お互い気まずい雰囲気になりそうで。
古くからのクライアントには、本当のことを話したり、自然と気づかれたりしているのだけれど。
南国の鳥の正体は、二十歳を過ぎた息子だ。
高音の赤ちゃんのような声から、ドスの効いた低い声まで、七色の声で独り言を言う自閉っ子。
いやもう青年か、見た目はおっさんで。
平日は障がい者施設に通い、週末は家にいる。
彼は、自閉症らしい動きをする。
自分の頭や膝を激しく叩く。机を叩く。
左手は、寝る時まで印を結んでいる。
アニメの台詞や、同じ質問、意味のない金切り声が続く時は、かなりしんどい。
本人もしんどいが、家族もしんどい。
今回の一件も、若い頃なら落ち込んで、mix○に書き込んだりしただろう。
"自閉症"、"奇声"などと検索もしたりして。
そう言えば、息子が小学生の時の担任に、初めて"奇声"という言葉を使われて、とても嫌な気分になったことがあったっけ。
今はもう、ブログに書いて発散しようと思えるほどには慣れてきた。
検索しても"南国の鳥"だ。
動画では、癒しの声と言っていた。
南国の(小さい)鳥の声に癒された。