対話カードバトル&学園ループADV
「春待ちトロイダル」(Switch版)をプレイしました。
はい、またしてもループものですね!
別にループものを狙って選んでいるわけではないんですけれど。
まあループものは名作が多いし、
私は過去に戻って運命を変える系の物語にツボるんだろうな。
この作品に関してはドット絵がかわいらしいけどストーリーは不穏っぽい、
というところに惹かれたんだったかな……
↓公式サイトで絵が見られます。
舞台は「隆ケ島」という土地神信仰のある離島の高校。
突如悪魔に異空間へと拉致された主人公は、
何故か卒業を間近に控えた三年生として高校に転入させられ、
(成人だけど高校生の年齢まで若返るミステリー)
クラスメイト達と10日間を過ごし、
無事に卒業式を迎えることを強要される。
悪魔の目的は、卒業式に起こる「ある事件」を阻止することだった。
主人公は卒業式までの10日間を繰り返し、事件を回避するべく
さまざまな相手と対話して情報を集めてゆくことになる。
あらすじはざっくりこんな感じ。
初回は登場人物と顔合わせ程度~事件発生でループが終わる。
二周目から「対話」というアクションが加わり、
基本的にクラスメイトと交流しながらストーリーが進行。
序盤は事件を回避するための情報を集めるというより、
クラスメイトとの対話をするだけで精一杯、
特になにもできないままループが終わるという感じ。
対話は「カード」を出し合ってバトルする形式なのですが、
このゲームシステムが私にはややとっつきにくく、
開始してしばらくはプレイするモチベが保てず、
中断して数日放置しながらダラダラ進めていました。
卒業式に事件が起きると失敗になりループするのですが、
プレイで得られたポイントで悪魔との取引ができて、
そこでカードやスキルを強化できる。
これでカードバトルでマシな勝負ができるようになってくる。
このゲームは対話で勝てるようになってからが本番。
対話で勝てないと話が進まないので、
攻略としては、ひたすら「カード」を強化するに尽きます。
10日間を繰り返してカードやスキルを強くして、
ようやくクラスメイトとまともな対話になってきて、
有力な証言や情報がじわじわ得られるようになり、
それぞれの思惑が見えてきて、
やがて「事件」が起こる理由や、
犯人の発見、動機の解明に繋がってくるのです。
何度も対話していると、クラスメイト達に愛着が湧いてきます。
しっかり者委員長のハル。
お調子者のコージン。
ギャルだけど真面目なシアン。
アイドルを目指すナギ。
都市伝説好きほんわか娘ミント。
ミステリアスな美少年パグ。
筋肉質で豪快なハッチ。
天然発言少女ふわ子。
ガチなゲーム少年のダイナ。
どこまでもマイペースなナット。
頭脳明晰な教授。
引っ込み思案なテリナ。
かわいい絵でとっつきやすく、みんな個性があって魅力的。
対話を続けると彼らの個人情報がじわじわ増えてきて楽しい。
独特の文化を持つ島という閉鎖的(偏見?)な世界にもかかわらず、
クラスメイト達は新入りを敬遠することもなく、
受け入れられて気さくに会話してもらえるばかりか、
なぜか皆に好かれて信用される主人公。
ただ、土地神やおまじないの話になると不穏な空気になることも。
特定のキャラと親しくなると重要な会話が発生して物語が動く。
誰と対話するかについては、主人公の独白でそれとなくヒントが出るので、
行き詰まるということはなかったですね。
で、事件をどうにかしたら物語が終わるのかというと――
↓ここから下は物語のネタバレがあります。
これからプレイする人はご注意ください。
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↓以下ネタバレあり雑感
◆事件の深刻さが見えない……
卒業式にいきなり殺人事件が起きてしまうのだが、
主人公が死体を発見するわけでも、現場を見てしまうわけでもなく、
「ミントが遺体で発見されたって……」といった、
クラスメイトのセリフのみで伝わってくるうえに、すぐにループが終わる。
まず、被害者であるミントがどうやって死んだのかがわからない。
犯人判明後のスチルで「どうやら刺殺されたっぽい」と分かるが、
人づての情報だけだと緊迫感があまり伝わってこない。
そもそも初回ループの顔見せ段階では誰とも親しくないし、
主人公がミントと仲良くなるわけでもないので、
「誰? どんな子だっけ?」みたいな調子で思い入れもなく、
「事件を阻止しなきゃ!」という使命感が湧き上がってこない。
被害者の印象が強く残るような、
あるいは少し仲良くなるような流れを挿入しつつ、
そのあとで無残に殺されてしまった姿を目の当たりにして、
「そんな! ミントがー(泣)」みたいな気持ちになれるように、
プレイヤーのモチベーションを上げるような演出が欲しかったな。
もう少し殺人事件という悲劇をしっかりと見せてほしかった。
対話で得られる情報から、徐々に怪しい人物が浮上してくるが、
実行犯についてはとあるクラスメイトから
ストレートな名指しの答えが得られてしまうため、
犯人選択肢で悩むことができなかった。
今まで普通に会話していた人物が信仰の話になると不穏な口調なったり、
頭が良い人物が極端な狂信的犯行に走ったりするのは、
理解不能な気持ち悪さを感じる。
そのへんの雰囲気がgood!
◆ループものの醍醐味
殺人事件は阻止できたが、歪んだ信仰観の出所がわからない。
このままだと根本的な解決には至っていないと考えた主人公は、
ループ継続を自ら望む。
悪魔が「別に続けなくてもいい」という感じだった理由が不明。
引き続き10日間の対話を繰り返すと、案の定、
物語の背後に控える黒幕の存在が徐々に見えてきて、
このへんから「おっ、面白くなってきた」という手応えを感じはじめた。
正直に言うと、カードバトルに爽快感がなく
「うわめんどくさ」と思ったりして、
特に序盤はあまり楽しさを感じなかったので、
物語が面白くなってきてホッとしたのだった。
ここから物語はどんどんドラマチックに。
父親がおこなっている悪事の数々に心を痛めているハルの告白。
テリナと仲良しだったリューカ(故人)というクラスメイトの存在が明らかに。
そしてついに悪魔の正体が判明。
悪魔が包帯をしている理由もなんとなくわかったりして、震える。
実は物語の鍵を握る役どころだったパグ。
コージンは何かを頑なに隠して主人公達を突き放す。
それでも食らいつく主人公にコージンはついに心を開く。
巫女の力で過去へ戻り、諸悪の根源である神主と対決。
しかし失敗……
セーブポイントに戻されて「ここからやり直すのかい!」と思いきや、
やり直しと思っていたプレイで隠れた選択肢が発生。
ハルを連れていくことが唯一の正解だったという結末。
パグが巫女であるということが判明してから物語がテンポ良く進み、
一気にクライマックスに突入するのが良かった。
神主を説得するときのハルの台詞に落涙。普通に泣けてしまった。
そして悲劇の過去は改変され、
死んだはずの人がみんな生きてて平和な世界で卒業式を迎える。
みんなの台詞が挿入されたスタッフロールでほっこり。
あ~終わったなぁ……という満足感が得られた。
ここまでのプレイでギャラリーのスチルが一枚欠けているので、
まだ何かあるな?と気付く。
悪魔がいなくなってもループを続けることができるという不思議(笑)。
そこでリューカとの交流を経て真エンドに辿り着ける嬉しい展開。
短めだけど、じんわりとした感動を味わえる良作でした。
◆はじめから+
トゥルーエンドに到達すると追加される「はじめから+」は
初回プレイのパラメータを引き継いだうえで最初からプレイできる。
序盤から無双状態なのが気持ちいい。
物語をおさらいしたかったので、いい追加だなと思った。
「はじめから+」で二周目クリア済。
そりゃあもうカードもスキルもつよつよなので、
ストレスなくストーリーを楽しめました。
◆気になったこと
主人公がループしていたのは悪魔の力。
パグがループしていたのは巫女の力と言っていたが自分の願いを叶えたのか?
それとも無意識にループしていたのか?
死者であるリューカが悪魔となって力を得たのもパグの願いの影響?
過去に遡るという願いがあっさり受け入れられるのって、
最早「おまじない」レベルではなく超常現象じゃね?
島の土地神どれだけ力のある神様なのよ……
あと、話にあまり関わってこないキャラがいたのは勿体ないなと。
ゲーム攻略的に、話しかける必要があるキャラが限定されていて、
それ以外の人との対話は深掘りする意味がないというのがね……
全員個性的で面白いのに、少し残念。
校内を回るのとか散歩とか、寄り道の楽しみも薄かったな。
クラスメイトとの雑談は色々種類があって楽しかった。
◆ハッピーエンドに導く主人公のこと
何度もやり直してハッピーエンドに到達するのが
ループものの醍醐味と思っているので、
神主が狂わず、リューカが自決せず、コージンが追い詰められず、
ミントの両親も無事で、
ミントが殺されず教授も殺人犯にならない、
ハッチも奇跡の水とかに騙されず、
ドロドロした未来への道筋が消えて、
みんなが無事な平和的な世界線に到達できて素直に良かったと思った。
より良い世界線に到達するまでに
ありとあらゆる絶望的な体験を繰り返して
主人公が病んでくるループ作品も多いけど、
このゲームでは主人公が病まず精神も壊れず、
楽観的で心が強靱というか……鋼の精神すぎんか、なんだこいつ。
自分は死なず、気が狂うほどループするわけでもないからか。
中身は高校生ではなく大人だからか。
主人公、28歳、サラリーマン。
28歳でおじさんかぁ……
高校生に対してジェネレーションギャップを感じるほど年齢差ある?
28歳って口裂け女に詳しい年代かな。
口裂け女をリアルで体験した年代って今もう50~60代辺りじゃね?
というか「春待ちトロイダル」の舞台設定年代はいつなんだろうか。
トゥルーエンドを迎えても主人公は延々とループできちゃうけど、
無事にサラリーマンとして、もとの世界に戻れるんだろうか。
ループ無間地獄に閉じ込められてないよね?(笑)
追記・教授の動機について考えていた。
テリナの願いに矛盾が生じているので帳尻を合わせるため一人減らす、
なおかつ巫女の力を失ったミントを霊魂にすることで救済する、
彼はそんなような事を言っていたけど、
よく考えると主人公がクラスに転入せず12人のままなら、
一人減らす理由もなく、
テリナの願いは普通にかなって平穏な卒業式を迎えられたのでは。
……主人公いらなくね?
それともクラスメイトが13人になっていることは関係なく、
巫女の力を失っているという理由でミントは卒業式に殺される運命なのか?
まあ主人公が干渉しない流れのままだと、
リューカは死んだままだし、神主は今後も悪事を続けるし、
教授やハッチ、おそらく大勢の島民が狂信者のままだし、
パグもループの輪から抜けられないのか……
「リューカが悪魔になって、主人公をクラスに送り込んだ」ことは、
みんなを救い、この状況をどうにかしたいと思っていたパグが
無自覚に願った結果なのかもしれない、となんとなく思った。






