2024.09.10(火)　「鏡の向こうに映る故郷の記憶：幼き文助と母ナミの物語」【6】

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みなさま、おはようございます。北海道苫小牧市『霊観占い大幸』代表の峰ゆり子です。早朝、外には爽やかな風がそよぎ、窓から差し込む遠くの街灯が目に入ります。風の音は、まるで海のさざ波のように心を穏やかに包み込み、9月の朝の始まりを知らせてくれます。月日が流れるのは本当に早いものですね。気がつけば、もう9月も半ばを迎えようと駆け足で過ぎ去って行くような気配です。

こうして皆さまとこの朝を共有できること、そして日々の中で感じる小さな幸せを一緒に分かち合えることに、心から感謝しています。どんな日も、新たなエネルギーに満ちた1日が待っています。今日も、心を柔らかく開きながら、自然の声や宇宙の導きを感じて、優しい気持ちで過ごしていただけたらと思います。

皆さまの1日が、愛と光に包まれた素晴らしいものとなりますように。

『鏡の向こうの占い師』第2弾: 親の子供時代

文助物語②

数々の試練を乗り越え、文助がたどり着いた鳥海村は、昼前の静けさに包まれていた。彼の母親は、遠くからその姿を確認すると、喜びと驚きが交じった表情で急ぎ駆け寄り、「文助か？文助だよなー！」と、息を切らしながらも念を押した。その声に応えるかのように、文助は小さく頷いた。その瞬間、母親は彼の冷えた身体をしっかりと抱きしめた。何も語らずとも、母親はすべてを感じ取っていた。

周囲にいた村人たちも、その文助の大きな変貌の姿を目にし、驚きとざわめきが広がった。だが、その噂は瞬く間に村中へと伝わり、村全体が文助の帰還を知ることとなった。

母親は文助を家に連れ帰ると、すぐにお風呂を沸かし、冷え切った彼の身体を温めた。彼の心も同様に、長い旅路で凍えたものだったのだろう。湯気が立ちのぼる中で、母親はその痛みを少しでも和らげようと、無言で手を握りしめた。

夕暮れ時、家族が揃って食卓を囲んだ。長男の亀五郎、長女ハナ、次女ヤエ、幼い三女トミ、そして父親の栄次郎。食卓の一角には、母親のお腹の中に宿る新たな命、五男正（ただし）が息づいていた。この静かな光景の中で、家族は言葉を交わすことなく、ただ互いの存在を感じながら食事を共にしていた。

文助が連れ去られた時代は激動していた。次の年、大正天皇が崩御し、1926年12月25日、大正時代は幕を閉じた。15年間という短い期間であったが、その間に日本は激しい変化にさらされていた。第一次世界大戦の影響や関東大震災など、国全体が揺れ動く中での出来事だった。

1914年に始まった第一次世界大戦。戦争の火種は、サラエボ事件に遡る。この暗殺事件は、オーストリア・ハンガリー帝国の皇位継承者であるフランツ・フェルディナント大公夫妻が、セルビア人ナショナリストによって命を奪われた事件だった。この一連の出来事が、全世界を巻き込む悲劇的な戦争へとつながったのだ。

同じ頃、日本は大きな悲劇に見舞われていた。1923年9月1日午前11時58分、関東大震災が発生し、多くの命と家屋が一瞬にして奪われた。この震災により、10万棟以上の家屋が倒壊し、死者・行方不明者は10万人を超え、町という町は荒れ果て、悲しみに覆われた。それは、まるで天と地が揺れ動くかのように、日本中の人々の心を深い恐怖と絶望で満たした瞬間だった。

自然災害に加え、戦争というもう一つの暗雲が人々の生活を脅かしていた。戦争と災害、ふたつの試練が同時に訪れたこの時代は、まさに過酷な運命の流れの中で、苦しみや悲しみが積み重なる日々だった。

この物語を書きながら、私はふとホロスコープを手に取り、関東大震災の瞬間に星々がどのように動いていたのかを読み解いてみた。すると驚くべきことに、空には「水のグランドトライン（大三角形）」が描かれていた。これは、特別なエネルギーの流れが運命を強く導くと言われる配置であり、その時の星図には、木星、天王星、冥王星が絡んでいたのだ。

木星は拡大と成長を象徴し、物事を大きく動かす力を持っている。そして、この木星が関わる「水のグランドトライン」は、特に運命の激流に乗るとされる強い星の配置だ。その激流は、私たちが抗えない運命の流れを示し、人生に大きな変化をもたらすことを予感させていた。

天王星は、突然の変革や革命を象徴する星であり、予測不可能な出来事を引き起こす力を持つ。まるで天が怒る雷のように、私たちの生活を一瞬で変えてしまう力だ。そして冥王星は、破壊と再生、極限的な状況を示す星であり、私たちが乗り越えなければならない深い試練や浄化のプロセスを表している。

この「水のグランドトライン」によって、木星の成長と拡大が、天王星の変革の力と冥王星の再生のエネルギーを結びつけ、私たちの人生に深い影響を与えていたかのように思える。水のエレメントは、人々の感情や直感、癒しの象徴であり、その中で天王星がもたらす突然の変化、冥王星が示す終焉と新たな始まりは、まるで私たち人間が避けられない運命の渦に飲み込まれているかのように感じられた。

私たちの人生は、この星々の力によって、知らぬ間に静かに導かれていたのかもしれない。その時はまだ気づいていなかったが、未来への道はすでに星々によって織りなされていたのだ。

私のまだ生まれていないこの時代、天の動きもまた、私たちの地上の運命に強く影響を及ぼしていたように感じられた。

見えない力に導かれながら、私たちはただ前を向いて進むしかなかった。それは、星々が織りなす運命の糸が、私たちを試練の中でも支え、未来へと静かに導いていたことを、今なら知ることができる。

しかし当時は、未来がどのように展開されるのか、その時は誰しもが知るすべもなかったと想像する。だが、星図を開いて見ると、間違いなく星々は私たちに語りかけ、自然の大いなる力とともに、運命の流れを形作っていた。

そのような激動の時代、文助の師である神仙人も、最後の息を引き取った。彼の死は運命の流れのひとつであり、文助にそのバトンが渡された瞬間だった。幼い彼はまだ、その重みを理解するには幼すぎたかもしれない。それでも、彼と家族は前に進むことを選んだ。

夕食を終えた頃、文助の両親はそっと彼を見つめ、何をどう話しかけていいのかわからないまま、その沈黙を受け入れていた。文助から言葉が出てくるのを待つように、家族はじっと彼の顔を覗き込んだ。

物語はここで終わるわけではない。文助の旅路は、まだ始まったばかりだ。彼の魂がどのようにして再び光を取り戻していくのか、そして運命が彼をどこへ導くのかは、誰も知る由もない。しかし、その一歩一歩が、神々の見守る中で織り成されていることだけは確かなのだ。

その後、母親は六男兼吉と私の母であるナミを授かる。だが、文助と深く関わりを持つことになるのは、長女ハナ、六男の兼吉、そしてナミとナミの子供である私たちだった。この頃、まだ誰もが予想することのできない未来が、静かにその幕を開けようとしていた。

文助が歩んだ道は、単なる個人の物語ではなく、次の世代、さらにはその先の未来へと続く運命の糸を織りなしていく。その運命の糸は、まるで見えない手によって導かれ、時を超えて私たちを結びつけていたのだ。家族の歴史の中に、ささやかながらも確かな形で織り込まれていく運命。まだこの時、誰もその未来を知ることはなかったが、彼らの選択と試練が、私たちにどのような影響を与えるかは、徐々に明らかになっていく。

それは、星々が静かに夜空で語りかけるような、遠い未来へのメッセージだったのかもしれない。

――続きは明日へ。

皆さま、いつも温かい応援をありがとうございます。これからも観音様、龍神様の導きに感謝しながら、一歩一歩歩んでいきたいと思います。どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。皆様にも御加護が届きますように。そして、皆様の今日という1日の一瞬一瞬をゆるりゆるり、サラリサラリとお過ごしができますよう。また心安らかな日となりますよう。合掌。

愛と感謝を込めて、

峰ゆり子