続いて、ボーカリストのKさんのセッションをした。
彼女のテーマは
「ライブで歌を歌っているとき、お喋りをして聴いてくれないお客様がいると、ストレスになり、歌う気がしなくなる」
ということだった。
早速、歌ってもらい、他のメンバーにはお喋りをしてもらった。
彼女が一生懸命大きな声で歌えば歌うほど、観客のお喋りの声は余計に大きくなっていった。
彼女のエネルギーを筋肉反射テストで調べると「アドレナリン過剰」という状態になっていた。
つまり、聴いてくれない観客がいると、なんとか聴かせようとサバイバル・モードになっていたのだ。
サバイバル・モードとは(戦う/逃げる)というモードだ。
「お喋りに対抗してアドレナリンを出して、戦いを挑むように歌う。すると観客は余計に大きな声で喋り始める。
戦いに勝ち目がなくなると、今度は歌う気がなくなって逃げ出したくなる」というような状態だ。
そこで、このメンタルブロックを解放し、再び歌ってもらった。今度は、観客がどうかに関係なく、彼女自身が楽しんで歌っているのが分かった。
その楽しそうな歌声に、お喋りしていた観客もその声の響きに惹きこまれてしまい、次第にお喋りが止まっていった。
会場全体が、さっきまでの戦うエネルギーから調和のエネルギーに変わり、全体の空気が和んでいくのが感じられた。
彼女のもう一つのテーマは「明るい歌が苦手」ということだった。とっても美しい顔だちをしているのだが、内側に怒りがあるのが感じ取れた。
年齢遡行してみると、「子供時代に自分の歌を聴いてもらえなかったこと」や「歌手なんかで食べていけるわけがない」と否定されたことなどがくすぶった怒りとして残っていた。
クロスパターンというエクササイズ(交差足踏み、並行足踏み)をしながら、歌ってもらった。この方法は右脳と左脳を統合するとことで、偏った捉え方からくる怒り(左脳偏重)を右脳側の全体的視点(相手の立場に立った捉え方)と統合することで解消していく方法だ。
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身体を動かしながら歌っていくことで、どんどん声が明るくなり、楽しそうな表情に変わっていった。
そして、内側のくすぶった怒りが解消されることで、彼女本来の美しさ明るさが引き出され、明るい歌がぴったりのキャラクターに変わっていった。
<つづく>