15年間続けてきたセラピストの仕事をやめ、人生を変えるために全く今までと違うことをしようと、鳶の世界に飛び込んで約1年、この間いろいろなことがあった。そして、意図した通り、人生の巡りが変わり、次のステップに進む時期が来たようだ。鳶の仕事も、8月一杯、あと2日間だ。
そこで、この1年を振り返る日記も早く「つづき」を書き終え、今現在に戻ってこなくては…。
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鳶の仕事は、一現場4人~6人で動いていた。
そこで、この1年を振り返る日記も早く「つづき」を書き終え、今現在に戻ってこなくては…。
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鳶の仕事は、一現場4人~6人で動いていた。
そんな中、私が最初に戸惑ったのは、皆無口で、朝の打ち合わせにしても、一服つけながら一言二言言葉を交わしたかと思うと、あとは阿吽の呼吸で、暗黙のうちに役割が決まり、たったか仕事をこなしていく。
そんな中で、見習い鳶の私の仕事は、足場に上がった先輩職人の方々が必要なパイプやクランプ(連結金具のこと)などの材料を下で段取りし、手渡すこと。
「○○持って来い!」と上で叫ばれ、「ハイ!」と元気よく返事をしたものの、よくわからなくてモタモタしていると、先輩がいつの間にか黙って自分で取りに行って仕事を進めていく。ようやく、見つけて私が駆けつけたときには、もう仕事は進んでしまっていて、無駄になり、自分だけ一人取り残されてしまうことになる。
「○○持って来い!」と上で叫ばれ、「ハイ!」と元気よく返事をしたものの、よくわからなくてモタモタしていると、先輩がいつの間にか黙って自分で取りに行って仕事を進めていく。ようやく、見つけて私が駆けつけたときには、もう仕事は進んでしまっていて、無駄になり、自分だけ一人取り残されてしまうことになる。
そこで、「次は何を用意しますか?!」と自分から聞くようにした。ところが忙しく仕事をしている先輩方からは、返事があったり、なかったり…。そうこうしているうちに、一週間経つと、
「うるさいな、イチイチ聞くな!
もう、これからは何も言わないから、自分で考えて仕事して!」
と突き放されてしまった。
しかし、私はこの時嬉しかった。
しかし、私はこの時嬉しかった。
「そうか、自分で考えていいんだ。どうせド素人のオレが居ても居なくても、仕事はドンドン進んでいく。
だったら、焦らず、落ち着いて全体を観察し、何が必要か考えて準備してみよう」
と思った。
すると、全体の状況が見え始め、「これから、○○を作るんだから、まず、△が何本必要で、その次には□が何個、ついでに、×も一緒にも準備しておこう!」と自分で段取りが組めるようになってきた。そうなると、俄然 仕事が面白くなり充実感が湧いてくる。
また、ド素人ゆえの失敗はつきものだ。
「バカヤロ! なんで○○するんだ!」
と怒鳴られ、事情を聞かれているんだと思って、
「実は、△△だったもんですから○○しました…」
と答えると
「うるさい! 言い訳するな!」
と一喝されてしまう。
今まで、人にものを教えたり、気づかせるのが仕事だったため、いかに相手に分かりやすく説明するかということばかり考えてきたが、今は教えてもらう立場、こちらの事情なんてどうでもいいんだということに気づく。
また、相手の気分を害してしまったと思って、
「さっきは、すみませんでした」と謝った方がいいかな…と思っていってみても、そんなやり取りもウザッタイという雰囲気、失敗は謝る事より、しっかり印象付けて、次に活かすだけでいいんだということ、怒られた時ほど、学べるんだということにも気づく。
職人の世界は、時間までは、漫画を読んだり、花札をしたり、寝ていたりもするが、いざ仕事となったら、とにかく速い。与えられた仕事に対して、いかに段取りよく、正確かつ美しく、また、その足場を使う他の職人さんのことを思いやって、どうしたら、安全でしかも作業がしやすか…ということを一瞬のうちに判断して、動いていく。
また、その日与えられた仕事は、その日のうちに、仕上げるため、全力を尽くす。
しかも、10時、昼、3時に休憩を取り、5時には終了 というリズムが体内時計に組み込まれているようで、黙ってテキパキ動いていていた手が突然止まり、「そろそろ時間だろ」と聞かれる。私が時計を見ると、大抵5分前。 時間になったら、スパッと切り上げ、だらだらやらない。
私はみんなの速さになんとか着いていこうと、時間のことも忘れて無我夢中で動いているが、なかなか時間までに一段落つけられない。「もう少しやりたい…」と思うが、それは私の事情だ。全体の調和を考えたら、「ズルズルやりたい…」その気持ちに区切りをつけること、そして、次には全体のリズムに合わせて、皆の手が止まったときには、自分の仕事も一段落している…そんな状態になるよう努力することが大切だということを学ぶ。
茶髪でピアスをつけ、わざと怖そうに眉間にシワを寄せたツッパリお兄ちゃん達だが、仕事はできる。
茶髪でピアスをつけ、わざと怖そうに眉間にシワを寄せたツッパリお兄ちゃん達だが、仕事はできる。
それまで、自分の中にあった、ホワイトカラーの優越感、そしてブルーカラー(肉体労働)をどこかで下に見ていた自分の傲慢さが、ことごとく打ち砕かれていく。
これを身をもって知る必要があったんだと思う…。
これを身をもって知る必要があったんだと思う…。
<つづく>
《人生を変える旅路④ 居酒屋でのバイト》
http://ameblo.jp/mindupdate/entry-11151664833.html