★10年後、視力を失うかもしれない後輩から学んだこと。 | 伝えられる人を増やす講師 春明 力(はるあけちから)のブログ

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「10年後に視力を失うかもしれない。」

 

一週間前、急にそう言われた時、正直戸惑いました。

 

 

 

一か月前、妻と息子が電車に乗ってる時、

 

突然、男性から声をかけられたそうです。

 

 

その男性は、手に持っていたスマホを

 

いきなり妻の顔の前に持ってきたそうです。

 

 

そのスマホの画面には、

 

僕の写真が写っていました。

 

 

その男性は、僕らが行っていた学校の後輩でした。

 

 

 

2012年の年末に、

 

僕は母校で講演会をやっていました。

 

 

 

その時に参加してくれた1人の後輩がいました。

 

一番前の席に座っていて、一人だけスーツ着てて…。

 

そのせいもあって、すごく目につきました。

 

 

終わってから、3時間くらいだったか・・・

 

沢山の後輩と話をしました。

 

 

その時に、そのスーツを着た後輩とも話して、

 

その後、熱いメッセージももらいました。

 

 

(今気づいたけど、呼び捨てにされてる笑)

 

 

それから8年後の先日、

 

突然妻の顔の前にスマホを見せてきたのが、

 

その後輩の松井慎太郎君でした。

 

 

慎太郎君いわく、

 

「怪しまれないように、

 

春さんの写真を見せました」

 

とのことだったのですが、その発想力 笑

 

逆に妻は、驚いたらしいです。笑

 

 

その時に、

 

「春明さんに会いたい」と言われ、

 

「いいよ。遊びにおいでよ」と妻は勝手に(笑)答え、

 

慎太郎君から連絡をもらい、

 

ちょうど一週間前に飲みにいきました。

 

 

お店に現れた慎太郎君は、仕事帰りで

 

8年前と同じようにスーツを着ていました。

 

 

もう、わかりやすすぎるくらいに

 

恐縮してて、緊張してて…。

 

 

「食べなよ」と言っても、

 

「はい。」と言うだけで1時間以上食べないし。

 

 

「飲みなよ」と言っても、

 

唇湿らすだけで、すぐにコップ置いちゃうし。

 

 

その慎太郎君が最初に渡してくれたのが、

 

僕と話したいことをまとめてくれた1枚の紙でした。

 

 

 

 

すごく嬉しかったんですよね。

 

 

「なんで、僕に会ってくれたんですか?」

 

「忙しいのに、時間を使ってもらって…」

 

慎太郎君は、何度もそう言ってくれていました。

 

 

それだけでも、僕と過ごす時間を大切に

 

想ってくれてるのは伝わってきてて…。

 

 

そして、この紙を見たときに、

 

僕との時間を何度もイメージしてくれて、

 

無駄にしないようにしようとしてくれたことが

 

伝わってきました。

 

 

だから、より力になりたいなと思いました。

 

そして、このガチガチを解くためにも、

 

まず慎太郎君の話を聞こうと思いました。

 

 

今まで、何度も転職してきたこと。

 

メンタル的に危なかった時期もあったこと。

 

今年の1月に、結婚したこと。

 

起業したいこと・・・。

 

いろんな話を聞きました。

 

 

そして、

 

1か月前に、オンラインサロンを始めた話を

 

聞いている時に、想像もしなかった事実を聞きました。

 

 

「10年後に視力を失うかもしれないんです。」

 

 

慎太郎君は、

 

徐々に視力を失っていく病気を持っていました。

 

 

既に今も、普通の人が見えるものが

 

見えていませんでした。

 

 

文書が見えなかったり、

 

ものを落としやすかったり、

 

転びやすかったり・・・。

 

 

そして、その病気は40代のうちに

 

高い割合で失明する病気でした。

 

 

その話を聞いた時、

 

僕は、言葉に詰まりました。

 

 

どんな言葉をかけていいのか?

 

わからなくなりました。

 

 

 

僕は、人の話を聞いている時、

 

頭に映像が浮かんでいます。

 

 

その人が見てきた過去。

 

その人が見ている未来。

 

 

そこに出てくる人たち。

 

その人たちの表情。

 

周りの景色。

 

 

もちろん詳細は現実とは違うと思いますが、

 

それでも描いています。

 

できる限り、相手の立場に立てるように…。

 

 

だけど、それが描けなくなったんです。

 

視力を失うって、「見えなくなる」って

 

僕は経験したことないことで…。

 

これからもおそらく経験できないことだから…。

 

 

だから、提案も思いつかないし、

 

「大丈夫だよ」なんて、無責任な言葉も言いたくないし…。

 

言葉に詰まりました。

 

 

でも、慎太郎君は

 

そんなこと気にしてませんでした。

 

 

一生懸命に、

 

オンラインサロンの説明をしてくれたんです。

 

 

自分と同じように目が不自由な人、

 

今失明してしまっている人、

 

そういう人たちのためのオンラインサロン。

 

 

そういう人たちが、もっと輝くためには?

 

 

自分の考えを、何も食べずに

 

キラキラした目で語ってくれました。

 

 

「ああ、そうだよな。

 

慎太郎君は、

 

別に慰めてもらいたいわけでもなく、

 

同情してほしいわけでもなく…。

 

 

良くなるための話をしにきたんだな。」

 

 

そのことに気付いた僕は、

 

慎太郎君の話を聞き続けました。

 

 

無理して今答えなくていい。

 

ちゃんと役に立てると思える話ができるまで、

 

聞けばいい。

 

 

 

慎太郎君が、その病気だと知ったのは

 

まだ小さいころで…。

 

 

それから、なるべく症状を遅らせるために、

 

家族みんなで食事療法に取り組んだこと。

 

 

好きなものが食べられなかったこと。

 

症状を遅らせるための飲み物を

 

大量に飲まなければいけなかったこと。

 

その飲み物のせいで、

 

毎日お腹を壊していたこと。

 

そのせいもあって、いじめられたこと。

 

 

ずっと野球を続けてきたこと。

 

今でもピッチャーをやっていること。

 

打球は見えないから、

 

チームメイトが捕ってくれること。

 

 

温かく見守ってくれた

 

先生たちに感謝していること。

 

 

いつもサポートしてくれた

 

家族に感謝していること。

 

 

 

そうして、

 

6時半から始まった飲み会が終わったのは、

 

11時でした。

 

 

僕は、ほぼ慎太郎君の話を

 

聞いていた気がします。

 

 

 

そして、時折、

 

慎太郎君の質問に答えていました。

 

 

その時に、僕の経験と考え方も

 

話しました。

 

 

お金がなかったころの話。

 

結婚の話。

 

起業して出逢ったお客さんの話。

 

仕事に対する考え方。

 

僕が慎太郎君だったら、

 

オンラインサロンをどうするか?

 

 

慎太郎君は、一生懸命に聞いてくれながら、

 

何度か涙ぐんでくれました。

 

 

帰り際も、

 

涙ぐみながら何度も頭を下げてくれて…。

 

 

「帰りづらいから、もう行って」と

 

思わず言ってしまうくらいでした。笑

 

 

 

慎太郎君と話している時に、

 

慎太郎君のことはブログに書かない予定でした。

 

 

でも、慎太郎君はこう言いました。

 

「春さんからブログに書いてもらえるのが

 

目標なんです。」

 

 

だけど、慎太郎君は、

 

この病気のことを友達にも言っていません。

 

 

だから、僕は

 

「じゃあ、名前なしで、

 

Facebookでもタグ付けなしで書くね。」

 

と伝えました。

 

 

でも、慎太郎君は言うんです。

 

「いや、名前もタグ付けもしてほしいです。

 

何でも書いてください。

 

春さんから書いてもらった方が、

 

僕が伝えるよりも絶対いいから。」

 

 

そんな、とんでもないプレッシャーを受けながら笑、

 

感じたままにこの文章を書きました。

 

 

 

 

慎太郎君と別れた直後、

 

家までゆっくり時間をかけて帰りました。

 

 

そうして、慎太郎君との時間を思い出していました。

 

 

好きなものが食べられなかったこと。

 

飲みたくないものを飲み続けたこと。

 

体調崩して、いじめられたこと。

 

 

ずっと野球を続けてきたこと。

 

今でもピッチャーをやっていること。

 

打球は見えないから、

 

チームメイトが捕ってくれること。

 

先生たちに感謝していること。

 

家族に感謝していること。

 

 

 

そして、ある会話を思い出した時、

 

いつのまにか涙が出てきていました。

 

 

「今は、見えているから、できることをやる。

 

見えなくなっても…

 

見えなくなったから、できることをやる。」

 

 

 

「後輩の役に立てれば」と思っていた時間。

 

だけど、僕の方が大切なものをもらいました。

 

 

見えているから、できることがある。

 

見えなくなるから、できることがある。

 

見えなくなったから、できることがある。

 

 

理解されたから、できることがある。

 

理解されないから、できることがある。

 

 

応援されてるから、できることがある。

 

傷ついたから、できることがある。

 

 

嘆く時間はもったいない。

 

どんな状況だって、できることはある。

 

 

必死で考えよう。

 

みつかるまで考え続けよう。

 

 

歩こう。

 

何度立ち止まっても、何度だって踏み出そう。

 

一歩一歩を味わいながら。

 

 

慎太郎君は笑ってたから。

 

幸せだって言っていたから。

 

ありがとうを何度も言っていたから。

 

 

 

 

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