あらすじ


現実世界でいうギフテッドはIQの高い人々のことだが、この物語では腎臓に「機能性腫瘍」を持って生まれてきた進化した人間の話。

政治によって扱いが二転三転し、子供時代から振り回されてきたギフテッドたち。

ギフテッドの優遇制度がなくなったとき、彼らのアイデンティティは一瞬揺らいでしまったが、多くの人は一般人に溶け込んで生活していた。

しかし、ギフテッドに対する差別はずっと続いたままだった。

それに対して、主人公の同級生である村山直美は、ギフテッドとしてのアイデンティティを保ち続けようと仲間を集めて修行をしていたが、それを邪魔しに来たチンピラ集団を自分の意志とは無関係に発動した超能力で殺してしまう。

その事件からさらにギフテッド差別が激化してしまった。

コミュニケーションが苦手な村山は政治的手法ではなく、脳筋な力での武力行使で対抗していく。

そのうちギフテッドの人権を無視した法律までできてしまってついに村山はテロ宣言、、、
主人公たちは村山を止められるのか。

感想


物語の中盤はハラハラした展開が少なく惰性で読んでいたが、クライマックスは一気に読んでしまった。

新しい価値観が生まれ、新しい枠組みに入るマイノリティの人たちの苦しみや悲しみが分かる(分かった気になっているだけかも)ストーリーだった。

今の時代は新しい価値観が受け入れられやすくなっているが、それでも同性愛者は子孫を残さないから認めないとか発言している政治家はいる。

いつも他人事だったマイノリティの人権が法的にも民衆の心情的にも認められるまでには長い年月と根気が必要ということをはっきりと理解させられた。