九条の大罪 | みなとまちアニマルクリニックの「裏」ブログです。

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こんにちは。こちらは「非公式」ブログです。書いている内容は、あくまでも著者の一意見であり、賛否のご判断はお任せします。読み飛ばす程度に呼んでください。僕は自戒のつもりで書いてます。

 

ウシジマくんを読むとなんだか暗い気持ちになりますが

 

なんだかたまに読んでしまうんです。

 

この気持ちわかります?

 

あと珍しく映像化に上手くいった作品だとも思います。

 

山田孝之のウシジマ君好きな人多いんじゃないでしょうか。

 

そんな真鍋さんの新作が九条の大罪ですね。

 

11巻からは第2章という感じで

 

医療がテーマになってます。

 

まあ真鍋さんの作品なんで9割は悪人なんですが

 

一人の医者が休日に電話を受けて

 

ニュアンスとしては

 

休日に電話すな?そんなん面倒だし腕切っちまえばいいだろ。正義感で攻めた手術して揉め事になるくらいなら安パイでいけ。

 

というようなシーンがあります。

 

複雑にさまざまが絡み合う人間模様なので

 

状況説明は致しませんが漫画読んでみてください。

 

僕はこんなこと思い出しました。

 

数年前、実は僕がはじめて手術をさせてもらった飼い主さんがいらっしゃいます。

 

その飼い主さんは誰もが知る病院の看護師長まで勤められた方で

 

若い医師には冒険させろと快くやらせてくださいました。

 

今でも思い出します。

 

その飼い主さんが違う子(保護した子)を連れてやってきました。

 

開放性の骨折をしていました。

 

外に出る子なので僕はなんとか骨折を治したいと考えました。

 

その時、医学的なセオリーで「骨折の手術をすべきじゃない」とわかっていたにも拘らずです。

 

やはり手術をしましたが

 

感染がひどく、外猫さんなので手術後に落ち着いていることができません。

 

2回の手術の末、感染がひどくなり

 

断脚する運びとなりました。

 

その頃には敗血症がひどく、意識もなくなり

 

かなり命の危険がありました。

 

断脚後、集中治療をし、なんとかお返しすることができましたが

 

5日後の再診に来ていただくことができませんでした。

 

正直、僕は亡くなってしまったと思い

 

自分の判断やしてしまったことにかなり心をやられました。

 

ここまで読んでいただいてどうでしょう。

 

おそらく漫画の中では悪として語られる医師ですが

 

安パイを取りに行く判断が僕は間違っているとも思えません。

 

事実、そいつ利き手じゃないだろうと確認もしています。

 

善悪の判断を読者に委ねるような書き口は本当にすごいです。

 

 

ちなみにですが、後日談でつい2ヶ月くらい前に

 

その子は元気に当院に現れました。

 

もちろん飼い主さんも一緒です。

 

普通に元気で捕まえられなくて来れなかったそうです。

 

どれだけ救われたか。

 

僕らはそういう症例の一人一人を全て覚えています。

 

そしてふとした拍子に心に揺さぶりをかけてきます。

 

助かってほしくない、適当にやるなんてことはあり得ないんです。

 

まあともかく、漫画おすすめです。

 

 

 

 

 

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