赤字1000万円? | みなとまちアニマルクリニックの「裏」ブログです。

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こんにちは。こちらは「非公式」ブログです。書いている内容は、あくまでも著者の一意見であり、賛否のご判断はお任せします。読み飛ばす程度に呼んでください。僕は自戒のつもりで書いてます。

 

更新が滞ってしまい申し訳ありません。

 

1月24日(水)の午後は「あんどえむ 」はお休みです。

 

中村が出張中ということと

 

僕と妻は会計士さんのところで決算報告会があります。

 

僕の診察復帰予定は27日の土曜日からとさせてください。

 

僕としては個人のときと含めまして5回目の決算報告会です。

 

実は今年は今日に至ってもまだ正確な数字が出ていない状況です。

 

事の次第は皆様よくご存知かと思われます。

 

こちらに越してきてから新たな患者様が非常に多いので

 

一応説明しておきますと

 

2019年の3月に内装を施して開業させた当院ですが

 

2022年11月に家主様からの退去勧告が出されました。

 

2023年の4月に出て言って欲しいという事でした。

 

社長の仕事は資金繰りだという提言がありますが

 

獣医師であるととともに社長である僕は

 

スタッフ共々そこからは移転のために奔走しました。

 

正直言って数字に構っていられませんでした。

 

あまりに時間がなかったので

 

兎にも角にも移転してやり直すということだけです。

 

開業4年目法人成り2年目の会社にそもそもそんな余力はなく

 

移転先の候補も(もちろんお金の問題で賃貸で考えていました)結構断られ

 

挙げ句の果てに内装に費やした金額などなどは丸々損をしました。

 

もうやれるだけのことはやりました。

 

8割方は患者さんのおかげでいまがあります。ありがとうございました。

 

初耳の方は嫌々、家主に法的に訴えなさいよと思われると思います。

 

いまだになんで訴訟しなかったのかを問われることが多いです。

 

これが多分一番の質問に対する答えになると思います。

 

家主様の会社は昨年の大晦日に倒産されました。

 

当社は利益の受給関係にあったわけではありませんので

 

直接知らされたわけではありませんが

 

飼い主様がたで何年も先のフードやトリミングのお値段をお支払いして

 

ペットをお迎えするという契約をされてらっしゃる方が何名もいらっしゃり

 

弁護士からの通達で料金は返せないという通達がきたということを

 

僕は診察を通して何回か聞くことになりました。

 

前提としてこの病院は元々その会社様のオーナーさんにいただいたものです。

 

色々なチャレンジをさせていただきましたし

 

本当に感謝をしています。

 

複雑な気持ちですが

 

12月に数年分をお支払いされている方もいるようです。

 

内装費などに関しては僕はなんとも思っていません。

 

上記のような気持ちもありますし

 

そういう不要不急の責任を負うのも仕事です。

 

でも12月に支払ったことを聞かされたり

 

ブリーデイングしていた犬猫さんのことを思うと

 

非常に心苦しくなるんです。

 

契約されていた方に報いる(僕が報いるのもおかしな話ですが)のは病院の質を高めることでできるかもしれません。

 

あの犬猫さんたちはどうなったのか。

 

名前を知ってる子も多いです。

 

考えないようにすることしかできないのでしょうか。

 

ここでペットショップの善悪については語りません。

 

僕は感謝をしている社長が犬猫が非常に好きだったことを知っています。

 

あんたじゃ飼えないよ。とダメそうな方には売らなかったこともしばしばです。

 

上記のような生体代金無料というやり方に反対していたことも知っています。

 

善悪について語ると感情的になりますので

 

語らず現実的に何ができるのかを考えることだと思います。

 

そうなるとやはり経営者は資金繰りだという話に帰結するんじゃないでしょうか。

 

一般的なペットショップにありがちな問題も潤沢な設備投資で

 

一部は解決できそうな気もします。

 

資金繰りに苦慮するので

 

何とかしてその場しのぎのキャッシュをつくろうとすることと

 

そういう状態になってしまう状況こそがそもそも

 

間違っているのだと思います。

 

今回は僕自身も金銭的に大変な苦労をしました。

 

会社を潰して、一人だけでミニマムにやり直そうと何度も思いました。

 

良かったのは「患者さん」という金銭以上の宝物がついてくださった運だけだと思います。

 

そうそう、決算の話でしたね。

 

こんな具合で異常な資金調達をしていったり

 

大掛かりな買い物をしたり

 

引越しのためにいろんな項目で経費を使ったり

 

などなどして

 

今日に至って具体的な数字が出ていない状況です。

 

ある程度の数字ですが1000万ほどの赤字になりそうだということです。

 

簿記を持たれている方や数字に明るい方は

 

いくら大きい買い物したからってとか

 

減価償却ってもんが

 

と思われるかもしれませんが

 

それくらい紛糾していたということです。

 

ちなみに赤字ははじめてです。

 

利益を出すことで社会貢献するのが会社の務めだと思っていますのですみません。

 

さて僕らにとっての社会貢献はできるだけ多くの人がいいと思ってもらえる病院を作ることです。

 

気持ちを切り替えていかなければいけません。

 

綺麗事だけではすまないのが経営だと思います。

 

2024年1月から「診察代」という項目のみ1500円にさせていただきました。

 

スタッフ間でかなり話し合って決めたことですが

 

正直いって付け焼き刃にすぎません。

 

何度もブログで触れていますが

 

「薬」を出さないと「注射」をしないと動物病院は儲かりません。

 

出さない判断、打たない判断こそが重要でそれが純医学的な質だというのは明白なはずですが。

 

純医学的なと書いたのは、サービス業としての動物病院の質は別箇にあるとも思いますので。

 

僕も最近だと3日以上の処方はほとんどしません。

 

様々なコンプライアンスも考えて、2剤以上の処方をしません。

 

3日で治らないなら組み立て直す必要がありますし

 

急性疾患なんかは3日で治ってしまうことがほとんどだと思います。

 

もちろん診断のついた慢性疾患や診断的治療をしようというなら別ですよ。

 

何なら皮下点滴なんてのもほとんどしませんし

 

痛いの可哀想だからできるだけ注射をしない方向にします。

 

コンベニア(2週間きくぜという抗生剤)を置いてないのは当院くらいじゃないでしょうか。

(コンベニアは動物病院の抗生剤シェア圧倒的1位らしいです)

 

第3世代セフェムが有用になる場面はあるのでしょうか。

 

脳に該当する感染が疑われるときくらいじゃないでしょうか。

 

感染のコントロールを本気でしなければいけない時なんてのは

 

もう集中治療に近いことを必要とされるわけです。

 

だから人だと救急車で運ばれるとすぐに「ケツバイ」と言われてますよね。

 

血液中に細菌感染がないかどうかを確かめた上で

 

該当する抗生剤をきちんと選択していくんです。

 

動物の世界みたいにいきなり何でもかんでもキノロン系使ったらビンタされると思います。

 

これは本当に人の医学雑誌で若手が本気で怒られてる記事を見たことがあります。

 

どうせ集中治療的なことするなら

 

入院させてるわけですから

 

2週間きくなんていうアヤフヤなもん使わなくても

 

都度臨機応変に変えていけるような血管に直接入れる注射薬で

 

こういう時はこれというものをマニアックなものまで全て用意しておくというのがいいんだと思います。

 

また脇道に逸れましたがお分かりでしょうか。

 

コンベニア打っとけば1回10000円近くもらうところが多いわけです。

 

ルーチンでやっとけば経営的にはいいことだと思います。

 

上記のうちのようにめんどくさいことしたら

 

めんどくさいだけではいるもんは入りません。

 

在庫は嵩みます。

 

先日院長が瀕死の子を2日間以上人工呼吸つなぎっぱで歩いて返すことができてましたが

 

この時病院はほぼ休診状態です。

 

当院のようにSNSに強い病院は今処置中ですとインスタのストーリーズに上げることで

 

みなさま気を使っていただけます。

 

本当にいい患者様たちでありがたいばかりです。

 

しかしながら、この休診の間は売上は発生しません。

 

何なら午後17時からというだけで

 

売上という意味ではだいぶ損をしていると思います。

 

何が描きたいのかと申し上げますと

 

どうしても売上と純医学的な質は相反してしまうのが

 

動物医療を取り巻く現状だということです。

 

今年は赤字で終わりましたが

 

来年はしっかり黒にしていかなければいけません。

 

上記のような認知的不協和とでもいいましょうか。

 

を乗り越えて、より良い病院をつくっていこうと試行錯誤してまいります。

 

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