前回はフェノバルビタールというお薬について概説しました。
「てんかん」と診断されたときに真っ先に使われるのはフェノバールや
今回の「ゾニサミド」だと思います。
だから「てんかん」と診断された犬猫さんにはぜひ読んで欲しい。
お粉でお薬出されてる場合は、なんの薬剤を使用されているのかぜひ担当医にお尋ねください。
ゾニサミド(ZNS)は複数の作用点を持つ、広域スペクトラムの抗てんかん発作薬です。
電位依存性ナトリウムチャンネルとカルシウムチャネルの遮断
GABA A受容体の機能増強
グルタミン酸放出抑制
炭酸脱水素酵素阻害
神経細胞保護作用とまあ色んな作用を持ってます。
その中でも上記の赤線で、神経系の発作活動の興奮性を抑制し
てんかん原性焦点の抑制や発作活動の伝搬を遮断することが
主たる抗てんかん発作の作用機序です。
ZNS治療のエビデンスは少ないです。
→ 日本発の薬は海外の研究者は研究対象にしたがりません爆
犬での通常の開始量は2.5~5mg/kgを1日2回です。
犬において、フェノバールはCYPを強く誘導しますが
ZNSはフェノバールの誘導する酵素で代謝されます。
すなわちフェノバールを使用している犬では
ZNSの代謝が早くなるため、併用するなら注意が必要です。
フェノバールに被せるなら、単剤使用の時の1.5~2倍量が必要です。
猫でのエビデンスは犬よりさらに少ないです。
2.5mg/kg1日2回で開始します。
犬より低容量でも副作用の報告があるため、こういうはじめかたです。
→ 僕は猫にZNSは使わない。大山も出してないと思う。
ZNSは肝臓で代謝されるため
開始前には必ず血液検査を行い
肝臓酵素に異常がある場合は使用の適否を判断する必要がある。→当たり前だけど笑
治療目標を3段階に分けて、投与量を調整して行く。
第3目標:治療の部分的成功。
(群発発作や重責を認めない。発作頻度が半分になる。発作の重症度の軽減)
第2目標:治療期間前と比較して、発作の感覚が3倍異常に延長し、かつその状態が3ヶ月持続する
第1目標:寛解=発作0
フェノバールの時みたく、定常状態になった時、血中濃度が治療域に入っているかを確かめながらやっていく。
新しい投与量=現在の投与量❎目標とする血中濃度➗現在の血中濃度
あ、ちなみにZNSのメリットは多分これ。
多くの抗てんかん薬で認められる鎮静、多飲、多食の副作用が単剤使用ではほとんど見られないこと。
日本で唯一、犬用抗てんかん薬として認可されていること。
主な副作用は食欲低下、活動性低下、消化器症状が挙げられ
特に用量が多い時に発現頻度が高くなる。
多くは軽度で一時的だが、飼い主さんにはあらかじめ伝えるべきである。
猫はこれらが発生しやすい。(だから僕は理由がなきゃ使わない)
希だけど、肝障害、尿細管性アシドーシス、攻撃性増強などがある。
これらは早めに断薬すればなんとかなることが多い。
だから、投与中は必ずチェックが必要。
血液検査、エコーの検査、尿検査なんかで引っ掛けれるから、提案すべきだと僕は思う。