『光る君へ』第25回「決意」の話 | 星野洋品店(仮名)

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とある洋品店(廃業済み)を継がなかった三代目のドラマ感想ブログ

第25回は、為時・まひろ親子が紙漉きを見学するところからスタート。現代の紙漉き職人による実演でした。

 

 

為時は寒い時期に手を水に浸す職人を気の毒がっていましたが、寒くないとダメなんですよね。紙の繊維が沈殿するのを防ぐために、写真のトロロアオイの根などから採った糊を水に混ぜるのですが、これが大変腐りやすい。農閑期でもある冬場にやるのが合理的なんです。

 

余分に納税された越前和紙を為時パパは村長に返そうとしましたが、断られてしまいました。返されても困るんだよね。現代と違って紙の需要が役所とお寺にしかない。山間の村から販路を開拓するのも難しいので、全量を引き取ってもらうのが一番ありがたいんです。

 

つーかね、国守ってのは儲けを上級貴族に献上するものなわけで。それを見越して余分に紙を納めさせるんですよ。黙って受け取り、黙って献上! これがまた国守に選んでもらうための重要ポイントですよ、為時パパ。

 

 

今後の身の振り方を考えるために越前から都に戻ってきたまひろ。ウニを食いまくったおかげで、乙丸もいい人を連れ帰ることができました。そして為時邸には、いとさんのいい人が! いとさん曰く、

「みな歌がうまい男がよいとか、見目麗しい男がよいとか、富がある男がよいとか、話の面白い男がよいとか申しますけど 、私は何もいりません。私のいうことを聞くこの人が尊いのでございます」

……えーと、「宣孝みたいな男はやめとけ」ってことかな???

 

いとさんの好みはさておき、宣孝おじちゃんは嬉しげにまひろの帰京を出迎え、弟 惟規をガン無視し、催馬楽(さいばら。当時の流行歌)「河口」を歌いました。〈娘を垣根で囲っても、その娘は垣根から出てきて、ボクと寝ちゃったもんね~〉という内容です。佐々木蔵之介でなければ許されないセクハラソングですが、いずれ『源氏物語』33帖「藤裏葉」で引用されることになります。

 

ついで、宣孝おじちゃんは元カレ 道長にご挨拶。やはり、かつてまひろと一緒に散楽を見ていた若者が道長坊ちゃんだと気づいてたんだな。マウントされた道長は、結婚祝いを贈らせ、仕事に打ち込むしかありませんでした。

 

祝いの品を運んできた百舌彦は、出世して服装が変わっていました。水干に上括り(じょうくくり。ひざ下でひもを結びとめる)の小袴から、狩衣に下括り(げくくり。足首でひもを結びとめる)の指貫へ。足が汚れるような仕事は部下に任せられるようになったってことです。貧乏していたころの為時パパより、よっぽどパリッとした格好です。左大臣さまの一の従者ともなれば、たいした威勢ですなぁ。

 

贈り物に添えられていた手紙は、「末永くお幸せに!」という内容で、しかも代筆でした。何を期待してたんだよ、まひろ。あの廃邸でお別れのキスをして、「越前で生まれ変わりたい」と言ったじゃないか。いまさら道長も廃邸に呼び出したりはしないよ。百舌彦の言うとおり長い月日が流れたのだから、忘れえぬ人への思いを抱えながら幸せにおなりよ。末永いかどうかは知らんけどさ。