『光る君へ』第4回「五節の舞姫」の話 | 星野洋品店(仮名)

星野洋品店(仮名)

とある洋品店(廃業済み)を継がなかった三代目のドラマ感想ブログ

みなさんに大切なお知らせです。緊縛プレイは皇室のしきたりではありません! 繰り返します、皇室のしきたりではありません!

 

今週もやりたい放題の花山天皇(本郷奏多)でした。蔵人頭続投を固辞した藤原実資にイラ立って、叔父 藤原義懐(高橋光臣)の冠をむしり取るという暴挙。ナレーションでも「下着を下ろされるような恥辱」と説明されました。冠を落とすくらいなら、素っ裸に冠だけつけてる方がマシなんです。現代の感覚では、全裸冠のほうがド変態だけど。

 

実資役 ロバート秋山曰く、「実資に対しては(冠を奪うことを)やってこないあたり、あの人なりに線引きをしている」ようです。けっして馬鹿ではないし、政治への意欲もある。

 

花山天皇は(表向き)子孫を残さなかったので、めちゃくちゃに言われている部分はあります。即位式の高御座(たかみくら。大礼の時のみに用いる垂れ幕に覆われた玉座)に女官を引っぱりこんだという逸話はおそらく作り話で、本作では藤原道隆兄ちゃんが流した噂のようです。ほんとにあったことなら、あの物見高い実資が『小右記』に書かないわけないし。

 

 

 

63代 冷泉天皇系:65代 花山天皇・67代 三条天皇・(69代予定 小一条院)
64代 円融天皇系:66代 一条天皇・68代 後一条天皇・69代 後朱雀天皇・70代 後冷泉天皇

 

984年は、64代 円融天皇にとって危うい年でした。春宮 師貞親王(65代 花山天皇)は数え17歳。いつ息子が生まれてもおかしくないし、即位すればその息子が春宮に立てられるでしょう。円融天皇はあくまで中継ぎで、冷泉天皇系のほうが正統な血筋だから。その前に円融天皇は退位し、自分の皇子 懐仁親王(一条天皇)を春宮にさせなきゃいけない。

 

円融天皇の子はけっきょく一条天皇ひとりでした。しかし、最終的にはその子孫が冷泉系を押しのけて代々皇統を継いでいったわけですから、984年の退位の決断が歴史の流れを決めたと言えます。

 

おかげで正統なはずの冷泉天皇・花山天皇は狂人伝説を捏造されて、散々な言われようです。まあ、花山天皇が母と娘を寵愛して同時に妊娠させたのが史実ってあたりは、ご当人の不徳ですが。