『光る君へ』第2回で、ロバート秋山(秋山竜次)が演じる藤原実資(ふじわらの さねすけ)が登場しました。心配していたけど、意外といいですね。ぽっちゃりした体型が御所人形のようで。御所人形は白塗りだけどな。
藤原実資は藤原北家・小野宮流の当主で、関白・藤原頼忠の甥、藤原道長には又従兄弟にあたります。「右大臣(兼家パパ)のことは好きではない」と再三言っていましたが、九条流(兼家パパの家系)の人たちに落ち度があると、その日記『小右記』でネチネチネチネチと咎めます。けっして理不尽な人物ではないので、筋の通った意見にはちゃんと賛成してくれるのですが。
第2回(984年)当時は数え28歳、従四位上 蔵人頭(くろうどの とう)兼 左近衛中将 。頭中将(とうの ちゅうじょう)ってやつです。光源氏のライバルとして知られる〈頭中将〉と同じ職位。若手官僚の花形の地位で、ここをうまく務めれば公卿(くぎょう。従三位以上と四位の参議)への昇進が見えてきます。
蔵人所(くろうどどころ)は天皇の秘書室。蔵人は天皇の身のまわりの世話や使い走りを務めるので、后妃や大臣とも顔見知りになれて、出世の糸口になります。第2回で春宮・師貞親王(花山天皇)は、まひろの父・藤原為時に、
「オレが即位したら、お前を式部省から蔵人所に出向させて、オレの身辺でこき使ってやるよ!」
という内容のことを言っていました。うわー、あんまり嬉しくない。出世の糸口をつかめるとしても、本郷奏多に振り回されるのは嬉しくない。
蔵人はいろんな省庁から出向してきている人が多いのですが、秘書室長である蔵人頭も近衛府(このえふ)や太政官(だいじょうかん)からの出向です。実資は近衛府の次官である左近衛中将 兼 蔵人頭です。じつはずっと武官としてキャリアを積んできたゴリゴリの武官なんだよ、あれでも。きっと今でも外で武芸の稽古をしているから、あんなに日焼けしてるんだな。うん。