『光る君へ』第2回「めぐりあい」の話 | 星野洋品店(仮名)

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とある洋品店(廃業済み)を継がなかった三代目のドラマ感想ブログ

やっぱり兼家パパに怒られた道兼さん。平安貴族も威儀を正すときは太刀を佩いているんですが、飾太刀(かざたち)といって、刃がついていない飾りものなんです。つまり、貴族みずから人を斬っちゃダメだってことなの。

 

兼家パパが〈バレなきゃオッケー〉方式で揉み消してくれましたが、以後ひとを殺したくなったときは、従者にやらせましょう。殺人教唆なら、ケガレ論的にはセーフなので。あと、この件をパパに告げ口した三郎を恨むのは逆恨みだよ。

 

三郎は元服したというのに、あいかわらずお子ちゃまだね。まひろと少女漫画のように再会し、草履を履かせてやったというのに、そこになんのエロスも感じていやがらない。女性の素足に触ったんだから、ドギマギくらいしなさいよ。

 

でも、こういうサラッと感が柄本佑の良さなんだよね。なんの下心もなく見返りも期待せず女の子を助け、助けられた女の子が戸惑っていると、「ん?」って顔をする。人畜無害。圧倒的イトコのお兄ちゃん感。詮子姉さんが頼りにするのも、むべなるかな。

 

 

さて、後宮でも朝廷でも、小野宮流(関白・頼忠&蔵人頭・実資) vs 九条流(兼家パパ)の争いが盛り上がってまいりました。ファイッ!

 

九条流・詮子姉さんはお気の毒でしたね。円融天皇の第1皇子・懐仁親王を生んだものの、小野宮流・遵子(のぶこ)女御に中宮の座とご寵愛を奪われてしまいました。なんとか円融天皇の気を引こうときれいに染めた紙で手紙を書き、かわいい造花を添えたのに、

「母親が女を出してくるんじゃねぇよ! キモっ!(意訳)」

と言われる始末。ヒドイ。

 

もともと円融天皇は兼家パパのことが嫌いなんですよ。円融の最初の中宮は、当時の関白・藤原兼通(兼家パパの同母兄)の娘。円融は中継ぎの天皇と見なされていて、誰も娘を嫁がせたがらなかった中、嫁いできてくれた中宮を円融は大切にしていたそうです。

 

で、関白・兼通は兼家パパとものすごく仲が悪かったのです。兼通は重病になると、弟である兼家パパではなく、小野宮流の藤原頼忠(声が小さい人)に関白を譲って亡くなりました。頼忠がすでに娘・遵子を円融に嫁がせていたという事情もあったのですが。

 

『光る君へ』には出てきませんが、兼家パパは詮子の同母姉・超子を冷泉天皇(円融天皇の同母兄)の後宮に入れ、生まれた3人の皇子(その長男がのちの三条天皇)を可愛がっていました。円融としては、

「アンタは冷泉派なんだろ? ケッ!」

ってな気分だったわけです。いや、坂東巳之助さんは「ケッ!」なんて下品なことは言わないだろうけども。

 

その後、詮子が入内して皇子を生んでも、円融天皇の兼家パパへの反感はあまり改善しなかった様子。そもそも皇子は母の実家で育つのが普通ではあるけど、兼家パパが詮子を中宮にしてもらえなかったことを恨み、皇子を円融に会わせまいとしていたのはドラマでやってた通り。お互い、意地を張るのはやめなよ~。道兼さんが暗躍しちゃう~。