死にたがりやの美少女A | 風の日は 風の中を

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~職場や学校で不安感に悩んでいる方へ~
「不安とともに生きる」森田理論をお伝えしたいと思いブログを書きはじめました。
2011年9月からは、日々感じたこと、心身の健康などをテーマに日記を綴っています。

死にたがりやの美少女Aとは、友人Bを介して知り合った。(約2年前)


今年4月から高校生になったAちゃんと久しぶりに顔をあわせ、元気な様子を確認できたので、彼女のことをかいてみようと思う。


友人Bは、ダンナさんが学習塾を経営している人。教員免許をもつBは、一教室の責任者になり、中学生に勉強をおしえている。

生徒やスタッフが全員かえったあとの教室をたずねると、Bはいつもコーヒーをいれてくれる。

いつも仕事におわれているBとは、夜の教室でしか会ったことがない。


2年くらい前、Bから電話で「死ぬって口に出していう人間は、じっさいに死んでしまうことが多いのかな?」ときかれた。

どうなんだろう?

周囲に対し、死の衝動をさとられないようにして、いきなり死んでしまう人もいれば、サインを出す人もいるよね。


だれのことを心配しているのかと問うと、Aちゃんのことだった。

Aちゃんは、Bの教室の生徒のひとり。「死にたい」発言をするので、Bは注意して様子をみていたところ、その日、手首に包帯を巻いて塾にあらわれたという。


Bが心配する気持ちはわかるけど、他人の私なんかに電話する前に、その子の親に話さないと!とBに言った。

「もちろん、連絡したよ」とBは言った。

そしたら、Aちゃんのおかあさんは全然驚かず、「先生は勉強のことだけみてください」と言って電話を切ったという。

Aちゃんは「学校でも家でも居場所がない」とBに訴えているそうだ。

Bの塾は週に3回~4回くらい。

毎日会うわけではないので、会わない日にAちゃんが自傷行為をするんじゃないかとBは心配していた。


「今度、塾に生徒がいる時間にきて、Aちゃんのことみてよ」と言われた。

えええええっ((((((ノ゚⊿゚)ノ わたしは医者じゃないし、親にも先生にも、もてあまされてる(?)その子の心を開かせたりできないよーと即座に断った。


私は看護職で、他の職種よりは人の生と死をめぐる問題にふれる機会は多いのかもしれないが…自分の仕事のことはあまり友達にも話さない。いい話ばかりではないから。

死の衝動にかられた人が本当に死んでしまったこともあった。そのとき、私はまだ若かったので、すごくダメージを受けた。


Aちゃんが死んじゃったらどうしよう、と心配しているB自身が、わたしは心配だった。

生徒の心、命はもちろん大切。

でも…正直なこと書くけど、人は、生きるか死ぬかの瀬戸際においては、自分しか自分を助ける人はいないのではないだろうか。

情をもって人とかかわっていくことは、とても大事。だからこそ「人は最終的には自分しか救えない」ということを心に刻んでおいたほうがいいんじゃないか、とBに言った。

そして、その日は、わざと、いつも以上に遅い時間にBの塾に行った。

ぜったいBしかいない時間に行くことで、Aちゃんにかかわったりしないつもりだった。


それなのにAちゃんは、教室にいた。家に帰りたくないとゴネたようだった。

なんで帰りたくないかというと、「おかあさんの彼氏がきているから」。

Aちゃんの家は母子家庭で、おかあさんは結婚を前提としてつきあっている人がいる。Aちゃんは、そのことに反発しているらしい。


Aちゃんは、美しい子だった。

からだは小さいけど、顔には色気があった!

Bがコーヒーをいれに席をたち、Aちゃんと二人きりになった。

「Aちゃんは、男の子に人気があるんだろうね?」と話しかけた。

ふつう、モテていても「いいえ、そんなことないです」と言いそうだが、Aちゃんは「ハイ」と言った。

友達は全員男子。学校でも塾でも、同性の友達からは浮いている、と自分からきっぱり言う。


わたしは、手首の包帯のことには、かかわらないでおこうと思うのに、話している間じゅう、Aちゃんはけがをしている手をアピールするようなところがあった。

けがのことを聞いてほしいのだろうか。

「けが、してるね」とついに聞くと、「カッターで自分でやった」とあっさり自らリストカットしたことを認める。

「自分で手当てしたのかな。傷みせて」というと、ダメと手をひっこめるが、「ほんとは聞いてほしい」気配を感じた。包帯を外すと、傷は新旧無数にあった…


友人Bがやってきて、Aちゃんの傷をみて、「なんで親からもらったからだを傷つけるようなことをするの!」と怒り始めた。

「ママには言わないで!」と叫ぶAちゃんに対し、Bは「言われて困るようなコトをしなさんな!」と怒鳴っている。

ふたりが険悪になったので、ちょうどそれは、Aちゃんを帰宅させるタイミングなのでは、と思い、家まで送りとどけることにした。(つづく)