一般的に、「リチウム中毒」なんて言葉、聞いた事もないだろう。
私もだ。
しかし、今回、友人がこれを患い大変な目にあった。
共有しておきたいのでブログに書くことにした。
今回、「リチウム中毒」になった人(以後「Aさん」)は68歳で、うつ病のため過去15年近く、ある精神科クリニックに通院をしていた。
Aさんのうつ症状が一番酷い時を知っているので、ここ直近8年ほどは、随分と改善し、普通に接している分にはうつ病があるとは分からない程度にまでなっていた。
そのAさんは、約2年ほど前から手が震え始め、夜中に無意識のまま軽食を取っていたりするという奇妙なことが起き始めていた。
またこの時期頃から、深夜、意識の無い中で起きて、冷蔵庫のものを食べて、無意識のまま食器を洗ってゴミを綺麗に捨てている、といった奇行が始まった。
当時の私はそれを聴いて、単純に加齢によるものだと思っていた。
私の祖母が高齢になって、手や足の震えが止まらないのを見ていたからだ。
当時は中気と言っていた症状だ。
また、深夜の無意識の食事も、ちょっとしたボケの始まりかとも思っていた。
相談したクリニックの医者からも加齢だろうと診断されていたこともそれを裏書きしてくれていた。
さて、2022年4月13日夜、Aさんと電話連絡が取れなくなった。
私とAさんは、共に独身だったために、何かあった際に相互互助することを約束していた。
定期的な電話やメール連絡による生存確認と、緊急時を見据えて互いの部屋の鍵を持ち合うようにしていた。
電話連絡はその一環だった。
絶対に自宅にいる時間に30分以上かけても全く電話にでない。
胸騒ぎがした。こんな事は過去になかったからだ。
悩んだ末、意を決して約1時間半ほどかけてAさんの自宅を訪ねる。
合鍵で部屋のドアを開けたが、内側からロックがかかっていて開かない。
これに関する仔細は、以下のURLで読めるので、ご参考にして欲しいが、
掻い摘んで言えば、部屋で倒れていたのだ。
全く身体が動かせない状態だった。
当然緊急搬送、緊急入院させた。
最初の入院は調布の病院で、約5週間だった。
当時の診断は横紋筋融解症だった。
実はこの病院の診断は誤りではないが、重要な症状と原因を網羅していなかった。
簡単に言えば、内科医では診断のつかない病状だった。
退院後、症状の改善が全くなく、それどころか悪化している位になり、1週間後、また倒れ、私が発見し、緊急搬送、緊急入院となる。
さすがに二度目の時は、私も相当疲弊した。
この時は、立川の病院に搬送。
(コロナの影響で搬送先が決定するまで約3時間余り、救急隊員がずっと搬送先と電話連絡をしている姿は本当に大変だと思った次第)
そこで約4週間の入院となるが、その間に分かったのが、リチウム中毒症だった。
厚生労働省のホームページには、以下の情報があった。
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000842885.pdf
端的に言えば、こういうことだ。
リチウム中毒は、うつ病の際に処方する薬の中に含まれる炭酸リチウムを内服中、あるいは過量に服用した時に起こることがある。
放置すると「手が震える」、「意識がぼんやりする」、「眠くなる」、「めまいがする」、「言葉が出にくくなる」、「吐き気がする」、「下痢をする」、「食欲がなくなる」、「口が渇く」、「お腹が痛く なる」などの症状が出る。
Aさんの症状は、上記より酷く、身体の全身の筋肉が硬直して自力では動かす事も出来なくなるほどの重症だった。
横紋筋融解症は、そのために起きた副次的な症状だった。
立川の病院でこの可能性を指摘したのは、担当医ではなく、補助的に付いていた精神科医だったという。
そして、この診断に基づいて、投薬を変えたところ、Aさんの手の震え等が落ち着き始めたのだ。
このため、立川から専門性の高い三鷹の病院にリハリビのため転院する。
これによって症状が劇的に改善した。
リチウムは、うつ病を改善させる効果がある成分だという。
しかし投薬量や処方を誤ると、副作用が出ることがあるらしい。
三鷹の病院では、処方薬や量を変更し、体力回復のためのリハリビを開始。
また、日常生活に対するサポート的助言をしてくれたようだ。
お陰で延べ5か月強の入院を経て、9月12日、無事に退院。
そう言えば、入院前のAさんは、毎日7種類くらいの薬を飲んでいた。
睡眠薬やうつ病の薬ななんやらだ。
いずれも長年通っていたクリニックから処方されていたものだ。
そのクリニックの名前は特にここで明かさないが、
中央線沿線の三鷹駅より西の駅にあるクリニックだ。
Aさんからは、そのクリニックの担当の先生が、かなりの確率で予約日に来ていない事が多く、別の先生が対応をすることが多かった事を漏れ聴いていた。
Aさんはいつも笑って済ませていたが、私は内心、そういう医師は危ういと思っていた。
患者との予約日にキチンと現れないような自己管理も出来ない医者にかかると、己の命の危険を伴うことにも繋がる、それが私の実感だ。
くれぐれも、皆さんもご注意を。
炭酸リチウムは、主に双極性感情障害(躁うつ病)の治療に用いら れます
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000842885.pdf