(前回記事)

心の履歴(85)

 京都のペッパー警部
2023-07-09 

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12810823204.html

 

 

(今回記事)

春夏甲子園・鉄人衣笠の思い出
2008/07/02 著


7月に入りまして、全国高校野球選手権・夏の甲子園の各地予選がいよいよ本格化しますね。
甲子園で思い出しますのは、平安高校の衣笠です。

四十年前(1961年前後)の増井のばあちゃんのたこ焼屋は、平安高校野球部の溜まり場でした。
当時、甲子園で活躍中の連中で記憶にあるのは三人。

高校卒業後、広島カープに入団(S40)。

鉄人と言われた衣笠祥雄。
中日ドラゴンに入団(S43)し、翌年に三番を打った江島巧。
法政大学に入り(S44)、東京六大学で投手として活躍した池田信夫。

池田信夫投手の当時は早稲田大学に行くと言っていましたし、六大学で活躍していたから、てっきり早稲田に入学したものと思っていましたら、法政大学だったのですね。


当時、特に印象深いのは、鉄人衣笠です。
彼は、ご存知、父はアフリカ系米国人。

母、日本人。ハーフ。

たこ焼き屋の常連の平安高校野球部のボス二人は、小上がりで寝転びます。
衣笠を含めたこの連中は、前年の64年(S39)の春と夏の甲子園で何れも準優勝しているのです。

衣笠は、いつも店の入り口のパイプ椅子に学生帽を深くかむり、じっとうつむいて座っています。
衣笠は、小柄。ボスは「きゃつ(衣笠)の手を見ろ!手袋だ!」と小馬鹿にします。

衣笠は、命じられるままに恥ずかし気に両手を皆にかざします。衣笠の両手を見て驚きました。
混血特有の手の甲の皮膚の色もさることながら、なんと大きな手! 太ぶとと節くれの指!

然も、手の平や指は、豆が固まった大きな「いぼ」だらけ。血がにじんでいるのもある。

ボスは、驚く我らを尻目に、更に得意げに衣笠を見下したように言うのです。
「きゃつは、毎夜、素振りを一千回もしてはる!」 更に「その割には打てへん」

昭和40年(1965)、衣笠は、広島カープに入団。その後「鉄人」と言われ連続出場の世界記録達成。
引退後、国民栄誉賞受賞・野球殿堂入り。

背番号3は、カープの永久欠番。

衣笠が卒業後の平安高校野球部は、江島が親分となり、午後、このたこ焼き屋に来ました。
平日、練習で、街頭ランニングの時に抜け出して来る場合や、試験の時です。

彼等も、無論当時の高校野球の全国的に著名なスター連中。
何しろ、66年春・夏、67年春の三回、連中は甲子園に出場しましたから。

彼等が来ると、我々暇人は、「どいてやってや」と増井のばあちゃんから隅に追いやられる。


江島は、そんなに練習しなくても打てる超高校スラッガー。
本来、天才肌なのだ。67年(S42)ドラフト会議二位で中日ドラゴンズ入団(S43)。 
だが三番バッターで一時マスコミを賑わしたものの、大した実績も残せずロッテへ移籍。そして退団。 

この彼等も、そして我々も、高校時代、せめて衣笠の爪の垢を煎じて飲んでいましたら、全く別の人生を歩んだかもしれません。

尚、衣笠をその後、テレビ以外で見かけたのは、それから約20年後、札幌大通りの札幌後楽園ホテルです。

伊藤忠商事主催の企業懇話会(北海道伊藤忠会)に、彼が招かれ講演したのです。

壇上から降りて私の二つ隣の席を通り過ぎる時に、私は普通の声の高さで言いました。

「京都のたこ焼屋の増井のばあちゃん!」

かれはそれから十歩ほど通り過ぎてからふと立ち止まり、やおら振り返りました。
そして、小手をかざす私の顔をみつめて、にっこり!

何十年経っても、あのばあちゃんのたこ焼屋は、忘れるはずはないのです。

(追記)2013.11.07

《戦前から、満州で商売をしていた増井の婆ちゃんから教わった話》

質素な男と、ぐうたらな男がいた。
質素な男は酒もタバコもやらず、ひたすら貯金に励んだ。
ぐうたらな男は大酒飲みで、空き瓶を縁の下に積み上げていた。

世の中が変わった!

質素な男の貯金は紙切れとなり、明日の米さえなかった!
ぐうたらな男は、空き瓶が高値となり、米と交換し、食うには困らなかった!




写真は1979年(昭和54年)増井のばあちゃん、岡本さん、私の娘(当時四歳)

注)当時の増井のばあちゃんのたこ焼屋の住所
京都市下京区若宮通り正面下る鍵屋町
丁字湯(2004.04.30廃業)の南隣(画像の向こう隣)


http://www.inorg.net/sentou/shimo/cyoji.htm

注)衣笠祥雄
http://earth-words.org/archives/6005http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%A3%E7%AC%A0%E7%A5%A5%E9%9B%84

(追記)2016.03.27
丁字湯のオーナーは福井出身。
福井の中学校を卒業したばかりの女の子二人が我ら入浴中、番台や浴槽洗い場の片付けにやってくる。
背は150cmそこそこだが、あどけさが残る真っ白な少女らしいふっくらとした肌。
我らのイチモツを遠慮なく見るのだが、我らに対して警戒心はほどかず。 ヽ(´▽`)/

____________________

心の履歴(86-2) 
増井の婆ちゃんの記録
2023-07-10 

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12811056819.html

 

心の履歴:20代編 目次
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12806473286.html