(前回記事)
心の履歴(77-2)
運転免許での下らん事
!2023-07-03
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12810325548.html
(今回記事)
2008/06/13 著
アルバイトで来た東映スタントマンの西川君(仮名24歳)は、京都太秦生まれの太秦育ち。
チャンバラ映画の東映ですから、彼等スタントマンの役割は落下する事。
屋根や崖から落ちたり、絶壁から水中に飛び込んだり、疾走する裸馬から落ちるとか。
大抵が武士の鎧を身に着けてですから尋常ではない。
このスタントマンの総元締めが当時龍谷大学8回生の早川さん(仮名)。彼の住居は、北区の山の麓。
その早川さんが退院をして療養中と言うことで、西川君と見舞いに行きました。
ベットに寝ている総元締めの早川さんは言わばミイラ男。包帯でグルグル巻き。
https://illustbu.jp/download/%E3%83%9F%E3%82%A4%E3%83%A9%E7%94%B7
彼の役目は土手道を荷馬車の馬に鎧姿でまたがって疾走。
そこで矢で射られて、馬の後ろに落ち、荷車に巻き込まれるというシーン。
落ち方に失敗。荷車の車輪と車輪の間に落ちるつもりが、車輪にひかれてしまう。
あごの骨・肋骨・腰骨それに足を骨折。包帯が大分取れたと言っても依然とミイラ男。
お見舞いに行ったのですがクスクス笑ってしまいました。
《スタントマンに挑んだ男》
この西川君が或る日の昼食後、うなぎの寝床の中空の二階で、面玉君(メンタマ・あだ名・25歳・四国出身)と口論となりました。
ボルテージはどんどん上り不穏な空気。こりゃヤバイ!
そこで私は、西川君に「手を出したらあかんで!」と。
「分かっている。俺からは手は出さん」と彼。
いきり立ち、今にも殴りかかろうとする面玉君には、「喧嘩して到底勝てる相手ではないから手を出したらアカン。怪我だけでは済まんぞ!」と言ったのですが。
面玉君は背は低いが力持ち。喧嘩が強いと日頃自慢していましたから私の言葉に彼のプライドが傷付いたのでしょう。
突然、立ち上がって、寝転んでいる痩せてガリガリの西川君に殴りかかろうとしました。
その瞬間、西川君はスクッと立ち上がるや、
パパパパパパ!!!
これが僅か数秒!で一件落着。
この数秒にパンチ二十発弱、足蹴りも二十発弱。
手と足が同時。手足の動きが見えないのです。
面玉君は僅か数秒でノックダウン!
「お~い、バケツに水」と階下に叫ぶと、誰かが持ってきました。畳の上に横たわっている面玉君の顔に、水を遠慮して少しだけかけると、彼は目覚める。
何があったのかとキョトン。
事態を直ぐに呑み込めなかったようでした。
顔面は平常で一安心。
それを見届けてから私はその部屋を退散。
これで終わったと思ったのですが。
然し、なる程、流石に東映のスタントマン。
反射神経は桁外れなのは当然!
午後三時頃、ガレージの方にいましたら、飯炊きのおばさんが飛んで来ました。
「西川が警察に連れていかれた!」と。
警察に訴えたのは面玉君。
南病院での全治三週間の診断書を持参して。
急遽、うなぎの寝床へ。
なる程、面玉君を見て私は笑ってしまいました。
あの時は、なんともない顔面が、おたふく風邪の様に腫れ上がっているのです。
じわり、じわりと膨れてきたそうです。
足のしびれも訴えました。
「言っただろう!西川は、君がどんなにしても勝てる相手ではないよ。そもそも、君が先に手を出すから、こうなったんだ!」と25歳の彼を叱りました。
私は、早速、自分の判子を持って争いの場にいた者と二人で七条署に出かけました。
徒歩七分。歩きながら、二人で打ち合わせ。
署に入ると彼の調書は終わっていました。
現場の証言として我等二人の調書が作成されました。
訴えた面玉君の調書には、三十発殴られたと書かれてあるのです。
私達は「僅か1~2秒で終わったのですよ。そんなに手が出る訳が無い」と。
更に、「寝ている西川君に手を最初に出したのは面玉君ですよ」と付け加えました。
ほぼ同じ内容で我ら二人の調書二通が作成されました。
全治三週間の診断書に関しては、「被害者は、ダニに刺されただけで腫れあがる特殊な体質で、そもそも、日頃から顔は腫れていた」と付け加えました。
何せ、当時、一発につき罰金5万円。
三十発だったら150万円。
払える訳が無いですね。
警官は、にやりと笑いながら二発と記入し、それに私が署名捺印。我等二人共、同じ証言なので殴ったのは二発と決定しました。
帰りしな警官が西川君に、にこやかな顔でポツリ一言。
「おまえなあ、太秦署に確認したら、おまえの調書が40cmもあると言うではないか」
私と西川君は顔を見合わせて笑いました。彼が十代に起こした暴行事件の数は半端じゃなかったのです。
後日、罰金がきました。
確か、十二万円でした。
実は、この二人が口論したのは16歳のお手伝いの事ででした。どうやらお互いにこのお手伝いを好きのようでした。
このお手伝いに西川君が付けたあだ名は「ガバチョ」
ガバチョは、顔・背・体形が吉本興業の山田花子にそっくり。但し花ちゃんより口が遙かに大きい。カバのように。
NHK・ひょっこりひょうたん島のドンカバチョのカバチョだけを頂いたあだ名、
心の履歴:20代編 目次
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12806473286.html
m