20代編
(今回記事)

2008/01/27 著
大学受験―1〉

昭和39年(1964年)、私が大学受験で思ったこととは。


恋焦がれるあの人を幸せにするためには、W大の政経か英文科に入ることが条件となる。そして一流企業に入社し、高額な安定した収入を得ることである。

W大に合格したら、結婚を前提にあの人と交際する。
私にはあの人との輝かしい未来が待ち受けているのだ。

不合格なら例へ他の東京の大学に合格したとしてもみじめだけ。その時は、東京から遠い京都の大学に行く。

《見つからない試験会場》

高校三年の一月下旬、滑り止めに京都の私立大学を東京・芝工大で受験。田舎は大雪の年でした。
東京の宿泊は、大学卒業を控えた長兄の大塚のアパート。

この滑り止めは、すらすらと解答。

三科目共、時間前に提出。
さあ~、次の試験が二月末と三月初め。

一ヶ月の空白期間。

処が、この東京での滞在一ヶ月間により、我が青春、とんでもない結末でした。
一旦、田舎に帰って、再度、上京したら、全く違った結果だったでしょうに。

緊張の毎日の連続。

一ヶ月後の試験では、どうしても合格しなければならないのです。あの人を、仕合せにするには、あの人の兄貴が通学しているW大合格が私の心に決めた条件。


間も無く不眠になりました。
眠れない! 

吸ったことが無い煙草を吸いました。

ハイライト。
それでも駄目でした。

気分転換の為にパチンコに行きました。

駄目でした。
眠れない夜が延々。

同居している長兄は、見るに見かねて、彼の友人のアパートに泊まりに行きました。
鏡を見ませんでした。

見ると恐らく私は別人。

いよいよ試験当日です。
大塚駅からチンチン電車でW大受験場に行きました。

事前に受験教室がある理工学部の建物だけは確認していましたが、事前に教室確認は許可されていませんでした。

30分前に試験場の教室に入りました。
 

教室の前半分は受験生で満席なのに、後ろ半分には私以外誰も座っていないのです。

 

当初、試験官は机の上に置かれた私の受験票を見て、何の疑問も抱かなかったのです。

 

試験5分前、妙な事に気が付きました。

教室番号は合っているのですが、その後ろに付いているアルファベットが違うのです。

 

まさか、同じ教室番号が二ヶ所あるなんて信じられないことなのです。

そのまさかで、教室が違っていたのです。

早速、試験官に尋ねました。
処が、教室番号の記入した試験会場図は無いのです。

私と試験官との二人は校内をうろうろしたのです。
時間はどんどん過ぎていきます。

試験官も私の試験会場の教室が分からないのです。

試験官は 事務局にも聞きに行ったのですが、なかなか帰ってこない。

実は試験官や事務局員と言うのは、学生バイトや俄か事務局員で理工学部校舎の構造を全く知らないのです。


二人で探し続けました。

胸はドッキン!ドッキン!
遂に見つけました。

試験開始から20分は経過していました。



その会場とは、そこだけが50人だけの小さな角部屋。
それも入り口扉は初めての人では見えない位置でした。
廊下から正面ではなく、近づかなければ分からない奥の側面の壁に扉があったのです。

 

それにしても不思議でした。

恐らくこの角部屋への案内張り紙はあったのでしょう。

教室番号を頼りに自分の席を探した私にとっては、まさか同じ教室番号が二つあるなどと気付くはずがありません。

 

それに、試験開始直前、その教室の試験官が教室案内張り紙を剥(は)いでしまったのでしょう。

頭は、真っ白!!
最初は数学の試験だったと思います。

文系ですから、全問、簡単な問題でした。
処が、全問、解けませんでした。

思考回路が全く動きませんでした。

立ち直れませんでした。

次の英語・国語も字が読めませんでした。
絶望!

《女の園でありえない男の現象》

その日から、夜も、昼も、一睡も出来ませんでした。
眠れぬ夜、天井を見続ける毎日。

数日後、同じ大学の英文科の試験。
前回の轍(てつ)を踏むまいと一時間前に会場に着席。

当初、教室には、まばらにしても9割以上が女性。
田舎では見たことの無い素敵な色とりどりの服装。

垢(あか)抜けしている!
別世界。

 

反して私だけは坊主刈りに詰襟の黒い学生服。

いかにも時代遅れの田舎出。

セーラー服の女子も一人だけ。

部屋の中に漂うは香水の香り。

人がまばらのうちは微かないい香り。
試験開始直前には周囲全員が女性。

香水の複雑な激しい香り。

この一ヶ月、まともに睡眠をとったことの無い私。
何種類か混合された花の香りが鼻から脳に抜けて行く。

私を取り巻く空気が無色なのは分かっているのに、脳の中に見えるのはピンク色。

問題用紙が配布されました。
受験番号と名前を書きました。

開始の合図。
ぐっと硬い椅子から腰を前にせり出したとたん、信じられない事が起きました。

この日は、確か、1964年(昭和39年)3月1日と記憶しています。

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心の履歴(50) 

狂った脳;まさかのエクスタシー
!2023-05-27 

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我が青春の記『初恋慕情』目次
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