(前回記事)

心の履歴(133)
美しい女性は雇用すべからず
2009/03/11 著

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12743747286.html
 

(今回記事)

心の履歴(134) 

妻帯男の嫉妬の行く末は?
2009/03/11 著

.しかし、人と人との出会いとは見方を変えれば怖いものです。
一つの出会いがあり、その出会いが次の新たな出会いを呼ぶ。
最初の出会いが無かったら、二人には全く別の運命が待っているのですから。
.
年が明けて二月下旬、金魚の中江運呼君が満天の笑みを浮かべて私の席にやって来た。

「水無瀬よ!ビッグニュース!ビッグニュース!内緒話や!」
「おまえの内緒話って、どうせ碌(ろく)な事がないからな」

「今度は違う!」と紅潮しながら私の耳に手を当ててひそひそ。
「総務の田吉が、どうやら嫁さんに離婚を申し出たらしいよ」
「何でまた?」

「いい女が出来たらしい!」
「あの若つるっぱげが? 相手はどんな奴ちゃ?」

「おまえも知っているよ」
「知っていると言えば、この階の踏まれた饅頭(まんじゅう)かいな?」

「レベルが違う! レベルが違う!!」
「レベルが違うって、そんなハイレベルは知らないよ」

「洋子だよ!」
「はぁ~? 然し田吉には子供が一人に嫁さん妊娠中だよ」

「だから大騒ぎになっているらしい」
「その情報は何処から?」

「森広支店長からだよ」
「流石!金魚の運呼! しかし、シャベリの支店長はどうして知ったのかい?」

「田吉の仲人をした本社の木村工場長(仮称)に嫁さんが泣きついたらしい。そこで工場長は、支店長に田吉の監視と説得を頼んだと言うことだ」
「そう言えば、この間、本社の会議に行くのに田吉は東京から東名神を車で行ったという話だぜ」

「その車に洋子を乗せて行ったのだよ」
「洋子が風邪をこじらしたと言って休んでいた時だな」

「それにしても誰にも悟(さと)られず出来たものだな」
「田吉は内密が好きだからね。今の嫁はんを口説いた時と同じ手を使ったな」

「どんな手?」
「田吉の自慢は、向かい同士の好みの事務員と目が合った時に、ちょっと目を外してから再度見つめる。じぃ~っと。これを何度か繰り返してから、机の下から足を伸ばして事務員の足をコンコン。事務員もコンコンでハピーエンド! これが今の嫁さんだ。」

「でも、目を再度見るのは分かるが今回は机がはす向いだよ」
「消しゴムをわざと落とし机の脚の間から足を伸ばしたのかも」

「それじゃ、田吉の身体が度々机にめり込んでいたのだな。アハハ!」
「中江よ!君の奥さんは気が付かなかったのかい?」

 

.注)中江運呼も社内結婚ほやほや。中江の女房は田吉の向い側に座っている。つまり中江の奥さんの左隣が洋子の机。

「全く気が付かなかったそうだ」
「成る程!田吉は洋子が来た早々、わしに小馬鹿にされ、嫉妬心と言おうか、闘争心が燃え上がったのか!」


 つづく

心の履歴(135) 
当時の美女は病弱か
2009/03/14

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12744076589.html

 

心の履歴30代①入社編:目次
2022-04-08

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12736672224.html