社内講習でも私の人生体験でも圧巻の一つを述べます。

これで特に世子と亜子は、営業に自信を持ったはずです。

 

これまでの私の行動の記事を読み、恐らく、私は一般的な営業マンとお思いでしょう。

 

実は私、外見から全く違うのです。

営業マンとは無縁の顔をしているのです。

 

例えば、60代前半、理容店で刈り上げをしてから近所を散歩すると、下校中のランドセルの小学生が、私にさようならの挨拶をする程ですから、想像に難くないと思います。

 

この当時でも私と初対面の方は、必ず「うふゃ!」と思うほどの堅物に遭遇してしまったと、後日談で大笑いしました。

 

(前回記事)

心の履歴(305-4) 教材:ランチェスター:東京実践例
2021-12-27 

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12627763744.html

 

(前回の続き)

さて、そのライバルG社社員から紹介を受けた中で、福生市駅前の酒販店では二台即決受注しました。1977年頃のことです。

 


更に、その酒販店で、江東区の酒販店の紹介を受けました。

その江東区の酒販店に着いたのが、夜の七時を回った頃。
契約書に捺印を貰った時に、店主が私を冷やかしたのです。

「水無瀬君、明日、この江東・墨田商業組合の展示会がある。君の会社が明日の展示会に出品出来たら、もう一台買うよ」


「分かりました。明日ですね。約束ですよ。」
「間違いなくもう一台買うよ」
「奥さん、証人ですね」

聞けば、我社は五年前からこの組合にはじかれており、明日の展示会にも出品させてもらえないとのこと。

とりあえず、江東・墨田商業組合の会長宅の名前・地図を書いてもらいました。


この店を出ましたのが午後九時。
描いてもらった地図通りに行きますと、とんでもない所へ。

 

行った先は、埼玉県の宅地造成地。

無論、家は建っておらず。
 

引き返し、絶望しかけたとき、商店の灯を発見。

そこでようやく会長宅を聞き出せました。

 

辛うじて着いた場所は、描いてもらった地図とは全く逆の方向。

私にウソを教えたのです。

シャッターはもう閉まっていました。
ドンドンと叩いて開けてもらいましたが、元会長宅。

ステテコ姿の元会長とは、歩道にしゃがみながら話ました。

そこで現会長宅の地図を描いてもらって車を飛ばしました。

区が違うのです。

あせりました。


とにもかくにも、通りに街灯が無く、各店の灯りも全部消えていましたから闇夜みたいなもの。

辛うじて灯りが漏れている店。

現会長宅。

午後十一時を回っていました。


もう閉店していましたがシャッターが十センチだけ開いている。
腰を落としてシャッターを持ち上げました。
はずみで、ガラガラドッス~ン!とシャッターは全開。

洋菓子屋さんでした。

洋菓子ケースの後ろにいた色白の30歳程の奥さん、びっくり!
何事か?と主人も駆けつけてきました。

私は社名を名乗りました。
とたん、この若夫婦の顔から、さぁ~っと血の気が失せました。

「何しに来た!」 

ワナワナと震える顔で若い主人は叫びました。

実はその時の私は、私を冷やかした酒販店の親父をギャフンと言わせたいためだけの訪問。思わぬ展開となりました。

「ここは、会長さんのお宅ですね。明日の展示会に、我社も参加したく参りました」
「何を言っているか! 君の会社は、どんなにひどいものか!」
「何が悪いのですか?」

五年前にこの組合から武蔵野組合と同様、絶縁状を叩きつけられた理由を彼はとうとうと話す。

①売りっ放し 
②電話の受付が悪いし連絡が無い 
③修理を依頼しても直ぐに来ない 
④修理マンが故障を直せない 
⑤修理代がボッタクリ

成る程、朝礼が終わるとBB課の営業マンの行先は、郊外の秘密のたまり場の喫茶店。そこで
時には夕方まで。
お客さんなど訪問しているはずはない。

ごもっとも。

それに歩調を合わせて同じ喫茶店通いの修理マン。

直ぐに行くはずはない。

顧客の修理訪問は午後から。
ごもっとも。

電話受付でも、ごもっとも。
社内で使う言語は関西弁。

受話器をとったら第一声が「マイドォ~」。

BB課の連中は電話の連絡をもらったとしても、買いたいという連絡以外は無視する。

ごもっとも。

修理マンはド素人に毛が生えた程度。

直せないのが当然。

ごもっとも。


修理代はボッタクリ。

成る程、金だけはしっかり徴収する。

ごもっとも。

いちいちごもっともなことばかり。
だけど、はい、そうです!と言う訳にはいかない。

私「我社はG社より遙か前に商店の皆様と共に歩んできた会社なのです」

追い討ちをかけてきましたね。
「G社は、無線で連絡。反して、君の会社では未だポケベル。今や姿勢が違う!」

個々の店の事例をあげて、延々と。
彼の言葉に反論する余地は全く無いのだが。

M社を推していた小金井市の会長をトラックの助手席に乗せ、各店を訪問したことを話すが、「それはそれ、これはこれ」。

ごもっとも。

若き奥様は相変わらず強盗に押し入られたように顔が引きつって腰が引けている。

小柄な色白の美人が台無し。

「G社の会社の内容は素晴らしい。反して君の会社の内容は遙かに劣る!」

ケチョン、ケチョン。

絶体絶命。

逃げ場も無い。

 



思わず、高さ1m半の洋菓子ガラスケースを拳(こぶし)で上から「ドォ~~ン」と叩きました。


自分でもびっくりするほどの音。

一瞬、ガラスが割れたのかと思いました。

「組合の会長が、G社は倒産しないと保障するのですか? G社が倒産しない保障は何処にあるのですか?」

続けて「企業規模・内容から言えば、日本人なら誰でも知っているM社やK社の方が遙かに上じゃないですか?」

再度、洋菓子ケースを上から「ドォ~~ン」。

 

怒鳴りました。
「G社は、この業界に参入してから、たかが十年じゃないですか。そのいち企業を組合員に対して責任ある立場のあなたが保障するのですか?」

シィ~~ンと静まりかえる。

その時、奥の障子が静かに開いて着物姿の60代貫禄充分の男が私を見下ろして言いました。

「私が会長だ。明日の展示会は午前九時半から。場所は組合事務所横の駐車場」
「有難う御座います。展示会には何台持ち込めるのですか?」

「一社五台。参加企業は、G社・M社・K社」
「分かりました。必ず参加させていただきます。有難う御座いました。」

外に出ますと時計は午前一時。
事務所は空だろうなと思いつつ、公衆電話を探しました。

事務所には、何故か森広支店長とBB課の藤原課長の二人がいました。会合で遅くなったそうです。

 

「支店長、明日の江東・墨田の展示会に参加出来ます。」
支店長、何故か無言。

続けて内容を話しました。

「水無瀬君、君はその展示会に出なくてもいいよ。藤原課長に全部やらすから」
「はぁ~~?」

 

※藤原課長は札幌の子会社から東京支店BB課の課長として赴任。変にアクが強く、東京のスマートさとは無縁の男。

展示会当日、出社しましたらBB課の数名が機械を積んでもう展示会場に出かけたとの事。


受注結果は、G社が二十数台(26?)。

M社・K社が各数台。

処が我社が72台。

圧勝との事。

 

展示会場では、何故に急遽我が社が展示できたかが話題になったとのこと。さもありなん。

    ☆  

私は、その日の夕方、約束通りくだんの酒販店を訪問。
黙って白紙の契約書を差し出しました。


奥さん

「おとうさん、約束したでしょう。判子を押さなきゃ」

この追加の1台、奥の倉庫に梱包のまま入れたそうです。

あの機種は大型で、確か1台、45万円だったはず。
それが、それが、五年経っても梱包のままだったそうです。

    ☆  

以後、森広支店長は本社で私の悪評をがなり立てました。

それも十二年間も。

「水無瀬には、商業組合を任せられない。きゃつは、直ぐに会長と喧嘩をする」

 

成る程、支店長の気持ち、分かります。

この江東・墨田商業組合会長宅には、森広支店長自らが足掛け五年通い続けても拒否され続けていたと聞いたのは後日。

 

江東墨田にしろ、三多摩にしろ、彼には高嶺の花。

それを私がいわば一瞬でいとも簡単に摘(つ)んでしまった!

 

男の嫉妬は怖いものです。

 

世子と亜子を更に豹変させたのは、この戦略講習もそうでしたが、次の人生シミュレートでもそうです。

 

(つづき)

心の履歴(305-6) 研修:人生シミュレートで輝く未来
2021-12-27 
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12627527827.html

 

(画像)

東京都地図
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洋菓子ケース

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