今日から新年度、あっという間に季節は進んで桜が終わればすぐに初夏です。
ワタクシたちの仕事は過酷を極める季節の到来、中でも孤独死などの特殊清掃は冬場の4~5倍の受注量となります。
今日は特殊清掃や遺品整理にまつわる過去ログとその考察を書いてみたいと思います。
2016.10 場違いなモノがある部屋
私たちお片付けにお伺いするにあたりお客様の性別や年齢、家族構成からこのようなモノが多いだろうって予測を立てていきます、単純なゴミ部屋でも男性と女性では全く違う様相を見せるのです。
いつだったか依頼者は男性で引越にともなうゴミ部屋片付け、目の前にいるその依頼者は確かに男、でも部屋の様子は男ではない(ゴミ質が女性なんです)なんとなく黄色信号が灯り何気なくチェック、いや靴も衣類もこの人のモノだ。
謎はまもなくして解けた、目の前の依頼者は戸籍上の男性であって実は女の子、少し慣れてくると言葉に出るから(´∀`)
こんな風にイメージと違うといろんな可能性を考えるのです、以前書いたように何か別の意図があって部屋の主以外の誰かが片付け依頼をする場合もあるから。
ある遺品整理での出来事、依頼者は遠方に住む娘さんで亡くなったのは幼い頃に両親の離婚により離れた父親 比較的最近のことなのでちょっとボカします 発見が遅れ状態はあまり良くなく床は腐敗脂でツルツルでした。
部屋の中はごく普通の家財で量もすごく多いというわけではなく状況もいかにも初老の男性一人暮らしという様子、最期の痕を取り除けばそこから先は難易度はそう高くない。
作業開始からほどなくして壁際の衣類の山の下からガラスケースに入った雛人形が出てきた、押入からは2~3歳あたりの子どもが使うおもちゃも新品で出てくる、いずれも高齢男性には似つかわしくないモノ。
別れたのは娘さんが高校生の頃だから関連はないという、もしかしたら別れた後誰かと結婚して子どもがいたのかも?なんてことで終わった。
その後そん現場もあったなってぐらいの期間が過ぎた頃その娘さんから連絡がありあれ以降父親の数十年の足跡を知りたくていろんな伝手を頼って調べた結果意外な事実が判明したのです。
別れて何年も経った頃にその娘さんは結婚しやがて女の子を授かった、そのお父さんにしたら初孫、そのことを誰かに聞いたお父さんはいつかは孫娘のためにと雛人形を買い仕事の帰りにおもちゃを買いいつか渡そうと思っていたようだ、でも実際に行動に移すことはできずどんどん月日が経ちそれらはそのまま部屋の中に留まったのです。
どんなモノにもその人の想いがあるんだという典型でした、雛人形やおもちゃを取り置くことはなかったけど私たちがその存在を知らせたことにより自分で調べて知ることができたのは大きな収穫だったと思う。
遺品に思いを馳せ意志を汲みとりながら仕事をしないと、と改めて思った出来事でした。
___________________________________________________
様々なドラマが付き物の遺品整理現場ですがハッキリと遺品整理とは何か?が明確になった現場でした。
遺品整理とは故人の想いを汲み取ることこれに尽きるのです、たとえ依頼者が粗大ごみ処分程度にしか考えてなかったとしてもワタクシたちはそうであってはならない。
この現場以降作業スタッフには「全神経を集中して故人の声を聴け」と伝えるようになりました、そうしたらなんと遺族がかなり入念に探したのに見つからなかった物が発見されたりすることが多くなりました。
2017.3 死の直前に何をしようとするのか?
人は今わの際に何を思い何をしようとするのか?これはその時までわからないことなんですが孤独死現場なんかでは最期このような動きをしたのかな?というのが垣間見えることがあります。
長患いで病院にいたりした場合はある程度本人も覚悟してると思いますが家で突然死の場合は当然覚悟なんてしてないはず。
ある孤独死現場でのことおそらく大量吐血があったんでしょう部屋中血の海、ご遺体があったと思われる場所に数枚の写真が散らばっていた、押入の扉とその中のプラの引き出しも血の跡があった、おそらく自分はこのまま死ぬとわかったときに最後の力を振り絞ってこの写真を手に取り抱きしめて逝ったのだろう。
もう一つは机の一番下の引出しが開いた状態でその上に覆いかぶさるように遺体があったのもありました※私たちは遺体は見ない これも何かを探そうとしたんだと思う。
自死なんかは完璧に整理して決行するか本当にそのままの状態かのどちらかです、ちなみに青木ヶ原の樹海で発見され身元の判明した方の部屋の7割がゴミ部屋だったというデータがあります。
毎日何を思い何を大切にしながら生きていくかで最期の数分もしくは何秒かを濃厚に過ごせるんだと思う、毎日を悔いなく生きることでそれが見えてくるんだろうか?私にはまだわからない。
もうすぐ桜、この時季はイヤなことだけど自死が増えます、解決できない問題はないよ!逃げるな!生きろ!____________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________
コロナ渦となって早や2年ですが確実に自殺が増えてます。
しかも比較的若い方が多いのはなんとも言えません、最初はコロナで職を失ったりお金がなくなったりでいわゆる生活苦だと思ってたんですが単純にそれだけが理由ではない気がします。
ワタクシが今のとこ思ってるのは閉塞感、おそらくこれです。
人は人との接触で育って学ぶのにそれを止められ同僚たちと愚痴を言い合って憂さ晴らしもできない、これでは人が壊れてしまっても何ら不思議じゃない。
2017.5 安心して旅立てるようにするために
私たち特殊清掃や遺品整理に携わる者がよくいう「孤独死」(ちょっとボカシただけの孤立死も一緒)ですが本当に「孤独」だったのか?と思うことがよくある。
そりゃあ一人で死んでいくんだから孤独死でしょって認識だと思うのですが果たしてそうなんだろうか?例えば一人暮らしで発作に襲われ死んでいくのとずっと24時間看護だったけどほんのトイレに行ってる間に亡くなってたとか隣に寝ていた人が朝は冷たくなってた、というのとあまり変わらないような気もする。
人は誰でも死ぬときは一人、これは大原則じゃないかと思う(集団自殺とか一家心中は別として)
なぜこんなことを書くのかというと今から何年か前の入梅の時期、特殊清掃&遺品整理の依頼が入った、依頼者は娘さんで亡くなったのはお母さんで70代の独居でした。
この依頼者はちょうどゴールデンウイークに家族で遊びに行き2泊して帰った1ヵ月後のことだった、推定死後30日前後ということだから自分たちが帰ってほんの数日ということになる。
別にすぐにどうこうという持病があったわけでもなく疎遠というわけでもなく、すごく遠方ということでもなかった、なのに一人で死なせてしまい1ヵ月も気付かなかったことをすごく悔やんでました。
これ孤独死でしょうか?
孤独死と聞くと天涯孤独で身寄りもなく友達もいない、そんなイメージになりがちですけど私が思うにそんな人は意外に少ないんではと思う。
これも実際経験したことですが、あるところでお婆さんが亡くなった、幸い発見は早かったけどそれでも10日ぐらいで季節によっては酷い状態になりかねない、依頼主はいわゆる行政機関。そう、この方は本当に身寄りがなかった、役所側も八方手を尽くしたけど見つからなかったらしい。
私たちもその情報だけで淡々と作業を進めてたけど・・・その間に何人の人が訪れ手を合わせていったと思います?10人できかないです、しかも性別年齢様々・・・
その中にはリストラされ途方に暮れてるときに話し相手になってくれたというオジサン、最初本当はちょっと悪意を持って近づいたんだけどというまだあどけなさが残る男の子もいた、急にわーーって泣き崩れた私たちの時代のような不良っぽい女の子もいた。
この婆さんいったい何してたんでしょう?
間違いなく孤独ではなかったはずです、友達が多いけりゃ孤独じゃない、最期看取ってもらえたから孤独じゃないと言えるかな?亡くなったことがゴングとなって骨肉の争い始まってしまうほうがよっぽど寂しいことではなかろうか?
結局生きてる間に1人でも2人でも深くかかわり縁をつなぐ生き方をしなければと思う、なぜGWの最中にこんなことを書いたかと言いますとハッキリと季節が変わるこの連休明けから特殊清掃が増えるんです、そしていろいろな人間関係を垣間見るから。
そう言えば昨日高齢者の賃貸住宅についてNHKでやってました、なかなかOKを出す大家さんがいなくて賃貸難民が増加してるということでした。
空き家が多い公営住宅に積極的に入れて1棟に2~3人引きこもりやニートを無料で住まわせる代わりに毎日各部屋を訪問することを義務付ける、そうすれば2つの問題が解決するんだけどなあ、誰かこの企画やりません?
2017.8 自己主張
ある孤独死現場に現地調査に行った、当然異臭漏れもあったんだけど玄関前に水で濡らしたような跡があり遠目からでもその部屋とわかった、この水のような跡が発見に至った原因らしい。
そのアパートは全部で10室ぐらいで半分程度しか住んでない古めのアパート、その部屋の前にこの水のようなモノが流れそれに滑って転んだのがはじまりらしい、その液体の正体は脂です。
脂が漏れ出す前に異臭でわかりそうなもんだけど両隣は空き家で毎日その部屋の前を通る転んだお爺さんは重度の蓄膿だった、おそらくこのままじゃ誰にも発見されないと思った故人は脂で知らせたんだと思う。
玄関先で亡くなってた場合はこのように脂や腐敗液が外に流れることがあるけど廊下から外に溢れるぐらい流れ出ることはあまりない、中を見てみると広がってるんではなく玄関に向かってまっすぐ脂の道ができてました。
このように発見しておくれ、と報せることは時々あるようで〇〇さんが夢に出て発見に至ったとかはよく聞きます、作業の途中でもなんとなくフト感じてある場所を見たら貴重品が出てきた、なんてことはよくあります。
御霊と波長を合わせると遺品整理はサクサク進みます、社内研修でも孤独死現場は故人の御霊が立ち会ってるから生身の人間の立ち合いよりスムーズに進むよ、と教えてます。
冒頭に書いたように何か戦利品はないか、ばかり考えてる乞食業者にはできない真似です。
2年ぐらい前に放送した遺品整理作業中にテレビが点いたのがあったけどあれもヤラセとかじゃなく本当に起こったことです。
ご先祖様が帰ってくるこの時期、会談はホラーではなく御霊の主張に耳を傾けてみましょう、こちらからお願いばかりしてちゃダメだよ。
__________________________________________________________
遺品整理や特殊清掃は心がなければできない、出来ないというかやってはダメ。
通信教育で適当で薄っぺらなノウハウ習ってプロと公言できるほど甘いものじゃないです。
依頼する側ももっと本質を考えるべきで昨今の遺品整理やその周辺業務のレベルの低さには目に余ります、その一端を担ってるのはお客様でもあるのです。
遺品整理なんて粗大ごみ回収のようなもの、だから安けりゃなんでもいいと考えるエンドユーザー、どうせ誰も立ち入れないんだからと好き放題やる自称特殊清掃業者。
優良認定事業所とデカデカとサイトに書いてるけど、本当に優良ならその業者が施工した特殊清掃の手直し依頼なんてあるはずないです。
技術面も当然大事だけど作業者がどこを向いているか?それが大事なんです。