うちの執事長の立花は
主人の身が危ういとなれば
己が命を顧みず
・走る車の前に飛び出す
・自家用車がトレーラーと接触した際
主人を庇って重症を負う(俺無傷)
・高所からの飛び降り、飛び移り
・超常的野生の勘で
2万坪もの広大な山の中から
ピンポイントで主人を救出
という
この世のモノとは思えない
頭のおかしい超人ぶりを発揮する
完全に気の狂った変態である
白侶との
馴れ初めは江戸時代の初め
かれこれ400年以上昔のことだ
当時、私の生まれた屋敷に
小姓として仕えるよう
父が何処かから
連れてきたのが白侶だった
当時の名前は
『白露』
父が二十四季節から取って名付けた
私が生まれたのは
「白露」が11歳の時だ
父がいつ私と「白露」を
許嫁にしたのかは分からない
当時の私は
実の兄に手籠めにされて
兄を殺した挙げ句に
屋敷を飛び出しているため
白侶から聞くまで
許嫁だったということすら
知らなかった
ただ
「白露」の方は当時のことに関して
相当な未練があったようで
江戸の初期から
現在に至るまで
永い永い間
私の魂を探し求めていたようだ
そうして現在
時を超えて再び
うちの屋敷に仕えるという形で
私の付き人兼指南役をしている
恐るべき粘着質
今世の私の母上といえば
ネグレクトで
私が22歳になるまで
口も聞いたことが無いような女だ
白侶は母から私を引き受け
男手1つで私を育ててくれた
感謝している
今わたしがここに生きていられるのも
全ては白侶がいたからだと
胸を張って断言できる
白侶自身はきっと
本当はかなり
複雑な思いだったんだろうけど..
私は1つ
ブログ上で嘘をついている
「白侶とは何もない」
というのが
真っ赤な嘘だ
本当は17歳の時、
実家の私の離れで、
昼間、
そういう事になりかけた
前後の話は忘れたが
床の上で組み敷かれて
自分がかつて許嫁だったと告げられた
私の首から鎖骨を
何かを確かめるように撫でた
冷たくて滑らかな指の感触を
今でもハッキリ覚えてる
白侶は28、私は17の
鮮烈な記憶だった
その時は「なんの冗談だ」と
笑い話にして納めた
そう言うしかなかったし
白侶もそれで引いてくれたから
私もそれ以上
その事については触れなかった
続