うちの執事は生意気だ
そのうえ、とても無礼で腹が立つ
先日、白侶は私に
自分の母親を「あの女」呼ばわり
してる今の私は
実家の祖母と母と同類だ
と言った
黙れよ、と
心の中で何度も吐き捨てた文句
あの時は本当に腹が立った
と同時に
白侶にそんなこと言われるなんて..
と
自分にちょっとガッカリもした
あの二人と
同類になるのだけは
死んでもイヤだ
そんな事を考えてたら
主人の頭を
気軽にポンポン撫でながら
動向を観察していたらしい
従者が言った
貴方は、何故そんなにも
母らしからぬ相手に「母親」の
在り方を求めるのでしょう..
貴方の言っていることは
全て感情の裏返しだ‥
逆を言えば、母親と認めないのは
「母」と認識している証拠であり
無意識的に
「母なのに」と思っているから
怒り、絶望するのだ
白侶のその言葉は
嘘みたいに
ストンと胸に落ちた
彼に言われなければ
自分では
絶対に気付かない事だった
私の生みの親は
ネグレクトだった
私は9つと11の時に
酒に酔った
60代の男にレイプされた
助けを求めた際
母は
あんたがそんな格好してるからでしょう!
汚い!お父様には言わないでよ!
と、学校指定のスクジャを
ボロボロにされて帰ってきた
俺に言い放った
あの瞬間から
『母親だって一人の人間なんだ』
と
割り切って付き合ってきた
………つもりだった
母に名前を忘れられるたび
どちら様?と聞かれるたび
私という存在が
母の中から消えていく度に
私はあの人に対し
無意識に「母親のくせに!」と
怒り、絶望してたのだ
本当は....
助けて欲しかったのかも知れない
だけど
極限の時に
いつも自分自身と向き合う
勇気と力をくれる人