この世で最も恐ろしい謳‥ | 比翼連理 ~執事の愛が重い件~

比翼連理 ~執事の愛が重い件~

当ブログは、年の差11歳の主従が送る日常の風景。ネグレクトの母から赤子の私を引き取り育ててくれた付き人の白侶(ハクロ)は、その美貌と優雅さで見る者を虜にする外面の良い悪魔。そんな彼のドス黒い“本性”を主人ならではの目線で書き綴るノンフィクションです。

邑木との一件先月半ばのことだ


私自身、少々もやっとする

出来事だったため

ブログに書き起こして発散している


後味の悪い話し故

精読注意






禍謳


時代の新旧、流行もあれば

効力にも差がある



祓うには専門家に頼むか、
自分でするなら
禊ぎをするしかないが・・

“場合によっては”

生きることを
諦めざる得ない物もある


邑木に絡まれた時

彼が謳うと同時に私も
とある和歌を詠んだ

正確には
禍謳の逆再生
とでも言えばいいだろうか

ある和歌に含まれる
7文字のキーワードだけを
囁き返したのだ



勝負はアッサリついた


結果をいうと

邑木の負けである

彼の唯一の『親戚』だという
爺さんから
私のスマホに連絡があったのは
事件から4日後のことだ



爺「彼が失明した」

そう聞いても

さして驚きはしなかった



嫌な話しをするが──
以下、精読注意
彼と対峙した翌日

私は霊夢の中で
黄緑色の目を見開いた地蔵の
両目を抉っている

ソレが何を意味するのか
当初は解らなかったが
あまり、いい気分ではなかった



因果応報


出会ったとき

邑木はその身体の周りに

無数の霊を憑けていた



中国に、小動物の命を使った

古い呪術がある


現代日本において
未だ実行している馬鹿もいるが

私はそういう人間が
大嫌いだ

邑木の話を聞いた時
正直、ざまぁと思った


因果応報である

私が返した禍謳は
巡り巡って
オプションが憑き
邑木に返った



爺「…助かった」

私の胸に残ったのは

爺さんのその一言



老いて邑木に
対処することが
出来なくなっていた爺さんは
邑木のことが
煩わしかったのだろう



 

彼はもう駄目だ


通話中


終始言葉少なだった爺さんが

電話を切る直前

呟くように言ったその声は

僅かに
悲しみを含んでいた


『もう駄目』とは
“そういう意味”だろう

私が返した禍謳のキーワードは
まさにそういう意味だった

──ただし

どんなに煩わしくても
爺さんはきっと
子供の頃の彼を知っているのだ


どんな経緯にせよ

私は爺さんにとって
彼の敵だ

現に爺さんは
『助かった』とは言ったが
私に感謝はしていなかった



今となっては
その爺さんとも切れてしまった
その後邑木がどうなったか
知る術は

もう、ない。