※タブレット推奨※
妻の孝姫を連れて教会に行くと、いつも、良いところで邪魔が入る。
『愛しています』
と囁いたのは、私ではない。
振り向くと、そこには見慣れた胸板が。
近付かれると、身長差で胸部しか見えなくなるのはドイツ人の神父様。
厳かに私の手を取った彼は、後ろから現れて、颯爽と見せ場を奪って行った。
毎回、何が楽しいのか───
『私は幸せです』『こんにちは』と呟いてはキスの嵐。
孝姫がいても、お構いなしだ。
面倒くさいからって放置すると、もうコレ止まんない。
嵐が過ぎ去るのを釈然とせず待っていると、今度は次なる嵐がやって来る。
───右には神父。
───左には鬼小姓。
神父が右手の甲にキスを落とせば、小姓は静かに左手首に口付ける。
・・・・・呆れて、物も言えない俺・・・
《沈黙は「OK」のサイン》とは、誰の言葉だったろう?
折角の夫婦の一時を邪魔されて、不機嫌、
口も聞かなくなった私の態度を、
己に都合よく取る“鬼神”コンビ。
身長、体格からして規格が違うこの二人に挟まれると、
私などは高校生に見える。
自分はそんなに細いとも思えないが、
彼らに比べたら、確かに「華奢」な方かもな。
正直、
セバスチャンにも白侶にも、
逆らって勝てる気がしない。
細い腰、細い首←(だってアジア系だし)
華奢な身体に薄い胸板←(食生活が違うのさ)
日本人が持って生まれたスペックが、彼らの前では「子供」同然に感じる。
(・・・よって、俺が薄い訳じゃない・・・)
ハグをしても良いですか?
駄目です..
ミナトを愛しています
容認出来ません..
一緒にお出掛けしましょう!
一人で行きなさい..
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
二人で行って来いよッ!!!
本日も、絶賛通常運転な“鬼神”コンビ
あぁうるせー。
『ねぇえ?』
それまで、気色の悪い茶番に本気で大喜びしていた孝姫が口を開いた。
『妻の私が「水都に抱き付く事」を許してあげる』
かと思ったら、
とんでもない事を口走る。
『その代わり、』
妻の出した条件は、写真を撮らせること。
BL大っ好きな
腐りきった僕のお嫁さんは、
夫をダシに、
一人美味しい思いをしたいらしい。
・・・・・最近、妻のおかずフォルダが2000枚を突破したそうだ。
私の写真が殆どなのは嬉しいが、
どういう時の写真かは・・・
怖くて聞けない。