「仲直り」も、ケンカに似たり.. | 比翼連理 ~執事の愛が重い件~

比翼連理 ~執事の愛が重い件~

当ブログは、年の差11歳の主従が送る日常の風景。ネグレクトの母から赤子の私を引き取り育ててくれた付き人の白侶(ハクロ)は、その美貌と優雅さで見る者を虜にする外面の良い悪魔。そんな彼のドス黒い“本性”を主人ならではの目線で書き綴るノンフィクションです。

ここ数日、電波状態が悪くてブログの更新が出来ない。(´д`lll)
ログインもし辛いし。

また何かあるのかなぁ・・・。


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の降る中庭】


縁側に腰かけて、気の早い蛙の声に耳を傾けている背中は、まるで白黒絵画の様だった。

味気ないその背を盗み見た時、正直、『悪かった』よりも『かわいそう』という思いしかなかった。

連日、仲直りしようとして尻込みしていた自分の中の迷いは、綺麗に消し飛んだ。



・・・・・ごめん・・・


やけに素直に謝って、脱色されたような後ろ姿に声をかけた。
両手で包み込んだ頭は、雨のせいで、少しクシャッとしていた。

湿気で濡れた髪が、指に心地好かった。



────もう一度、『ごめん』と声を掛けてみた。





・・・・・・・・・・・・..



────反応無し。

振り替える素振りもなければ、返事もされなかった。

『やっぱ怒ってるなー』と思いつつ、それでも、拒絶されなかった事に密かに安堵。
また振り払われたらどうしようかと思った辺り、自分の中で、前回のアレが“トラウマ”になっているらしい。




声が返ってきたのは、許されるのを諦めて、抱いてた頭を解放しようとした時───。





まったく本当に・・・
自分がかまって欲しい時だけ寄って来て・・・..



落ち着いた声は、低いノイズ音を伴っての中庭に響いた。



その声に気を取られて、伸びてきた手に気付かなかった。

膝立ちの体勢から前のめりに突っ伏して、胡座をかいた白い着物の太股に、強かに鼻をぶっつけた。
・・・忌々しい足だった、ひっ叩いてやった。


まるで「肘置きだ」とでも言うように、私の背中にはガッツリ白侶の腕。
利き手はガッチリ捕まれてるし、身動きなんて取れやしない。

端から見ると、きっととんでもない体勢になっていただろう。(笑)w

当人は特に気にした風も無かったが、むしろ高さ的に丁度良かったのか────

・・・ふぅ..

なんて、わざとらしい溜め息を吐いて休憩中。
動こうともしなかった。



【脱出、不可能】

もとい、

バカの【完全捕獲】完了である。





言ったでしょう、
必ず釣ってみせます」と..


あの時聞いた声は、暫く忘れられないだろう・・・。
口の端を吊り上げて笑っていたであろう事は、見なくても明らかだった。

単純な心理戦です..
と宣う白侶は、“あの背中”がそもそも「策」であると語った。

謝りたいのに素直になれないお子ちゃまを見ていて────
育ての親としての「情」が勝った結果、それとなく、「仲直り」する“きっかけ”を作って与えてくれたんだとか。


・・・・・何やかんやで、結局私は、「白侶の手の上」にいるんだな。






今回は少しだけ・・・..

と、困ったように笑った白侶。


正直、そんなに傷付けたつもりはなかった。
ただ、『嫌いだ』『触るな』、『バーカ!ハーゲ!』って言っただけ。

しかし、「育ての親」といっても、「」は「」だ。

そんな単純な言葉にも、白侶は反応して傷付いたのかも知れない。
そう思うと、胸が痛かった。


だから私は、────「夢の内容」に腹を立てた事を、正直に話した。

それが、せめてもの誠意だと思ったからだ。

『ヤキモチですか..』と笑われたが、もう『腹が立っただけだ』とは訂正しなかった。



本当は、私からは
話し掛けないつもりだったのですが・・・


と呟いた白侶は、毎回、ケンカ中にも関わらず話しかけてくる私に、笑いを堪えていたらしい。



引っ掻いて様子を見るところが・・・

と、───白侶は、暫く私の頭を撫でていた。

時折、毛束を取っては指に絡め、スルリ..と逃げる感触を楽しんでは『猫の尾のようだ』と絶賛していた。


今まで気にも留めていなかったが・・・
この癖は、彼なりの「甘え方」なのだろうか?


私は、あまり人に触られるのが好きじゃない。
嫌なことばかり思い出すからだ。

けど、赤銅色の髪を撫でる白い手だけは、どこまでも優しくて、好きだ。


この手だけは“悪くない”と、本気でそう思えた。









ただ、

じゃれてて噛み付かれた時は────


────って、思った。



明日は孝姫様が御見えになります..

精々、面白い言い訳を考えておくのですね..


そう言って、自分の首をトントン軽く叩いて、次に頬をトントン叩いて見せると・・・。
用事を思い出しましたと言って、クソ悪魔は颯爽と何処かへ消えていった。



後で確認したら、右の首にくっきりと痣が出来ていた。
・・・・・・しかも、二ヶ所。


例え主人が妻に浮気を疑われようとも、
それでビンタされる事になろうとも!

「報復は絶対する男」、白侶さん。

大人げない、白侶さん!!



孝姫を使って回りくどいこの復讐・・・・・
どーよ

ホント、性格わっるいなー。(・・;)



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【仲直り】らしからぬ【仲直り】。

冗談めかした所、個性を隠さぬ所が、いつも通りといえばいつも通り。w


あの後、戻ってきた白侶さんは“ちゃっかり”私の【指南役】に戻っていました。

父と山都に許可を貰いに行ってたみたいで、二人とも、すぐに快諾してくれたそうですm(__)m



二週間、一人になって感じたことは・・・・・・

いつも聞こえる声が聞こえない「寂しさ」と、
いつも傍にいる暖かさを感じられない「孤独さ」。


如何に自分が愛されているのか、再確認しましたわ。


ギブ&テイクじゃないけどね?

せめてもう少し、白侶の変態っぷりに・・ぁ、違う。
白侶の親心に、付き合ってやっても良いかなーと、思いました。^_^;



ケンカはね、もういいわ。(笑)