百合子夫人とミホさん。そして檀先生 | 自転車から今日は♪

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小さなおうちでの生活をのんびり綴ってみたいと思います♪

小説「死の棘」のジメジメとした世界に浸りきった後は

さっぱりとした檀一雄流大根おろしはいかが?

 

 

 

 

ネット読書会の次の作品として

檀一雄氏の「火宅の人」を取り上げるという予告をうけ

只今檀先生の料理エッセイ「檀流クッキング」

再現料理をちまちまとつくっております。

 

 

この料理本、かなり手の凝ったものが多いのですが

今回取り上げるオクラのおろし和えや、薬味たっぷりの

鰹のたたきは難しい工程がないので

「火宅の人」ワールドへの入門料理としては

なかなかよろしいのではないかと思います。

 

(whiteさん、鰹のたたき二度も作ってくださってありがとう

絶品だったでしょ。)

 

 

 

 

No.072 オクラのおろし和え

 

【材料】

 

オクラ、海老のむき身、大根おろし、

塩、柑橘系の絞り汁、うす口醤油

 

 

【作り方】

 

 

サッと塩煮したオクラの実をハシから小口切りにして

大根おろしにまぜるだけ。

ただしオクラを入れた大根おろしは必ず

冷蔵庫で冷やすのがよろしいらしい。

長時間放置すると、色が冷めるともおっしゃり

檀先生は大根おろしひとつにしてもやたらと注文が多い、

 

オクラのおろし和えの中に、しらすをいれたり、

海老をいれてレモンや、柚子などの絞り汁をかけ

醤油をかけて食べるのが最高においしいのだそうだ。

 

とりあえず先生の言われるまま

海老のむき身をいれてみました。

 

 

 

 

 

私は、オクラが出始める頃から、ほとんど毎日、

オクラのダイコンおろし和えを、愛好している。

シラスボシや、チリメンジャコ等を加えるのもおいしいけれども、

やっぱり芝エビの塩煮のムキ身が、色も姿も美しい。

 

檀一雄 「檀流クッキング」より

 

 

色も姿も美しいって

貴方は魯山人ですかっ!

 

 

大根おろしは、前回のネット読書会で取り上げた「富士日記」

食卓に何度も登場していたメニューですが

同じ時代を生きた作家たちが食べる大根おろしも、

作る人によってはこうも違うのかとなかなか興味深い。

 

 

 

ハマグリのユデムキか、アサリのユデムキとか、

何を加えても、手軽で、複雑な味のお惣菜になるだろう。

しかし、繰り返すように、芝エビのムキ身を

まぜあわせるのが一番、美しい。

 

 

料理の基準が「旨い」ではなく「美しい」

コスパ重視のみなみ家となんという違いだろう

 

朝食にこれを出したら息子は目を輝かせて

ホテルの朝ごはんのようだとは言いました

絞ったレモン醤油で頂くオクラのおろし和えは口の中で

塩茹でのエビが風味が上品なハーモニーを奏でてくれ

大変おいしゅうございました。

 

だけど言ってもいい?

 

いくらお料理が上手でも、

こういうタイプの方が毎日台所の隣にこられたら

ちょっと私はカンベンかな~^^

(家庭の奥さんは限られた予算と限られた時間のなかで

ご飯をつくってるんですっ!)

 

気が向いた時に、お楽しみ気分で作るにはいいけれど

そっか だからこの人は家庭人となりきれず

よそでオンナをつくるのか!

(なんてねー)

 

 

さて、気を取り直して檀先生の料理本をみていきますと

「チャプツエ」という料理が登場しています。

そこにはこんな記述がありました

 

 

「チャプスイ」とか「チャプツエ」と呼ばれる、

肉や野菜をゴタまぜにいためた料理があるだろう。

 

 

「チャプスイ」

 

お~!前回のネット読書会でとりあげた

「富士日記」チャプスイの謎がこんなところで解けるとは!

 

 

この料理「富士日記」の中でも登場していて

作者の武田百合子さんは一時期チャプスイにハマって

やたらと夕食のメニューに登場していたときがありました。

 

どんな料理だろうと思っていただけに

レシピまであげてくれるとはありがたい。

 

坂口安吾氏のお宅でよく甘酸っぱいチャプスイを食べたという

記述を読みながら、いやいや武田百合子さんも作っていたのよと

確認するため「富士日記」を読んで見ますとおやおやおや~

 

 

今度は「富士日記」の中に「死の棘」のミホさん

登場しているではありませんか~ びっくり

読んでいたはずなのに百合子夫人の気持ちの動きに

気持ちがむいてしまっていて読み飛ばしていました。

 

 

1976年、富士日記の最後の年の日記になるのですが

その中で百合子夫人は、礼状を書こうとするのですが

うまく書けなくて何度も破り捨てます。

 

書いては消して、書いては消して、

それは百合子夫人のご主人である武田泰淳氏が

日に日に弱っていたからという

哀しい背景があったからなのですが・・・

 

 

百合子夫人がどうしても書くことの出来ないでいたお礼状

その相手はミホさんだったんですね。

 

 

 

さて「死の棘」を知るために只今「狂うひと」という

ミホさんの評伝を読んでいるところですが

檀一雄のお名前がこちらでも登場します。

 

この本がどういう本かと申しますと

図書館の方が、本についている帯を切り取って

背表紙にはりつけてくれたものがありますのでそれを読みますよ

 

 

「死の棘」の愛人の正体は?

あの日記には何が書かれていたのか、

そして、本当に狂っていたのは 妻か夫か

 

「そのとき私はけものになりました」

 

島尾夫妻それぞれの日記や手紙、草稿、ノート、メモなど

膨大な未公開資料によって

妻・ミホの生涯を辿る渾身の決定版評伝。

 

 

こんな本です。

 

「死の棘」を読んだ方であれば当然気になってくるのが

愛人の存在ですが、名前をふせてはありますが

モデルのになった女性が登場します。

 

トシオさんと、「あいつ」と呼べれていた愛人さんは

物書きさんが集まるサークルみたいなところで

知り合ったそうです。

 

 

「小説を書きたいといってるから

面倒見てやってくれ」

 

その愛人さんというのはどうやら檀一雄氏の

知り合いの人物らしくどうやら檀先生の口利きで

やってきた方らしいのです

(つれてきた人物は檀氏の弟分にあたる別の人ですが)

 

しかも檀先生ったら

「結婚しているが、旦那さんとは別居中」とか

そんな情報まで伝えていて、そんな話きいてしまえば

そりゃ男の人はおかしなこと考えちゃいますよねー

ゴシップ探偵の血が騒いでしまいます。

 

 

ネット読書会の予習をかねた一冊の料理本が

「富士日記」や「死の棘」のお話につながって

本の世界っておもしろいよなぁと思います。

 

「富士日記」の百合子夫人と

「死の棘」ミホさんは知り合いで親交があるけど

ミホさんとトシオ君の愛人「あいつ」さんはキャットファイト

 

「あいつ」さんは「家宅の人」の檀一雄さんに目をかけられていて

同時にトシオくんの不倫相手でもある

 

檀さんのチャプスイを百合子夫人が作っていているが

誰が百合子夫人にチャプスイの作り方を教えたのかは謎

 

百合子夫人はチャプスイの作り方をどこで学んだのか

檀一雄と百合子夫人の点はつながっているのか…!?

 

 

なんだかワタクシ

探偵小説読んでる気分になってきました。