ほんとー | 台風373号。

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井上みなみのブログです。

嘘と本当が、ほんとうにあるとしたら、演技はいつもその間にあるなあと思ったこと。嘘に寄りすぎたり、本当に寄りすぎたら、居場所がない。

例えば「フェイクスピア」の終盤にやってきた言葉群、例えば「とぶ」で教室の美術を立てた体育館という設定の劇場空間、例えば「ペンギン・ハイウェイ」で前半の現実感と対照的に後半のファンタジー。嘘が本当に舵を切ったとき、本当が本当のふりをしたまま嘘をついたとき、なんかぐっとおもしろくなると思う。それから、本当を際立たせるために嘘をつき続けたり、嘘も本当の一部にするために本当を続けておいたり、いつだって作戦はとっても重要。

いつか「下手くそに音読する」という演出がついた時、見ていた人に「本当に読み間違えたの?わざと?」と聞かれてうまく答えられなかった。本当だったし、嘘だった。

最近は嘘と本当に興味があるんだと思う。

「フェイクスピア」で、あのシーンが始まるまで馬鹿にして聞いていた(馬鹿にして発せられていたかもしれない)言葉が、シーンの始まりとともに「本当」としてばちんと受け止められて、演劇と演技の力を思い知った気がした。この演劇の始まりも「はじめは本当でここから嘘」という始まり方だった。

当たり前のように、好みや、何を求めて観るかもめちゃデカくて、バチバチのフィクションエンタテインメントが観たいときもある。そういうときは、自分の生きてる現実が、本当部分を担っている感じ。

そういえば、家族の影響でスターウォーズシリーズが結構好きなんですが、あれも宇宙戦争から小さな親子のこと兄妹のこと、フォースが宇宙と一瞬の心の揺れをおんなじに繋いでいて、そういうふり幅が好きなんだと思う。

にゃごにゃご。