水星の視位置・12月2日の水星食に向けて | 池袋駅南口の天文計算

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12月2日の水星食の予測計算をするとき問題になるのは水星が無限遠にあると考えることができずまた公転によって移動していることです。

これまで掩蔽の予測をするとき恒星の視位置は変わらないと仮定していましたしそれで問題なかったのですが水星ではそうはいかない可能性があります。じっさいに影響があるものかどうか考えてみました。

今掩蔽の時刻を秒程度のオーダーで予測することを前提としていますから月や恒星の視位置については角度で0.004度(15arcsec)程度の精度が要求されます。
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当日5時20分から5時50分までの水星の地心からの視位置と観測地からの視位置を見てみます。
地心からの視位置は「国立天文台・暦象年表」で調べ観測地からの視位置はそれをもとに計算したものです。

201312020420_水星.xls」 (Excelのシート、上記の時間と角度の換算表を含みます)

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まず公転によって水星の赤経は30分間で0.031度動いています。これは掩蔽時刻の予測に8秒程度の影響を与えますので無視することができません。
一方地心からみた赤経と観測地から見た赤経には0.0015度程度の差があります。これは0.4秒程度の影響です。今回の場合は無視してもかまわないのですが赤緯にも同じ程度の差が出ておりこれは接食に近い場合おおきな影響を与えます。今後さらに精度の高い予測をする場合のことを考えると考慮しておいた方がよさそうです。
また地心距離(つまり水星の視半径)にかんしては時間変化も観測地による違いもわずかなものでありこれは無視することにします。

また時間変化(5分間ごとの階差)を見るとほとんど違いがありません。

結果として水星の掩蔽の計算については次の方針で行います。

・水星の観測地による視差は考慮する
・水星の公転にともなう赤経・赤緯の時間変化は考慮する。
・水星の視位置は計算対象の開始時刻・終了時刻の値を線形補間して求める。
・水星の視半径は一定とかんがえる。

(2013-11-26 12:38:27)
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