No pain, No gain 6-2 | 風の痛み  Another Tale Of Minako
2.

俺達に次はない
オー
今日が最後だ
オー
死ぬ気で押せ
オー
死ぬ気で走れ
オー
死んでも止めろ
オー
ゴールラインを
割らせるな
オー

ばかばかしいと思うかもしれないが、俺はこれが好きだ。
この一瞬から、怖いものはなくなる。
たとえ相手が190cmだろうと…。
たとえ相手が100kgだろうと…。
怖くはない。
かなわないだけだ。

世の中には気合だけではどうにもならないことがある。
気合など、力の差の前では無力だ。
まぁ、覚悟はしていたが、押されに押された。
押され続けるのは、かなりこたえる。
前半が終わったとき、俺は吐いた。
ただ、相手の攻めは単調で、前半は、ゴールキック1本分、うちが上回った。

「シンチ、いけるか?」
べるげんが、俺にだけ聞こえるように声をかけてきた。
いけるもいけないも、うちにフォワードのリザーブはいない。
「だいじょうぶです」
そうは言ったが、だいじょうぶじゃない。
相手は、重量フォワードを武器にひたすらサイドをついてきた。
それも必ず、俺のほうだ。
恨みでもあんのか、俺に?

まぁ、恨みじゃなくて、弱みがあるんだ。
俺の足は、テーピングでがちがちだ。
誰だって、狙うならここだろう。
まったく…。
しかし、相手が必ず俺のほうをつくので、うちのディフェンスは楽になったのも事実だ。
姑息な真似をするからだ。
ばかが…。

さぁ、後半だ。
ずっと俺のところを突いて来い。

冗談だ。
本気にするな。