昨日のお昼、昔我が家の愛犬の世話をしてくれた、ドッグトレーナーのTさんが、ふらりと家に来てくれた。
体調が悪いと電話で言っていたのが気になって、年末に焼き豚など持っていったのを喜んでくれて、「ありがとね」といなり寿司をお土産に持ってきてくれた。
愛車のでっかいキャンピングカーみたいなのに乗って、犬を乗せて、狭い道でもスルスルと運転していたTさんが、藤色の軽にちょこんと乗っていた。
「あれ、車…」
「前の車ね、あれ30年乗ってたんだよ。自分で全部手入れして。でもミッションがだめになっちゃってさ。いや~軽はラクだね、ぜんぜんこれでオッケーよ」って。「そういえば、おたくの車どうしたの?駐車場になかったけど。売っちゃったの?」
「あ~、次男が休みで、車使ってどっか遊びに行っちゃったんですよー」
「え、次男、いくつになった?」
「25です」
「えーっ!!!……年取るわけだ。オレもう75よ」「長男どうした?」
「長男は家出てひとり暮らししてる」
「へぇー、次男は家にいるんだ」
「そう。次男はねぇ、ダメもう遊んでばっかりで。休みはどっか遊びに出かけるし、だからお金ぜんぜん貯まらないの。もうあると全部遊びに使ってしまってさぁ」
「ハハハ、そりゃねぇ、人生の授業料よ! 大事なことよ」
「はー、人生の授業料かぁ~」
「そうよ。若いうちにいーっぱい遊んでアチコチ行って、できるだけいろんなヤツ見ておいたほうがいいよ。若いうちはね、そうやってとことん遊んだほうがいいの。でないとね、年くってからトチ狂うから。年くってから狂うとね、もうどうしようもないよ」
うん、確かに、年くってトチ狂っている人を知っている…。
「大丈夫、遊んでるったって、どうせたいしたことしてないんだから」
うん、確かに。
ふと、20代の自分の数々の愚行を思い出す。
考えてみたら、私より息子達のほうがよほど真面目でおとなしい。ま、親に言っていないだけかもしれないけどさ。
「確かにそうですね~。なるほど人生の授業料か~」
「そうよー」
Tさんは次男が年長のときからのお付き合い。
考えてみたら、出会ったときのTさんは、今の私と同じくらいの年だったんだなぁ。