コンポストをきっかけに生活がどんどん変わった | Minahei

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ライター戸塚美奈のブログです。

さっき、3日分ためた生ゴミを、コンポストに入れてかきまわしてきた。4日前に入れた生ごみは量が多かったのでどうかなと思っていた。かりん酒をつけようと思って近所で拾ってきたかりんが、傷んでいて半分ほど使い物にならず、、残4つ割りくらいにしたままコンポストに突っ込んでいたのだ。大きなまま入れるとなかなか土に還らないというのに。ところが、コンポストのフタを開けて土につっこんである温度計を見ると、30度近い! シャベルを入れて掻き回すと、土に還る途中のかりんなどのカタマリがほろほろと崩れ、うんこくさい有機物のニオイとともに、湯気が! 

2月なのにホカホカに発酵してる! ここ数日暖かかったことと、あと、イワシの頭を大量に入れたからに違いない。ただ、うんこくさいのは問題なので、米ぬかを足し、そばがらも入れて、よーく撹拌。最後に上に乾いた土をかけ、その上に、ミントやローズマリーをちぎったものをパラパラとふりかけてニオイ消し。これでよしと。

コンポストかきまわし作業も、すっかり慣れたもの。

今日は自分の誕生日。誕生日にコンポストからホカホカ湯気が出るなんてうれしくてたまらない。こんなことでうれしくてたまらない自分が、またうれしい。

 

いきなりコンポストの話で、「なんのこっちゃ?」だと思うけれど、長い事ブログをなかなか書けなかった理由がコンポストだと言ったら、笑われてしまうかも。

『ゼロ・ウェイスト・ホーム』(ゴミゼロの家)を読んだとき、この本に提案されていること、5つのR→リフューズ(断る)、リデュース(減らす)、リユース(繰り返し使う)、リサイクル(資源化)、ロット(たい肥化)に感銘して、プラスチック製品を買わないようにするなど、すぐできることはやった。けど、このうち、さすがに、たい肥化は難しいよね、と思っていたのだ。というのも、この本、じつに具体的にリサイクル方法を書いているのだが、たい肥化に関してはイマイチだ。紙切れも、布も、木や竹の製品もコンポストへ。でも、それ、どこで、どうやって土になるの??


驚いたことに、カリフォルニアでは、「燃やせるゴミ」収集というものがない。紙や生ごみは、腐らせるゴミとして、庭木といっしょの扱い。初めて知ったのだが、日本のようにゴミをざんざんのお金と燃料を使い、二酸化炭素を排出してがんがん燃やしている国はないのだった。どうもカリフォルニアの意識高い系(?)のセレブたちは、モノスゴイ機械式のコンポストを使って、そこから液肥を取り出しているらしい。

調べてみると、ピカピカの機械が見つかった。いったいいくら? それってどうなんだ? わざわざ金とエネルギーを使って土に還すのも、ちょっと違うような気がする。ベアさんちのコンポストがどんなのかはわからない。本には書かれていない。

 

日本でのコンポストというと思い浮かぶのは、あれ、緑色の巨大ポリバケツをひっくり返したようなヤツ。まるで美しくない代物だ。市の広報には、段ボールコンポストというものが紹介されていた。落ち葉と生ごみを混ぜて発酵させるというもの。段ボールだから手軽にできますよということだが、以前に一度やってみたものの、いつまでたってもゴミはゴミのまま。気持ち悪くなり、腐りきったそれを、結局燃やせるゴミ袋に突っ込んでしまった苦い思い出がある。

 

ベアさんの本や、本に影響されてゴミゼロにしようとしている人達のブログなどを読んでみると、皆、コンポストを始めている。翻訳者も、コンポストの記述が少ないことに気づいてか、本の中で、日本のコンポスト事情を表にまとめてくれている。でも、それを何度も読んでも、どのコンポストがべストなのか、コンポストがどういうものなのか私にはサッパリわからなかった。

同時にどんどんいろいろな疑問がわいてきて、コンポストやたい肥化に関する書籍やネット情報をあさり始めたものの、「コレ!」というものがない。広い庭や畑を持っているならできるけど、ウチの猫の額ほどの庭で作ったら、庭中コンポストになってしまうというものばかり。土嚢袋を使う方法もあったけれど、それでも結局は土に埋めなければならない。情報がなさすぎて、これは自分で試行錯誤するしかないのかも、というとりあえずの結論になった。

 

本の中で翻訳者が紹介している「キエーロ」というコンポストがあった。おしゃれな木製で、これまでよく目にしていたひっくり返した緑色のポリバケツとはぜんぜん違う。なんとなく、これなら、段ボールよりもよさそうな気がした。

思い切って、「キエーロ」を販売しているという人に連絡をとり、購入することにした。

http://www.kiero.jp/

 

到着して即、ホームセンターに黒土を入れ、コンポスト生活の開始!

さてどうなるか。

すぐにでもレポートを書きたいような気がしたが、何事も飽きっぽい自分のこと、やって数ヶ月後にやっぱりダメでした、になるかもしれない。これはある程度結果が出てからにしなくては。そう思って半年以上が過ぎ。 

 

驚くなかれ、2018年6月3日にコンポストを始めて以来、一度も、生ごみを燃えるゴミに出していない!!

 

我が調布市の燃えるゴミ収集は、週2回。有料のゴミ袋に入れて出すのだが、袋は、LL、L、M、Sと、4種類の大きさがある。かつては週2回、L袋に入れていたものが、今は、S袋、多いなぁという日もM袋に収まるのだから、ビックリだ。しかもそのゴミは、ポンポンと片手で遊べるくらい軽い。

 

かつては、生ごみは、食事が終わるごとに生ごみ入れから、水気をしぼってレジ袋に入れ、それをゴミの日にまとめて出す、というサイクルを繰り返していた。その生ごみがなくなった。すべてコンポストに入れて掻き回すようになったのだ。

始めたのが初夏だったので、気温も高く、コンポストに入れた生ごみは、4、5日でホロホロになってしまう。コンポストを掻き回しながら、こんなにおもしろいことがあるか、という気持ちだった。

この「キエーロ」というコンポストは、土の量が圧倒的に多いので、臭いが外に出にくいということ。魚のアラや、古い油などもためらうことなく入れられる。むしろ、繊維の多い野菜くずなどよりも処理が得意だ。

コンポストを始めて数日たったとき、あれ? 台所とリビングの空気が変わったような気がする、と思った。同じ日に夫が、「なんか臭いが変わったような気がする」と言ったから、本当に台所から生ごみの臭いが消えたのだと思う。

 

いろいろやるうちにコツをつかみ、といってもいまだに試行錯誤中。生ごみは、毎日毎日入れるよりも、3日に一度入れるのがよい。生ごみは臭いの出ないものに入れて、米ぬかもかけておく。米ぬかを入れておくと、乳酸菌のおかげで発酵し、魚のアラなどを入れても臭くならない。こうして1次発酵させたものをコンポストの土に入れて混ぜると、土に還りやすい。

 

生ごみを燃やせるゴミの日に出さなくなって、生ごみをビニール袋やレジ袋に入れる必要がなくなった。ゴミを入れるのに使うしな、となんとなく集めていたレジ袋を使わなくなり、どこでもレジ袋を断るようになった。レジ袋を入れるスペースが不要になった(けっこうかさばっていた)。ばかでかい燃えるゴミ用のゴミ箱が不要になり、小さいゴミ箱に変えた。コンポストを掻き回すのにけっこう体力が必要で、いい運動になっている。コンポストを掻き回すために庭に出ることで、庭先に出る習慣ができた(庭に出ないと出るのがおっくうになって放置してしまうものだ)。とまあ、実にいいことづくめ。

そしてついに。できた土を使って野菜を育ててみたくてたまらなくなった。

 

私の購入した「キエーロ」はそもそも、土をつくる用のコンポストじゃない。ベランダで使う人のためのもので、土に入れて掻き回していれば、生ごみは消えてしまって、土は増えない。連日混ぜ込んでいるのだから、じっくり熟成はできず、いつも未熟で、畑には使えないのだ。でも、コンポストの中で、かぼちゃのタネからどんどん芽が出てバカみたいに育っちゃっているのだ。この土で植物を育ててみたいと思うのは人情というものである。

 

コンポストの土を少しずつとりわけててきとうに熟成させ(といっても1カ月くらい。いいかげんだ。)、ふるいでふるって、ゴーヤのプランターにまいてみた。そのせいかどうか、台風で強制終了となるまで、次々にゴーヤがとれた。夏には近所に畑を借り、秋には庭のタイルをはがして土を入れた。

 

コンポストに飽きるどころか、コンポストをきっかけに生活がどんどん変わってきた。で、あまりにめまぐるしく変わりすぎて、どう説明したものかめんどうになり、ブログを書く機会を逸したままになっていた、というわけで。なんだかコンポスト前とコンポスト後で、ワタシという人間が変わったような気もする。

今となっては、ビニール袋に生ごみを入れて捨てていた自分が信じられない。 コンポストを混ぜるたびに「これでよし!」と気持ちが落ち着く。 ゴミをビニール袋に入れてゴミ収集で出すのではなく、地球環境に悪い二酸化炭素を出すのではなく、自分の手で、きちんと処理できる。なんてすごいことなんだ。今年の正月はすごかった。ゴミの収集がないことが、まったく苦にならなかったのだから(酒瓶とビール缶は山のようだったけど)。こんなおもしろいこと、どうして今までやらなかったんだろう? 

 

 

土を入れる前。新品のもの↑