どうしてこんなにゴミ屋敷にひかれるのか? | Minahei

Minahei

ライター戸塚美奈のブログです。

すごい漫画を読んでしまった・・・・・。

ゴミ屋敷の掃除のことを調べていて、行きついたのが、この漫画。ゴミ屋敷に住む母親とのバトルを描いたコミックエッセイ、『母は汚屋敷住人』高嶋あがさ著(実業之日本社)。amazonのレビューを読んでいるうちにどうにも読みたくてたまらなくなり、即購入。

世の中にある汚部屋あるあるはすべて網羅、しかも自殺した元住人の遺品もすべて残っているというスーパーウルトラ級。台所にはねずみやごきぶりが我が物顔ではい回り、著者は自分の部屋のカセットコンロで自炊するというありさま。しかしその著者の部屋は元住人が睡眠薬で自殺した部屋なのだ……。ゴミの中で暮らしながら、ネズミにかじられた靴さえ捨てるのを拒む母。そんな母の目を盗み、くさった家具を解体して捨てようと、著者はチェーンソーで武装して立ち向かう。

 

そもそも母親は料理も掃除も何もできない人であり、もはやその捨てられない性格は変えられないということがはっきりしてくるのだが、そんなお母さんから立派な漫画家さんが育ったことが信じられない思いである。いやそんなだらしない母親だから子が立派になったと言うべきか。別居したお父様とは大学で知り合ったということも後半明らかになる。お父様は海外赴任もするくらいの立派な社会人なのだから、お父様はもちろん、ゴミ屋敷主人のお母様も、もともとは知的な人であることは間違いない。

著者が描くお母様の姿……顔は樹木希林そっくり、太目の体型に毛玉だらけのセーターを着て、常に足を組んで座っている姿が、決してなりたくないが、まかり間違ったらいつかなってしまいそうな姿に思え、夢見が悪かった。

いや、一晩寝ても、私の心の中にいる、ゴミ屋敷母さんが居座ったままだ。ふっと気づくと「ホホホ」と笑ってゴミをためこんでいる。スティーブン・キングばりのホラー。

でも読後感は驚くほどカラッとしている。たとえ家族であろうが、理解できない人はいるし、そういう人とうまくやっていこうとする必要もないのだ、ということが結論づけられているからだろう。

 

汚部屋のことをもっと知りたい方はこちらのブログもおすすめ。

http://ameblo.jp/minamio-oo-o/

ゴミ部屋掃除をしている方のブログ。引きこもりの人を強制撤去(?)する話やら、ご遺体のある部屋掃除やら、出てくるエピソードがすさまじい。ゴミ部屋には恐るべき人間ドラマが詰まっていて、場数を踏んだおかみさん(と呼んでいいのかわからないが)の人生訓にも重みがある。

 

それにしてもなぜ私はかようにゴミ屋敷にひかれるのか? 難題である。すごい深層心理が潜んでいそうで、深く考えるのが………こわい。