皆川恵比寿法律事務所のブログ

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皆川恵比寿法律事務の弁護士・スタッフが不定期に情報発信していきます。

弁護士の武井です。

 

新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇止めが8月31日時点で見込みも含めて累計5万人を超えたという報道がなされています。詳細は下記URLをご覧ください。

https://news.yahoo.co.jp/articles/815a52cd25d88adc764e2fd429c449a326039cfd

厚労省のQ&A(下記URL)では、雇用調整助成金等の支援策を活用し、可能な限り雇用維持に努めるよう「お願い」がなされていたところですが、コロナが収束する目途が立たない中で、雇用調整助成金等では人件費をカバーし切れず、やむを得ず解雇等に踏み切る会社が多いものと思われます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q10-4

既に、当ブログでも「新型コロナ対応Q&A②」(https://ameblo.jp/minagawa-ebisu/entry-12599707297.html)において解雇及び雇止めについて概略を説明していますが、社会の関心が高いテーマだと思われますので、今回から数回にわたり、より詳細な説明を行うこととしました。最後までお付き合いください。今回は解雇の総論を説明します。

 

1.解雇の検討において考慮すべき内容

①業務上の傷病による休業期間及びその後30日間等は解雇が法律上禁止されています。

②有期労働契約の場合、やむを得ない事由がない限り、契約期間中の解雇はできません。

やむを得ない事由があったとしても、解雇の有効性は、期間の定めのない場合を比べて厳しく判断されることになります。

③解雇は合理性・相当性が認められない限りは無効とされます。経営上の理由から余剰人員削減のためになされる解雇(以下「整理解雇」といいます。)については、以下の4つの要素が裁判例では考慮されています。

 

ⅰ人員整理の必要性

ⅱ解雇回避措置が尽くされているか

ⅲ解雇対象者の選定基準が客観的・合理的であるか

ⅳ労働組合との協議や労働者への説明が行われているか

 

2.整理解雇に対する裁判例の傾向等

整理解雇というのは、経営上の理由という会社の都合で、従業員を解雇するものです。従業員の生活保障という考慮もあるのでしょうが、裁判例の傾向として、整理解雇が有効という判断を得るのは相当程度困難(ハードルが高い)と一般に解されているところです。また、解雇された従業員が、当該解雇の効力を裁判等で争い、当該解雇は無効であるとの判断がなされた場合、会社は当該解雇の時からの給与を当該労働者に支払わなくてはなりません(いわゆる「バックペイ」)。バックペイの金額は会社にとって相当程度の負担となります(整理解雇を実施せざるを得ない会社にとっては尚更です。)。したがって、会社としても、整理解雇は、慎重に検討を重ね万全の準備をしてから実施する必要があります。

整理解雇の効力は事案ごとの判断とならざるを得ないため、一定の基準を満たせば直ちに整理解雇が適法に実施できるというものではありません。しかし、過去の裁判例等を分析し、適切な対応をすることで整理解雇が有効と判断される可能性を高めることは可能です(次回以降に詳論します)。

 

3.会社としてのスタンス

会社としては、退職勧奨等のソフトな手法で人員整理ができるのであれば、あえてリスクの高い整理解雇に踏み切ることはないでしょう。しかし、従業員も生活がかかっており、なかなか退職勧奨に応じないという背景がコロナ解雇にはあるものと思われます。

雇用維持のために人員整理を行わないという姿勢は素晴らしいですが、その結果、会社が倒産してしまっては元も子もありません。整理解雇を勧めるわけではありませんが、整理解雇以外の方策がない場合には、躊躇せず整理解雇の検討を始める必要があります。ただし、整理解雇は非常にセンシティブかつ会社にとってもリスクの大きい手法ですので、是非とも(次回以降の記事で予習をしていただいた上で)弁護士に相談し慎重に対応を進めていただきたいと思います。

 

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弁護士の武井です。

以前のブログ記事(https://ameblo.jp/minagawa-ebisu/entry-12611363355.html)ではじめてテレワーク(テレワーク導入促進準備助成金)という助成制度を紹介しました。今回はテレワーク関連の他の助成制度(いずれも公益財団法人東京しごと財団が実施している、都内で事業を営んでいる中堅・中小企業等を対象とした制度です。)を紹介し、制度間の比較を行います。これらの制度間では併給制限が設けられており複数の助成制度からの併給は認められない可能性が高いため、自社にとって最も有利な助成制度を見極める必要があります。今回の記事を検討材料にしていただければ幸いです。

なお、本記事は執筆時点(2020年8月7日)で私が得た情報をもとに執筆していますが、実際の申請は担当機関に確認の上で行っていただき、本記事だけに依拠した申請はお控えくださるようお願いします。

 

1.テレワーク関連の助成制度の一覧と比較

①テレワーク定着促進助成金

詳細未定

令和2年7月31日付東京都産業労働局の報道発表資料に当該助成金の記載がある。

下記②の受付終了にあわせた新制度の可能性もあり、内容面で下記②を

踏襲するのか異なる内容の制度とするのか、続報が待たれるところ。

 

②事業継続緊急対策(テレワーク)助成金

令和2年7月31日で受付終了

 

助成事業:在宅勤務等を可能とする情報通信機器等の導入による

テレワーク環境の整備

ただし、令和2年9月30日までに完了する取組が対象

助成率:10分の10

助成金の上限:250万円

 

③はじめてテレワーク(テレワーク導入促進準備助成金)

受付期間は令和3年3月31日(必着)まで

ただし、予算の範囲を超えた場合、受付期間内でも受付を終了する可能性あり。

 

補助事業:テレワーク環境の構築、就業規則へのテレワーク制度整備

補助率:10分の10

補助金の上限:最大100万円(テレワーク環境の構築)

10万円(就業規則へのテレワーク制度整備)

 ②及び④との併給を認めない旨が募集要項に明記されている。

 

④テレワーク活用・働く女性応援助成金(テレワーク活用推進コース)

令和2年度の募集は詳細未定

 

以下の記載は平成31年度の募集要項より抜粋

助成事業:

ⅰテレワーク機器導入事業(情報通信機器等の導入によるテレワーク環境の整備)

ⅱサテライトオフィス利用事業(サテライトオフィスでのテレワーク導入に

伴う民間サテライトオフィスの利用)

助成率:2分の1

助成金の上限:上記事業ごとに250万円

申請提出期間:平成31年(2019年)4月22日~令和2年(2020年)3月31日

 

2.併給制限について

③の募集要項には②及び④との併給を認めない旨が明記されていますが、さらに、②、③及び④の各募集要項には、「助成金の支給事由と同一の事由により支給要件を満たすこととなる各種助成金のうち、国、都又は区市町村が実施するもの(国、都又は区市町村が他の団体等に委託して実施するものを含む。)を受給する又は受給した場合」には、併給を認めない旨が記載されています。②~④の各助成制度は、テレワーク環境の整備・準備を促進するため、情報通信機器等の導入に要した費用の全部又は一部を助成するという限度で支給事由が共通していると考えられ、少なくとも募集要項の文言上は、併給が認められない可能性が高いと考えられます。

 

3.どの助成制度を活用するか

①~④のうち、2020年8月7日時点申請が可能なのは③だけです。③は補助金の上限が計110万円と他の制度と比べ低額であることは否めないところですので、①の内容が公表されるのを待ち③に申請するかどうかを判断する、というのは1つの合理的な選択肢だと思われます。また、④はサテライトオフィス利用事業も助成事業に含まれており、令和2年度の募集が行われるのを待つという選択も考えられるところです(ただし、募集が行われない可能性もゼロではありません。)。

コロナ禍の中で、様々な助成が実施されていますが、助成制度に関する情報をフォローするだけでも大変です。残念ながら、必要なところに必要な情報が行き届いていないと感じることも少なくありません。このようなときこそ顧問弁護士の出番です。顧問先との中長期的なお付き合いの中で、助成制度等に関するアドバイスや情報提供を事実上行うことも少なくありません。顧問弁護士がいない会社様は、顧問契約につき弊事務所まで是非1度ご相談ください。

 

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弁護士の武井です。

不動産賃貸に関するQ&Aの第3回です。今回はいよいよ家賃支援給付金の説明に入ります。申請要領や様式集は経済産業省のウェブサイトで公表されていますので、適宜これらの資料をご参照ください(https://www.meti.go.jp/covid-19/yachin-kyufu/index.html)。

今回の記事では、典型例として想定されるパターンについて解説を行うに過ぎないことにご留意ください。典型例に当てはまらない場合でも給付の対象となる可能性はありますので、適宜問い合わせをする等して、可能な限り制度を活用されることをお勧めします。

 

Q26.家賃支援給付金の給付対象となるのはどのような者ですか。

A26.以下の①~④の全てを満たす者です。

 

資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者等であること

2019年12月31日以前から事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること③2020年5月から2020年12月までの間で、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、以下のいずれかにあてはまること。

ⅰいずれか1か月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減っている

ⅱ連続する3か月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っている

他人の土地・建物をご自身で営む事業のために直接占有し、使用・収益(物を直接に利活用して利益・利便を得ること)をしていることの対価として、賃料の支払いをおこなっていること。

 

Q27.上記③の要件について詳しく教えてください。

A27. まずⅰの場合について説明します。2020年5月から2020年12月までの間の任意の1か月を選択します。例えば、7月を選択したとします。2020年7月の事業収入が2019年7月の事業収入と比べて50%以上減少していれば、ⅰの要件を満たします。ⅱの場合も基本は同じですが、3か月間の事業収入の合計額同士を比較することに注意が必要です。例えば、2020年5月~7月を選択したのであれば、当該3か月間の事業収入の合計額と2019年5月~7月の事業収入の合計額とを比較して30%以上減少していれば、ⅱの要件を満たします。

 

Q28.給付の内容を教えてください。

A28.申請日の直前1か月以内に支払った賃料など(共益費・管理費も賃貸借契約書に規定されている場合には算定の基礎に含まれます。)の額を基礎に、下記の計算方法にしたがって月額給付額(上限100万円)を算定し、その6倍(最大600万円)が給付されます。

 

1)支払い賃料などが75万円以下の場合

支払い賃料など×2/3

2)支払い賃料などが75万円を超える場合

50万円+支払い賃料などのうち75万円を超える金額×1/3

※ただし、月額100万円が上限

 

2)の場合が少し複雑なので、具体例を出して説明します。支払い賃料などが250万円の場合、「支払い賃料などのうち75万円を超える金額」は175万円です。175万円の1/3は58万3333円です。50万円+58万3333円=108万3333円となり、月額100万円の上限を超過しますので、月額給付額は100万円となり、その6倍である600万円が給付されることになります。

 

Q29.複数の土地・建物を借りている場合、月額給付額はどのように算定されますか。

A29.全ての賃料を合計した総額を基礎に月額給付額が算定されます。

 

今回は家賃支援給付金の概要を説明しました。

繰り返しになりますが、今回の記事では、あくまで典型例として想定されるパターンについて解説を行ったに過ぎないことをご理解ください。申請要領は別冊も含めて100ページ以上にわたります。紙幅の関係上、今回の記事では「概要」の説明に留めざるを得ませんでした。

オフィスの賃料はほぼ全ての会社に共通する悩みの種だと思われます。貸主との交渉等に関しては、ノウハウの蓄積がある弁護士を活用することをお勧めいたします。弊事務所まで是非ご相談ください。

 

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