弁護士の武井です。

 

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正に関する記事の第3回です。

今回の記事では、事業者として具体的に現在及び将来どのような対応が必要となるのか解説をしていきます。

 

3.現在及び将来、どのような対応が必要となるのか

前回の記事で解説したとおり、下記i~vの措置(今回の改正で追加された内容)を講じることは改正法施行後も法的義務ではありません。

 

i  70歳までの定年引上げ

ii 70歳までの継続雇用制度の導入

iii 定年廃止

iv 高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

v 高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に一定の社会貢献事業に従事できる制度の導入

 

したがって、当該措置を講じなかったからといって厚生労働大臣による勧告、公表等の対象となるわけではありません。将来的に当該措置を講じることが法的義務になる可能性は十分にありますので更なる法改正に備えておく必要はあるでしょうが、近々に対応が必要というわけではありません。

 

個人的にそれよりも気になるのは、そもそも改正前後を問わず法的義務とされている「(1)65歳まで定年引上げ、(2)65歳までの継続雇用制度の導入、又は、(3)定年廃止」のいずれかの措置すら講じられていない会社も存在していることです。

 

人件費の抑制や組織の若返りを強調して65歳未満で定年とし、継続雇用制度も設けないというのは、公表等によるレピュテーションリスクの観点から問題があると言わざるを得ません。技能の継承という観点も無視できないところです。どのような制度が望ましいかは会社の規模、財務状況、従業員の年齢構成等々によって異なります。この機会に定年に関する制度をしっかりと見直しておくことをお勧めします。当事務所まで是非ご相談ください。

 

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