大塚家具、大塚久美子社長が激白!「すべて話します」
「会長は個人商店流の経営を続けたいだけ」
日経ビジネス 2015年3月12日(木)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20150311/278546/?n_cid=nbpnbo_mlp
先に、勝久専務のロングインタビューを紹介したが、この久美子社長の論理的な話の組み立てを見ると、勝久氏とは話が噛み合わないだろうという感想を持った。いろいろなインタビューが出ているが、これが一番久美子社長の言いたいことを表していると思う。久美子社長は広告宣伝費の使い方などに大きな意見の隔たりはあるものの、勝久氏とはビジネスの基本的な考え方で対立しているわけではないという。対立しているのは株式公開企業として「あるべき経営」「あるべきガバナンス体制」を実現したいということだという。この点での久美子社長の考え方を勝久氏に納得させるのは正直、難しいなと感じた。
それにしても、久美子さん、この騒動の初めからすると随分とやつれた感じがする。体には気をつけてください。
経営権を巡る父娘の対立が激しさを増す大塚家具。長女の大塚久美子社長が3月27日の株主総会に向けて会社側提案として出した取締役候補者名簿に、父である大塚勝久会長が強く反発。自ら独自案を株主提案として提出し、委任状争奪戦を繰り広げている。
一見、親子の喧嘩に見える騒動だが、事の本質は株式公開企業の経営体制、つまりコーポレートガバナンスのあり方を巡る考え方の違いにあるという。渦中の大塚久美子社長が単独インタビューに応じ、すべてを語った。
会長と社長の対立が遂に委任状争奪戦に発展してしまいました。
久美子社長:私を選ぶか、会長を選ぶかといった選択のように報道されていますが、決してそうではありません。株式公開企業として「あるべき経営」「あるべきガバナンス体制」を実現させようとする(私を含めた)取締役会の多数意見に対して、個人商店流の経営がしたい勝久会長が抵抗しているという構図なのです。
経営戦略の違いがクローズアップされていますが。
私は低価格路線などと言っていない
久美子社長:私が低価格路線にもっていこうとしていると批判されていますが、そのような事を言っていないのは、中期経営計画を見ていただければ分かります。会長とは、広告宣伝費の使い方などに、大きな意見の隔たりがあるのは事実ですが、ビジネスの基本的な考え方で対立しているわけではありません。
創業者が永遠に経営を続けることができないのは明らかです。それを前提にどうオーナー経営から脱却していくのか、次の世代の事を考えてこの5年間改革を進めてきました。それが会長に理解してもらえないのです。
広告宣伝については意見が違うのですね。
久美子社長:広告宣伝の中心であるチラシの枚数と来店客数の長期的な相関を見れば、かつてのやり方が通じないのは明らかなのです。2002年のチラシは3億枚でしたが、来客数は83万人でした。私が辞めた後の2006年には6億枚を配りましたが、来客は63万人です。20万人も減ったのです。チラシをまけばお客は来るというのは思い込みなのです。しかし会長はこうした長期統計も見ようとしません。
日経新聞の記事の中に、2008年に久美子さんが大塚家具に戻る際に、会長が引退するのが条件だったとありますが本当でしょうか。
久美子社長:条件というより前提です。そもそも、父の方から「社長を交代してくれ」と言って来たのです。会社が行った自社株買いがインサイダー取引に該当するとして証券取引等監視委員会の調査が入り、右往左往していました。
3月の株主総会で議長役を務めるのが嫌だったのか、代わってほしいと言ってきたのです。制度的に社長交代は無理だと言って、まずは事態の収拾を手伝ったんです。
勝久氏は引退するつもりだったと。
久美子社長:大株主として取締役に残ればとも言いましたが、「いや引退したい」と言っていました。ですから、その時に2つの条件を出したのです。1つは事業承継対策です。父が大塚家具株の3割を持ったまま亡くなってしまうと、母と兄弟姉妹5人がバラバラに相続することになります。
そうなると売却するしかない人も出て来かねません。株式を散逸させないために「ききょう企画」という資産管理会社に会長の株式を段階的に移して法人所有にすることにしたのです。
「社外取締役はいらない」とも言った会長
もう1つの条件は。
久美子社長:社外役員を入れる事です。実は2005年に私が辞めると、執行役員制を導入して、社員出身の役員を取締役から外してしまいました。
大塚家の5人が取締役会を独占する状態だったのです。株式公開企業として、これはあまりにもリスクが大きいと考えました。そこで、総務と人事でかつて取締役だった人を、取締役に戻すように求めたのです。
今回の会長側の株主提案でも10人中5人が社外取締役となっています。
久美子社長:あれが会長の本音でない事は明らかです。5人全員を一族にしたのも会長でしたし、昨年7月に私が解任された後、社外役員には具体的な経営戦略が示されない状態が続いていたのをみても分かります。騒動が表面化する前は、社外取締役はいらないとも言っていましたから。
勝久氏が会長兼社長だった今年1月15日の段階で、社外取締役と社外監査役の社外役員6人が勝久氏に要望書を出したそうですね。
取締役会が機能していなかった
久美子社長:取締役会でもきちんとした議論が行われていなかったということです。社外役員は取締役会を何とか機能させようとご苦労されていました。
勝之専務によると、(久美子氏を解任した昨年8月以降)経営会議を設置して、社内の執行役員で議論し、その結果を取締役会が尊重するやり方に変えた。非常にうまくいっていたが、久美子社長は経営会議の設置に反対していた、と語っています。
久美子社長:それでは取締役会は社内役員の意思決定の追認機関になってしまいます。
社外取締役が意見を言うと、「会社の事は分かっていないのだから、黙っていろ」と会長が声を荒げる事もありました。
会長は、社員はすべて私を支持してくれていると言っています。
1700人の社員は子ども?
久美子社長:私が5年間社長をやってきた間には、現場で様々な改革を進めてきました。それは社員の力あっての事です。私のやり方に反対の社員がいても不思議ではありませんが、全員が会長に賛同しているというのは常識的に考えてもあり得ないでしょう。社員は自分の言う事は絶対に聞くと思っていることこそが問題だと思います。
「1700人の社員は子どもだ」とも言っていました。
久美子社長:私は、社員は仲間であり、パートナーであり、チームだと思っています。議論し合って会社を良くしていく。私の言うことを絶対聞く社員が良いとはまったく思いません。
5人の兄弟姉妹のうち、長男を除く4人は久美子社長を支持しています。
久美子社長:支持というより、このままではマズイという危機感を共有しているのです。取締役会などの実態を深く知っていますから。大塚一族の資産はほとんどが大塚家具の株式です。ですから、大事なのは会社が長く存続していく事なのです。
大塚家具の企業価値を上げられなかったら財産はなくなってしまいます。旧態依然のプライベート・カンパニーのような経営体制のままでは、将来はないと思っているわけです。
久美子社長: 私は大塚家具が大好きですし、やりがいがある楽しい仕事だと思っています。でも、私がこの会社を私物化しようなどと思うはずがありません。オーナー会社から社会の公器へと移行していくという難しい期間に、身を置かれた人間として、大きな責任を感じているのです。ここで投げ出すわけにはいかないのです。